糖尿病
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38 巻, 6 号
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  • 患者アンケート調査結果の検討
    於保 美千代, 酒井 恵理, 林 秀樹, 大武 英津子, 蒲地 順子, 山田 研太郎, 野中 共平, 小野 真恵, 九州糖尿病懇話会
    1995 年 38 巻 6 号 p. 411-419
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    汎網膜光凝固 (panretinal photocoagulation: 以下PRPと略す) の網膜症進行抑制効果は確立されているがPRP後に視機能の変化を訴える例も少なくない. そこで両眼にPRPを施行された糖尿病患者58人 (DM群) と年齢・性を一致させた非糖尿病者 (非DM群) に, Russelらの方法に基づき, 視力, 明暗遠近感視野等に関するアンケート調査を行った. 非DM群に比べてDM群はPRP前から視力・色覚・暗順応・遠近感の低下, 視野欠損が高率であった. 視力はPRP後1年以上 (II, III群) で有意に低下しており, PRP後3年以下 (I, II群) では, 離れた所や暗い部屋での見え方や遠近感が悪化したり, 眩しい, 活字が見づらいと解答した患者が20~30%あった. また自覚的な視野欠損も20%を占めていた. 以上より, PRP後には視力のみならず, 暗順応, 遠近感, 視野など様々な視機能が影響を受けていることが示され, 今後は客観的な視機能の評価も重要と考えられた.
  • 山岡 孝, 曽根 博仁, 奥田 諭吉, 板倉 光夫, 山下 亀次郎
    1995 年 38 巻 6 号 p. 421-429
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    内分泌疾患に合併する糖尿病の特徴を検討するために, 末端肥大症, Cushing症候群, 褐色細胞腫, 原発性アルドステロン症の患者をそれぞれ75g OGTTにより正常群, 境界群, 糖尿病群とに分け, 臨床データを比較した. 末端肥大症では糖尿病を合併する率が39.6%と最も高く, 血糖値曲線も4疾患の中で最も高値を示した. Cushing症候群では38.5%に糖尿病を合併したが, 早朝空腹時血糖値は糖尿病群においてもほぼ正常範囲にとどまるという特徴を示した. この2疾患は高インスリン血症を伴い, 年齢糖尿病の家族歴ホルモン値異常の程度, 体重増加などが糖尿病の発症と関連した. 褐色細胞腫と原発性アルドステロン症は, それぞれ27.8%, 17.9%に糖尿病を合併し, 早朝空腹時血糖値が比較的高く, インスリンの分泌抑制を伴い, ホルモン値異常の程度 (原発性アルドステロン症ではさらに電解質異常の程度), 体重減少などが糖尿病の発症と関連した.
  • 膜電位固定法による検討
    瀧川 智子, 安田 斎, 繁田 幸男, 北里 宏
    1995 年 38 巻 6 号 p. 431-438
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性神経障害の発症機序に, Na+/K+輸送活性の低下が関与していると推察されている. 今回, ラット坐骨神経の単一有髄神経線維からワセリンギャップーVoltage Clamp法を用いて膜電流を記録し, 高濃度グルコース溶液中での膜電流変化の過程におけるNa+/K+ポンプの関与について検討した. 細胞外に高濃度D-グルコースを加えると, 一過性に活動電位は低下し, 内向きNa+電流は減少した. その後徐々にNa+電流は増大し, コントロール値を越えた後, 緩やかに元の値にまで低下した. L-グルコースやSucroseなどの膜非透過性の浸透圧物質では活動電位および膜電流の変化はより大きくなった. 一方, Ouabain (0.1mM) の存在下では, 高濃度グルコース添加により, 活動電位の低下とともにNa+電流は減少したが, その後一過性の増大を示すことなく, 減少し続けた. この成績は, 急激な高血糖により浸透圧に起因する神経伝導機能異常が惹起されること, さらにNa+/K+ポンプがこの神経電気活動の異常の回復に重要な役割を果たすことを示唆している.
  • 75g OGTTを用いて
    有吉 恭子, 安西 慶三, 永渕 正法, 小野 順子
    1995 年 38 巻 6 号 p. 439-446
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高インスリン血症を簡便に判定することを試み, 75gOGTT時の空腹時 (F), 30分, 60分, 120分IRI, ΣIRI, FIRI/空腹時血糖 (FPG), △IRI/△PG, ΣIRI/ΣPGについて, いずれが診療の場において有用であるかを検討した. 対象は30歳以上の男女252名, 平均年齢52.8歳759OGTTを施行し, 肥満度および耐糖能により9群に分類した. 各指標毎に, 耐糖能正常型・正常体重群の平均+2SDの範囲を正インスリン血症とすると, 肥満群を高インスリン血症と判定する割合はFIRI, ΣIRI, FIRI/FPG, ΣIRI/ΣPGの4指標で高かった. 非糖尿病型・非肥満群で高インスリン血症と判定された群は, 正インスリン血症群に比し高中性脂肪血症および高血圧症を合併する頻度が有意に高かった. さらにFIRIおよびFIRI/FPGを用いれば, 耐糖能正常型・正常体重群で高インスリン血症であると判定される対象はなかった. これら2指標は空腹時の採血のみで得られ, 動脈硬化症の危険因子の合併率も高く, 動脈硬化を積極的に進展予防するうえで, 簡便で有用な指標であると考えられた.
  • 肝ブドウ糖取り込みに及ぼすglimepiride 1週間反復経口投与の効果
    久保田 昌詞, 森島 豊彦, 松久 宗英, 柴 雄一, 河盛 隆造, 鎌田 武信
    1995 年 38 巻 6 号 p. 447-453
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    新たに開発されたSU剤glimepiride (HOE490) が肝糖代謝に及ぼす膵外作用を, euglycemic hyperinsulinemic clamp (EC) と肝静脈カテーテル法を併用し, 健常犬においてin vivo解析した. 健常犬7頭にHOE490 (0.1mg/kg/日) を7日間経口投与し, その前後で, 末梢静脈内ソマトスタチンおよびブドウ糖 (Glu), 門脈内インスリン注入によりECを施行した. EC前半90分は末梢静脈内のみに, 後半90分は門脈内にもGlu (7mg/kg・min) を追加負荷した. 薬剤投与後, 1) 空腹時IRI値は有意に上昇, 血糖値は有意に低下した, 2) EC前半では全身での糖利用は有意に亢進したが (8.2±0.7 vs.11.6±1.3mg/kg・min, mean±SEM), 肝糖取り込みに変化はなかった, 3) EC後半では肝糖取り込みの顕著な増強を認めた (net hepatic glucose balance, 2.2±0.5 vs. 5.8±1.0mg/kg・min). 以上より, HOE490は1週間反復経口投与により, 末梢組織のみならず, 肝での糖処理能を顕著に高めることを示した.
  • 岩谷 逸平, 吉田 寛, 坂井 誠, 森田 宗孝, 西田 和之, 山下 順平, 老籾 宗忠, 酒井 瑛
    1995 年 38 巻 6 号 p. 455-460
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病に合併したC型慢性肝炎に対しインターフェロン (以下IFNと略す) 製剤を投与し, ICAの陽性化とともにIDDMに移行したNIDDMの1例を経験したので報告する. 症例は35歳男性.33歳時にはじめて肝機能障害と糖尿病を指摘された. 平成4年10月に口渇, 体重減少を主訴として入院食事療法トー時的にインスリン療法施行後, 経口血糖降下剤 (glyclazide 40mg/日) にて血糖コントロールが良好となった時点で, 肝生検を施行し, IFN治療を開始した. IFN投与3日目より著明な尿糖排泄, 血糖の上昇とともに, インスリン分泌能の低下をきたし, 投与前に認められなかったICAの出現を認めた.以上, 耐糖能障害を合併したC型慢性活動性肝炎に対しIFNを投与する際ICAの出現するような機序を介して血糖の悪化をきたす可能性があり, 耐糖能障害例ではとくに注意する必要があるものと考えられた.
  • 滝 俊哉, 高田 政文, 松下 正幸, 土井 智文, 小武 道雄, 秋田 穂束
    1995 年 38 巻 6 号 p. 461-466
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ケトアシドーシスのインスリン治療中に低Pi血症を生じやすいことはよく知られているが, Piの補充療法の必要性および有効性についてはいまだに議論のわかれるところである. 今回我々は初回発症IDDM患者に生じたケトアシドーシス性昏睡のインスリン治療中に著明な低Pi血症に伴って急性呼吸不全および心筋収縮不全を生じた1例を経験した. 本症例ではPiの経静脈的投与に一致して病態の改善を得, 低Pi血症が呼吸不全発症に関与している可能性が示唆された. 発症機序から考えて特にアシドーシスが強い症例では血清Pi値に注意し, 低下が著しい場合にはPiの補充を行う必要があると考えられた.
  • 診断における超音波検査の有用性に関する検討
    莇 也寸志, 帯刀 圭子
    1995 年 38 巻 6 号 p. 467-472
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性. 58歳時糖尿病を指摘され通院中であったが, 1990年12月左背部痛・悪寒・嘔吐を主訴に受診し, 急性腎盂腎炎と診断され入院した. 入院後抗生剤 (アンピシリン) に反応せず, 入院第13病日に敗血症性ショック・DICにて死亡した. 剖検によって左腎に数カ所乳頭壊死の所見を認め, 敗血症性ショックの原因と考えられた. 入院第1病日に施行した腹部超音波検査において認めた左腎の洞周囲の径約1cmの低エコー領域は, 剖検時の乳頭壊死の所見に一致していたことから, 本例では超音波検査が腎乳頭壊死の診断に有用であると考えられた. また敗血症・DICの併発によって急激な経過をとった原因として, 糖尿病性神経因性膀胱による膀胱尿管逆流の関与が推測された.
  • 1995 年 38 巻 6 号 p. 473-481
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 38 巻 6 号 p. 484
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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