近年, 食後2時間血中Cペプチド (CPR) 測定は, 簡易なインスリン分泌能の判定方法として有用であることが報告されている. 我々は, インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 40例に, 治療前後で400kcal試験食負荷試験を施行し, 食前および食後の血中CPR反応を検討した. 40例の患者を治療前の空腹時血糖 (FPG) のレベルで, 以下の3群に分類した. Group A (n=11), FPG<140mg/d
l; Group B (n=19), 140≦FPG<200mg/d
l; Group C (n=10), 200mg/d
l≦FPG. 約4~8週間の治療により, 試験食負荷後の血糖曲線は上記3群ともに有意に改善した. 一方, 血中CPR反応は, 血糖コントロール後にGroup Aでは変化を認めなかったものの, Group B, Cでは食事負荷後, 60, 90, 120, 180分で有意な増加を認めた. そこで, 試験食負荷後血中CPRが増加したFPG140mg/d
l以上の症例 (Group BおよびC) を, 食事療法 (Diet, n=8), 経口血糖降下剤 (OHA, n=6), インスリン (Insulin, n=15) の治療法別に分類し, 試験食負荷後120分血中CPRを検討した. 治療により, 食後120分血中CPRは, Diet群では4.8±0.6ng/m
lから6.1±0.8ng/m
lへと有意に増加した. 同様にOHA群では3.9±0.4ng/m
lから5.1±0.5ng/m
lへ, insulin群では2.8±0.3ng/m
lから4.1±0.3ng/m
lへと有意な増加を示した.
以上のことから, インスリン分泌能を食後血中CPR反応で評価する場合には, FPG 140mg/d
l以上を示すNIDDM患者ではインスリン分泌が高血糖により障害されていることを考慮に入れた上で評価する必要があると思われる.
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