糖尿病
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39 巻, 4 号
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  • 津久井 智, 押谷 節子, 福村 幸仁, 戸井田 晋, 奈良 誠人, 小林 功
    1996 年 39 巻 4 号 p. 241-246
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    HbA1c, フルクトサミン (FRA), 1, 5-anhydroglucitol (1, 5-AG) を用いた糖尿病スクリーニング検査における糖尿病危険因子の影響について検討した. 401人の地域住民を対象に75g OGTTを施行し, 同時にHbA1c, FRA, 1, 5-AGを測定した. 各指標と年齢およびbody mass indexを独立変数, 糖尿病か否かを従属変数としてロジスティック回帰分析を行い, 各回帰式の従属変数の予測値を用いてreceiver operating characteristic (ROC) 曲線を作成し, それぞれ指標単独のROC曲線と比較した. ROC曲線の比較から, ロジスティックモデルは80%以上の感度の場合に, 単独の指標より高い特異度が得られた. 年齢, 肥満度を考慮することによって, HbA1c, FRA, または1, 5-AGを用いた糖尿病スクリーニング検査の有効性を改善しうることが示された.
  • (2) 糖尿病患者の生命予後に関連する因子
    佐々木 陽, 上原 ます子, 堀内 成人, 長谷川 恭一, 清水 孝郎
    1996 年 39 巻 4 号 p. 247-253
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    当センターの糖尿病患者 (NIDDM) 1,939名について平均15年間の追跡調査を行い, その生命予後に関係する因子について検討した. まず, 初診時の各因子別にOdds比をみると, 男, 初診時年齢45歳以上, 空腹時血糖値140mg/dl以上, 高血圧, 心電図虚血性変化, 糖尿病性網膜症, 蛋白尿, 経口薬およびインスリン治療の各群においてOdds比が有意に増加した. また, 初診時所見を生存例と死亡例の間で比較すると, 死亡例では男が多く, 発症年齢, 初診時年齢, 空腹時血糖値, 収縮期および拡張期血圧が高く, 心電図虚血性変化, 網膜症, 蛋白尿, 経口薬およびインスリン治療が多くなっている. 一方, 多重ロジスティック・モデルによる解析では, 性別, 初診時年齢, 空腹時血糖値, 高血圧, 網膜症, 蛋白尿, 治療方法と生命予後との関係が有意であった. 以上の関係をさらに初診時年齢群別に観察すると, 関連する危険因子が年齢によって大きく異なることが見出された.
  • 柴 雄一
    1996 年 39 巻 4 号 p. 255-263
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    安定同位体 (SI) 標識グルコースを用いるトレーサー法における至適な誘導体化を検討し, 正常ラットのin vivo糖代謝動態解析に応用した. グルコースの誘導体化法としては, 種々のSI標識グルコースのgas chromatography/mass spectrometry解析から, トリフルオロアセチル化が, (1) 高質量域のイオンピークが出現すること, (2) 同位体ピーク比が安定していること, などから優れていることを認めた. 正常SD系ラットにおいて, 無麻酔・非拘束下で [6, 6-2H2]-グルコース持続注入下に4段階のインスリン注入率でeuglycemic clampを行った結果 (各5匹), (1) 基礎時の肝糖産生 (HGP) が7.2mg/kg・minであること, (2) インスリンに対する末梢組織グルコース取り込みの最大反応は42.1mg/kg・min, EC50値は45μU/mlとなること, (3) HGPは動脈血漿インスリン濃度100μU/ml付近で完全に抑制されること, を見いだした. かかる知見は従来報告されているRIトレーサー法の結果とよく一致し, 本法の妥当性が確認された.
  • 反応性低血糖との比較
    田坂 仁正, 中谷 文夫, 大森 安恵
    1996 年 39 巻 4 号 p. 265-269
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    インスリノーマの診断は最終的には経皮経肝門脈カテーテルや膵CTスキャンニング等によるが, その前のスクリーニング的な診断法も必要である. 1986年にBruntらはcalciumの急速静注法によるインスリノーマの特異的な血清IRI増加を報告した. われわれもインスリノーマ3症例と非インスリノーマ4症例に急速calcium静注負荷試験 [RCI: 早朝空腹時に2mg/kg・体重のcalcium gluconate (Ca) を1分以内に静注] を行い以後60分まで経時的に採血し血清インスリン (IRI) ならびに血清グルコースを測定した. インスリノーマでは3症例とも負荷後血清IRIは急速に増加し (peak値47.7±8.8μU/ml: M±SE) 非インスリノーマでは1症例にのみ若干の増加が見られたが残り3症例では殆ど増加が見られなかった (14.4±4.4μU/ml). 負荷後30分までの負荷前値を減じた血清ΣΔIRI (30') を比較するとインスリノーマでは3症例とも非インスリノーマに比し高値であった (p<0.01). 血糖値はインスリノーマではやや低下した. RCI試験はインスリノーマの診断に有用であると考えられる.
  • 松場 洋
    1996 年 39 巻 4 号 p. 271-281
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    蛍光標識単クローンフォスフォチロシン抗体を用いて, 簡便で高感度なヒトインスリン受容体 (以下IRと略す) 自己リン酸化能の測定法を新たに開発した. 同測定法を用いて, 高インスリン血症を伴うインスリン非依存型糖尿病, および耐糖能異常に占めるIR異常症の関与を検討する目的で, 空腹時血中immunoreactive insulin (IRI) が15μU/ml以上の124名の赤血球IR自己リン酸化能を測定した. このIR異常症のスクリーニングにて, IR異常症と考えられる5家系を見いだした. 更に詳細に検討し得た2家系において, 同程度のIR機能不全を有する患者の耐糖能は一様ではなく, IR異常症における糖尿病の発症因子として, インスリンの初期分泌が重要な因子と考えられた.
  • 加藤 雅彦, 小野 百合, 保前 英希, 門田 悟
    1996 年 39 巻 4 号 p. 283-288
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    浮腫増強時に筋原性酵素の著明な上昇を認め筋生検にて横紋筋融解像が証明された糖尿病性ネフローゼ症候群の1例を報告する. 症例は42歳の男性で進行した糖尿病性トリオパチーを有していた. ネフローゼ症候群による全身性浮腫で入院し入院時血清creatine kinase (以下CKと略す) 活性2499IU/l (MM89%) と著明高値で, 血中アルドラーゼ, ミオグロビン (血・尿) も高値だった. 筋生検では混合性 (神経原性+筋原性) 変化とともに横紋筋融解像がみられた. またCKアイソザイムの検索にてマクロCK (IgA, λ) の存在が確認された. 他の高CK血症を呈する病態は合併せず横紋筋融解をおこす薬剤の内服もなかった. 利尿剤投与による浮腫の軽減に伴い血中の筋原性酵素値も低下した. Diabetic neuromyopathyによる骨格筋変化, 全身の細動脈硬化症が基礎にあり問質液貯留が誘因となって組織の循環障害をおこし横紋筋融解をきたしたと考えられた.
  • 清野 弘明, 平田 昭彦, 山口 宏, 山崎 俊郎, 菊池 宏明, 阿部 隆三
    1996 年 39 巻 4 号 p. 289-293
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は69歳の男性. 49歳の時 (1975年) 健康診断にて尿糖陽性を指摘され, 1976年5月当院初診. 初診時FPG139mg/dl, 尿ケトン体 (一), 1カ月入院後1760kcalの食事療法とグリブゾール (125mg) の内服治療により1977年1月まで良好な血糖コントロールが得られたが, 同年2月に血糖コントロール不良となりレンテインスリン朝8単位のインスリン治療を開始した. 1981年に施行した75g GTT時の血中CPRの最高値は1.1ng/mlであり, 糖尿病発症5年にて内因性インスリン分泌能の著明な低下を認めた. ICAは陰性であったが, 1995年度に検査した抗GAD抗体は63au/ml (正常値35au/ml以下) と陽性であった. 本例は臨床経過よりslowly-progressive-IDDMと思われたが, 発症後20年経過しているにもかかわらず抗GAD抗体が陽性を示していることは興味深いと思われる.
  • 1996 年 39 巻 4 号 p. 295-315
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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