高齢発症のSlowly progressive IDDMの1例を報告する. 69歳女性064歳時に口渇が出現し, 近医にてGlibenclamide漸増投与されたが血糖値の改善が得られず, 1992年5月当院入院. 同薬1日10mg投与で空腹時血糖231mg/d
l, HbA1c12.7%. 1日尿中CPR排泄量は6.9μg, Glucagon負荷後 (6分値0.7ng/m
l) および75gOGTT (頂値1.4ng/m
l) でも血清CPRは低反応であった. ICA, ICSA, 抗胃壁細胞抗体, 抗甲状腺マイクロゾーム抗体抗サイログロブリン抗体は持続的に陽性であった. 抗GAD (Glutamic Acid Decarboxylase) 抗体価も高値 (12, 985U/m
l) であり7GAD65に対する抗体であった. HLAではA26, A-, B7, B62, Bw6, Cw3, Cw7, DR1, DR14, DR52, DQ1, DQ-, DPw2, DPw4を認めた. 中間型インスリン8単位朝1回投与にて血糖コントロールは改善傾向を示した. Slowly progressiveIDDMは30~50歳代発症のものが多く, 60歳以上の高齢発症例の論文報告は本症例を含めて4例のみである.
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