糖尿病
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39 巻, 9 号
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  • 渡辺 伸明, 福本 泰明, 難波 光義, 花房 俊昭, 松沢 佑次
    1996 年 39 巻 9 号 p. 679-686
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    中間型インスリンの1日1-2回注射で一定期間観察し, それでもなお十分なコントロールの得られなかった入院治療NIDDM19症例を対象とした.α-グルコシダーゼ阻害剤 (アカルボース) を4週間併用投与し, 投与前後の血糖日内変動, 血中CPR (朝食前, 朝食後2時間), HbA1c, 1, 5-AGを測定した.朝食後血糖は投与前210±45mg/dlが投与後166±41mg/dlに (P<0.01), 昼食後は219±48mg/dlが168±61mg/dlに (P<0.001), 夕食後は237±49mg/dlが174±63mg/dlに (P<0.001), それぞれ有意な低下を認めた.HbA1cは投与前の8.6±1.7%から7.4±0.7%に (P<0.001), 1, 5-AGは投与前の4.8±3.5μg/mlから6.1±2.4μg/mlに (P<0.05) それぞれ有意な改善を示した.朝食前の血中CPRは投与前1.8±1.0ng/ml, 後1.8±1.3ng/mlと変化しなかったが, 朝食後2時間の血中CPRは投与前の3.8±2.1ng/mlから投与後は3.2±1.9ng/mlに有意な低下を示した (P<0.02).インスリン治療NIDDMにおけるα-グルコシダーゼ阻害剤の併用は食後の血糖上昇を小さくするとともに, 食事に対するインスリンの追加分泌を減少させることが示された.
  • その原因, 危険因子, 背景と生命予後
    紀田 康雄, 柏木 厚典, 居出 理恵, 川端 徹, 阪本 勝彦, 吉川 隆一
    1996 年 39 巻 9 号 p. 687-692
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病網膜症は, 中途失明原因の第1位である.そこで615例のインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 患者の失明頻度, 原因, 臨床的特徴と予後を調べた.失明は4%(24例), 高度視力障害は8%(51例) に認めた.視力良好群と比べ視力障害群では有意に糖尿病歴が長く, 発症年齢が若くインスリン治療者が多かったが, 失明群では最もその傾向が強く, HDL-Cは最も低かった.24例の失明患者中14例 (58%) は腎不全のため透析を受けていた.失明の主たる原因は, 硝子体出血, 網膜剥離黄斑症, 血管新生緑内障や白内障であった.多変量解析では加齢, 増殖糖尿病網膜症, 白内障, 腎症, インスリン治療, 糖尿病歴が独立した視力障害の危険因子であった.断面調査のため血糖と失明の相関は得られなかったが, 経過から失明群の過去の血糖コントロールは明らかに不良であった.失明群は, 観察期間中の死亡率が高く (245例/1000人・年), 生命予後が非常に悪い事が示唆された.
  • 坂本 賢哉, 下永田 剛, 南都 伸介, 黒田 暁生, 両角 隆一, 竈門 敬二, 永田 正毅, 山崎 義光
    1996 年 39 巻 9 号 p. 693-698
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    有意冠動脈狭窄を認めないインスリン非依存性糖尿病患者 (NIDDM) 28例に, (1) 左室造影 (2) ジピリダモールTl負荷心筋シンチ, (3) H23beta-methyl-P-iodophenyl pentadec anoicd (BMIPP) 心筋シンチを行い, 糖尿病性心筋障害の機序を検討した. 1) 左室造影によりNIDDM28例中, 9例 (32%) に左室壁運動異常を認めた. 2) 左室壁運動異常群では壁運動正常群に比し, BMIPPの心筋摂取率が有意に低下 (2.08±0.22vs2.33±0.15P<0.05) していた. 3) 左室壁運動異常群では, ジピリダモールT1負荷心筋シンチにおける再分布像の出現頻度が正常群に比し有意に高かった.(P<0.05) 以上より, 糖尿病性心筋障害の機序として心筋脂肪酸代謝障害および, 細小血管障害の関与が示唆された.
  • 特に腎不全治療法別による影響について
    宮前 至博, 馬場園 哲也, 河原 玲子, 朝長 修, 大森 安恵
    1996 年 39 巻 9 号 p. 699-706
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎不全治療法の脂質代謝への影響を明らかにする目的で, 血液透析 (HD) 患者48名 (男性36名, 女性12名), CAPD患者17名 (男性13名, 女性4名), 腎移植患者14名 (男性9名, 女性5名), 健常者40名 (男性20名, 女性20名) を対象とし, 血清脂質, アポリポ蛋白, Lp (a) を測定した.いずれも男女別に解析し, 共分散分析で年齢を補正したうえで比較した.男性のTC, TG, LDL-Cは4群間で差はなかったが, HDL-CはHD群, CAPD群で低値を, 腎移植群でApoA-1, A-IIとともに高値を示した.女性では, 腎不全3群でTC, ApoB, C-II, C-IIIが健常者に比べ有意に高く, TGはHD群, CAPD群で高値であった.HDL-Cは男性同様, HD群, CAPD群で低値, 腎移植群でApoA-1とともに有意に高値であった. Lp (a) は, 男女とも4群に有意差はなかった.これら脂質代謝の結果から, 腎移植は動脈硬化の予防の点で, 透析療法に比べ有利であると考えられた.
  • 高見 和久, 武田 則之, 華房 順子, 足立 佳代子, 井上 洋, 川島 卓, 佐々木 賢二, 田代 征記, 安田 圭吾
    1996 年 39 巻 9 号 p. 707-712
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Cystic fibrosis (CF) は, 本邦では稀有な疾患とされ, またCFに合併する糖尿病の臨床像もほとんど知られていない. 我々は, 成人に至るまで診断されなかった糖尿病合併CF症例を経験したので報告する. 症例は22歳の非肥満女性.12歳時腸閉塞罹患の際糖尿病と診断され, 以後インスリン治療を継続肺炎と糖尿病悪化のため当院入院入院時血糖値462mg/dLと著明高値であったがケトン尿は認めず0抗生剤の投与により発熱咳漱は軽快したが膿性疾が続いた. 喀疾培養で緑膿菌が持続して検出された. Bentiromide試験で膵外分泌能の低下を認めた. 汗試験により汗中Cl60mEq/L以上と高値を示したことよりCFと診断ラ氏島細胞抗体は陰性. 遺伝子解析では欧米CFにおいて頻度の高いCF遺伝子変異△F508, G542X, G551D, R553Xは検出されなかった. 本例では, 若年発症, 非肥満, 著明高血糖にかかわらずケトーシスを呈さない点, CF合併糖尿病に関する欧米の報告と一致していた.
  • 三浦 順之助, 佐伯 明子, 鈴木 直仁, 佐藤 麻子, 岩崎 直子, 黒木 宏之, 笠原 督, 内潟 安子, 高橋 千恵子, 岩本 安彦, ...
    1996 年 39 巻 9 号 p. 713-719
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 粟粒結核を合併した血糖コントロール不良NIDDM女性. 平成6年10月28日約1カ月続く不明熱を主訴に来院した. 入院14病日, 急性呼吸不全とDICをきたし, 胸部X線写真上間質性陰影を認めた.抗核抗体 (ANA) が2560倍と異常高値を呈したため, 膠原病に伴う間質性肺病変による成人呼吸促迫症候群と考えステロイドを開始した. しかし, 胸部写真は次第に粟粒影を呈し始め, さらにMTC-PCRと結核菌培養の結果から粟粒結核と診断した. 一方, ANAは異常高値を呈したものの, 臓器特異的な自己抗体や抗DNA抗体は検出できなかった. 粟粒結核に伴い, 何らかの自己免疫反応が惹起されたと考えられた. 血糖コントロール不良の糖尿病患者は易感染性の状態で重症全身感染にまで発展する可能性があり, 糖尿病患者の血糖コントロールの重要性が改めて示唆された.
  • 清野 弘明, 平田 昭彦, 山口 宏, 山崎 俊朗, 菊池 宏明, 阿部 隆三
    1996 年 39 巻 9 号 p. 721-727
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡の治療経過中に, アミラーゼ, リパーゼが上昇し急性膵炎の併発を疑わなければならない症例が散見される. 症例1は血糖763mg/dl, pH6.93, HCO3 1.5mmol/l, 症例2は血糖1573mg/dl, PH7.19, HCO314.0mmol/lというケトアシドーシスで緊急入院した. 治療経過中の症例1のアミラーゼ, リパーゼの最大値はそれぞれ, 752u/l, 520u/l, 症例2のアミラーゼ, エラスターゼ1の最大値は2107u/l, 8310ng/dlであった. 症例1, 2共に血中のIL-6, IL-1β, GM-CSFを測定したところ, 症例1, 2ともIL-6のみが高値に検出された. しかし, アミラーゼの上昇しない糖尿病性ケトアシドーシスの2症例では, IL-6は低値であった. 以上より, 糖尿病性ケトアシドーシスに併発する急性膵炎, 膵酵素の上昇の発症にIL-6が関与している可能性が示唆された.
  • 石井 伴房, 田中 史朗, 川崎 浩一, 佐藤 利彦, 藤井 暁
    1996 年 39 巻 9 号 p. 729-732
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    To examine the effect of resistance training (RT) on insulin sensitivity we studied 13 previously sedentary non-obese non-insulin dependent diabetics (NIDDM) before and after 4-6 weeks of either RT (n=8) or no exercise (sedentary controls, n=5). The training program consisted of 2 sets of the following 9 exercises with 10-20 repetitions: arm curl, military press, push ups, squat, knee extension, heel raise, back extension, bent knee extension and upright rowing. Subjects trained 5 times a week. Glycosylated hemoglobin, insulin sensitivity assessed by euglycemic hyperinsulinemic clamp, body composition by dualenergy X-ray absorptiometry and maximal oxygen uptake (VO2max) were measured before and after the training period in both groups.
    The two groups did not differ significantly on any variables before the programs. Glucose disposal rates (GDR) during the euglycemic hyperinsulinemic clamp increased 47% in the RT group (6.69±1.92 to 9.84±3.24 mg/kg lean body mass/min, p<0.005) and did not change in the sedentary controls (6.38±1.97 to 6.83 ± 1.92 mg/kg lean body mass/min). Glycosylated hemoglobin improved significantly in a similar manner in both groups. There was no significant change in VO2max in the RT group.
    It was concluded that RT improved insulin sensitivity in non-obese NIDDM without any changes in VO2max.
  • 1996 年 39 巻 9 号 p. 733-753
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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