糖尿病
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40 巻, 10 号
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  • 清野 裕
    1997 年 40 巻 10 号 p. 641-642
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 山田 祐一郎
    1997 年 40 巻 10 号 p. 643-645
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    血中のグルコースは, 膵β細胞内で代謝を受け細胞内ATP濃度の上昇となって表れる. 細胞内ATP濃度の上昇をATP感受性カリウムチャネルが感知しチャネルを閉鎖することにより, 膜電位が上昇し電位依存性カルシウムチャネルが開口し, 細胞内カルシウム濃度が上昇し, インスリン分泌が惹起される. したがって, ATP感受性カリウムチャネルは糖代謝の変化をカルシウムイオン濃度の違いに変換する上で鍵となる蛋白と考えられる.
  • 三輪 一智
    1997 年 40 巻 10 号 p. 647-649
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    膵β細胞において, グルコースの大部分は解糖系で代謝される. 生じたピルビン酸の一部分がミトコンドリアに入り, アセチル-CoAとオキサロ酢酸に変化し, アセチル-CoAはTCAサイクルで代謝される. ピルビン酸の多くは, 細胞外へ出たり, アラニンあるいは乳酸へと変化する. 解糖系で生じるNADHの多くは, 還元力運搬シャトルを介してミトコンドリアの電子伝達系で酸化される. グルコースの代謝により産生されるATPがインスリン分泌の主な引き金になる.
  • 間中 英夫, 山谷 恵一
    1997 年 40 巻 10 号 p. 651-653
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病におけるインスリン分泌はIDDM, NIDDMおよび二次性糖尿病にはそれぞれに特徴がある.IDDMはインスリン分泌が突然消失してしまうが, NIDDMではインスリン分泌は一時的に亢進し, やがて低下する. 二次性糖尿病ではインスリン分泌は低下せずに亢進し, 原因疾患を除くと正常に戻る. 日本人と米国人におけるNIDDMでは日本人のインスリン分泌能は低い傾向にある. 初期の肥満糖尿病では, インスリンの高分泌状態にある.
  • 駒津 光久, 橋爪 潔志
    1997 年 40 巻 10 号 p. 655-658
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ブドウ糖は, KATPチャンネル経路を介して膵B細胞の [Ca2+] iを上昇させ, Ca2+依存性のインスリン分泌を刺激する. 同時にブドウ糖はCa2+による分泌を増強する作用を有し, この作用はKATPチャンネルを介さない. さらにブドウ糖は, [Ca2+] iの上昇と無関係に, プロテインカイネースAおよびCの同時刺激によるインスリン分泌を強力に増強する. このように, ブドウ糖は少なくとも2種類の非KATP経路を介してインスリン分泌を制御している.
  • 川野 貴弘, 西浦 公章, 車谷 典男, 土肥 祥子, 米増 國雄, 金内 雅夫, 土肥 和紘
    1997 年 40 巻 10 号 p. 659-663
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者は非糖尿病患者に比して大腸癌に罹患しやすいかを検討する目的で横断研究を実施した. 対象は, 総合病院町立大淀病院で全大腸内視鏡検査が施行された患者391例 (男性235例, 女性156例, 平均年齢61歳) である. Mantel-Haenszel法で算出したオッズ比から糖尿病と大腸癌合併の関連性について検討した. 大腸癌の合併は, 糖尿病患者57例中17例 (有病率30%) に対し, 非糖尿病患者334例中48例 (有病率14%) であった. 大腸癌有病率についての非糖尿病群に対する糖尿病群のオッズ比は, 2.35 (95%信頼区間: 1.28~4.48) であった. 以上から, 糖尿病患者は, 非糖尿病患者に比して大腸癌に罹患しやすいことが示唆される.
  • 平井 法博, 金森 晃, 的場 清和, 矢島 義忠
    1997 年 40 巻 10 号 p. 665-672
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    NIDDM腎症早期において, 1-lysine (L) 負荷を用い尿細管アルブミン (Alb) 再吸収の尿Alb排泄率 [UAE (μg/min)] に及ぼす影響を検討した. 糖尿病群 (DM群42例, AERにより15未満; DMI群, 15以上40未満; DM II群, 40以上200未満; DM III群に分類) および健常対照群 (C群10例) を対象とした. 各群のUAEは, C群6.7±0.84, DM I群6.2±0.8, DM II群34.3±5.2, DM III群143.2±2.1であった. L負荷時UAEは, C群180.4±8.3, DM I群180.7±10.6, DMII群208.4±22.3, DM III群237.8±20.3で, DM III群は他の3群に比し高値 (p<0.05) を示し, DM群におけるUAEとは正相関を示した (r=0.366, p<0.05). 尿細管Alb再吸収率 [%T (%)] は, C群96.3±0.5, DM I群96.5±0.4, DM II群80.8±3.1, DM III群40.4±7.3と, DM II群はC群, DM I群に比し低値を (P<0.05), DM III群は他の3群に比し低値を示した (p<0.001). UAEと%Tとは, DM群でr=-0.933の負相関 (P<0.001) を示した. 腎症早期においてUAEの増加に伴う尿細管Alb再吸収の低下を認め, その尿Alb排泄への関与の程度はUAE40未満で顕著で, それ以上では糸球体からのAlb. 漏出の影響が増大することが示された.
  • 丹藤 雄介, 中村 光男, 須田 俊宏, 武部 和夫
    1997 年 40 巻 10 号 p. 673-678
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は58歳, 男性. 主訴は発熱, 全身倦怠感, 食欲不振45歳で糖尿病を指摘されたが不規則な通院状況であった. 脱水と腹部膨満, 炎症所見, 腹部単純写真による上行結腸部のガス像と小腸ガス像から, 麻痺性イレウス疑いで入院となった. 入院後腹部CTで巨大なガス像と右腎背側にニボーを伴う膿瘍と思われる液体貯溜部位を認め, 腎周囲膿瘍から波及したガス産生菌による後腹膜膿瘍と診断した. スライディングスケールを用いたインスリン投与による血糖コントロール, 補液, 抗生物質投与のうえ, 開腹ドレナージを施行した. 大量の無臭ガスの排出と約50mlの白色の膿汁が吸引され, 培養でKlebsiella pneumoniaeが検出された. 入院後8週目に再発熱し, 術創を開放したままの再ドレナージにて治癒となった. 後腹膜膿瘍は比較的稀な疾患であるが, 過去5年間の本邦における報告74例の検討で, 基礎疾患の記載があった22例中11例が糖尿病を有していた.
  • 梅野 美一, 太田 善郎
    1997 年 40 巻 10 号 p. 679-684
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は60歳, 女性. 1991年の春より口渇, 全身倦怠感を自覚. 自覚症状が増強するため1992年1月, 近医を受診. この時, 初めて糖尿病の診断を受け, 経口血糖降下薬の投与を受ける. しかしながら, 自覚症状の改善が得られないため, 同年3月16日当科外来を受診. 身長155cm, 体重35.5kg (BMI14.8), 尿ケトン体3+, FPG366mg/dl, HbA1c 14.3%. 強化インスリン療法施行し, インスリン量30単位/日で血糖コントロールが得られ, その後インスリン需要量は減少. 約1カ月で完全寛解に導入できた. 24時間蓄尿中CPR値は19.5μgから43μgまで回復しかしながら, その後, 高血糖により5回の入退院を繰り返し, この間インスリン内分泌能は徐々に低下. これに伴いインスリン必要量も, 4単位/日, 6単位/日, 12単位/日, 18単位/日, 24単位/日と徐々に増加した. 1996年に検査した24時間蓄尿中CPR値は7.6μg. グルカゴン1mg静注負荷試験△CPR6分値は0.1ng/mlであった. ICAは陰性であったが, 1996年に検査した抗GAD65抗体は45U/ml (正常値5U/ml未満) と陽性であった. また, HLAではDR4が認められた. 本例は, 高齢者のIDDMで, 3回の寛解を経験し得た興味深い症例と考え報告する.
  • 杉山 和彦, 佐々木 英夫
    1997 年 40 巻 10 号 p. 685-690
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖質に富むソフトドリンクの大量摂取により, 糖尿病性ケトアシドーシスを発症し, 著しい脱水を呈してrhabdomyolysisを合併した症例を報告する. 入院時に, pH 7.05, 血糖1723mg/dl, 尿ケトンは陽性で, 糖尿病性ケトアシドーシスと診断した. 血清ミオグロビンは, 14000ng/mlと著しく上昇しており, rhabdomyolysisと考えられた. 第1~第3病日に10l以上の輸液を連日行ったが, 中心静脈圧は0cmH2Oと低値で著しい脱水がみられた. 通常の糖尿病性ケトアシドーシスに対する輸液のスピード, 輸液量では不十分であった. 28日間のインスリン治療を要したが, その後食事療法, 運動療法にて糖尿病はコントロールされている. 血中, 尿中Cペプチドが高値で, GAD抗体も陰性であったことより, インスリン非依存性糖尿病と考えられた.
  • 山口 満喜子, 中埜 幸治, 近藤 元治
    1997 年 40 巻 10 号 p. 691-695
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は21歳の女性. 家族歴; 母親IDDM. 高血糖に伴った自覚症状は無く, 視力障害を契機として発見されたIDDMの1例である. 発見時より右眼に眼底出血左眼に軟性白斑が散在していた. また, 軽度の自律神経障害, 早期腎症および成長ホルモンの過剰分泌を伴っていた. 緩徐な血糖コントロールと光凝固療法を施行したが, 半年後に右眼の硝子体出血をおこし, 硝子体摘出術を受けた. 本症例のように, 急速に網膜症が発症・進展する原因には, 罹病期間や血糖コントロール以外にPuberty factorとしての成長ホルモン, 自律神経障害, 糖尿病遺伝歴などの, 種々の因子の関与が考えられる.
  • 熊谷 秋三, 日高 己喜, 花村 茂美, 二宮 寛, 佐々木 悠
    1997 年 40 巻 10 号 p. 697-700
    発行日: 1997/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    耐糖能のみに差を認める成人男性を対象に, IGT, NIDDMおよびコントロール群の3群間の性ホルモンおよび性ホルモン結合蛋白 (SHBG) 水準を比較検討した. 性ホルモン, LH, FSHおよびSHBG水準には, IGTおよびNIDDM両群間に有意差を認めなかった. 一方, IGTおよびNIDDM群の遊離テストステロンおよびSHBG水準は, コントロール群に比べ有意に低下していた (p<0.05). 以上の成績から, 耐糖能異常の初期段階において, すでに相対的な性腺機能の低下 (relative hypogonadism) 状態が存在すると考えられた.
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