糖尿病
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40 巻, 7 号
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  • 佐中 真由実, 嶺井 里美, 佐中 孜, 金室 麗子, 柳沢 慶香, 長嶋 たまき, 大森 安恵
    1997 年 40 巻 7 号 p. 387-393
    発行日: 1997/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病妊婦から出生する児における奇形へのフリーラジカルの関与を明らかにすることを目的とし, フリーラジカルによる細胞障害の指標としてPhosphatidylcholine Hydroperoxide (PCOOH) を, 化学発光-HPLCを用いて測定した. 対象は糖尿病妊婦68例であり, 正常妊婦76例, 糖尿病非妊婦196例, 健常女子24例を対照コントロールとした. 健常女子におけるPCOOHは368.2±114.1pmol/ml (mean±SD) であった. 糖尿病非妊婦では健常女子に比し有意に高値を示した. 正常妊婦においてPCOOHは妊娠後期で健常女子に比し有意に高値であった. 糖尿病妊婦の血糖コントロールは良好であったが, PCOOHは妊娠後期では初期より有意に高値を示した. しかし妊娠各期において正常妊婦と差を認めなかった. 奇形の有無が決定される妊娠初期においてPCOOHは健常女子, 正常妊婦の妊娠初期の値と差は認められなかった. 対照とした糖尿病妊婦から奇形児の出生はなく, 人において児奇形とフリーラジカルとの関係を明らかにすることは出来なかった.
  • 守友 康記, 平野 勉, 芳野 原, 柏崎 耕一, 辻 正富, 永野 聖司, 足立 満
    1997 年 40 巻 7 号 p. 395-402
    発行日: 1997/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    現在治療中のインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) を対象に血清トリグリセライド (TG) の上昇に糖尿病性腎症がいかに重要な影響を及ぼすかについて検討した. 年齢40-79歳, 平均Body Mass Index (BMI) が, 22-24の非糖尿病対照群66名とNIDDM274名をアルブミン尿量の程度により正常アルブミン尿, 微量アルブミン尿, 顕性アルブミン尿群に分類した. 腎症を有さない糖尿病のTG (110±6mg/dl) は対照群 (120±7mg/dl) とほぼ同等であったが, 微量アルブミン尿群で157±8mg/dl, 顕性アルブミン尿群で169±11mg/dlと糖尿病性腎症を合併すると有意に上昇した. HbA1cおよび空腹時血糖 (FPG) は糖尿病性腎症で有意な上昇を示さなかった. TGと独立して有意な相関関係にあったのは尿アルブミン量およびBMIであり血糖コントロールとは相関関係が成立しなかった. 入院中の53名のNIDDMにGlucose, Insulin, Octreotideを持続静脈内注入してインスリン抵抗性を測定するSteady-State Plasma Glucose (SSPG) 法を施行した. TGの上昇を示した顕性アルブミン尿群でのSSPG値は正常アルブミン尿群に比し有意な高値を示さず (264±40vs250±21mg/dl), TGは尿アルブミン量とのみ相関してSSPGとは相関しなかった. 以上の結果より少なくとも本邦における中高年層のNIDDMで血清TGが上昇する機序には前臨床期を含めた糖尿病性腎症の合併が大きく関与している可能性が示唆された.
  • 酒井 武則, 南 尚佳, 田丸 正明, 松浦 文三, 恩地 森一
    1997 年 40 巻 7 号 p. 403-407
    発行日: 1997/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    PCR-RFLP法にて HLAclass II genotype を判定し, 日本人の肥満を伴わないNIDDMとの関連性について検討した.当科にて加療中のNIDDM患者165名中, 最大既往BMI 24未満のもの (非肥満群) 35人, 28以上のもの (肥満群) 27人, OGTT正常型で糖尿病の家族歴を有さない40歳以上のもの (コントロール群) 27人を対象とした. 非肥満群は肥満群に比べ有意に食事療法のみでコントロール可能なものの割合が少なく, 早期にインスリン依存性の傾向を認めた. DQA10103, DQB10601, DR2はそれぞれ非肥満群はコントロール群に比べ有意に多く認めたが, 肥満群とコントロール群との間には有意な関連を認めなかった. また, 日本人インスリン依存型糖尿病 (IDDM) に抵抗性を示すとされるハプロタイプ (DR2-DQA1 0103-DQB1 0601) は非肥満群で有意に多く認めた.(P<0.05)
    以上より日本人非肥満NIDDMにおいてIDDMに抵抗性を示すHLAアリルが関連することが示唆された.
  • 5年間のFollow-upによる検討
    家城 恭彦, 高桜 英輔, 大沢 謙三
    1997 年 40 巻 7 号 p. 409-416
    発行日: 1997/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    顕性蛋白尿を認めないインスリン非依存型糖尿病患者104名を対象に, 尿中カッパライトチェーン (KLC) を尿中アルブミン (ALB) とともに5年間にわたり追跡調査した. 尿中ALB-クレアチニン (Cr) 比 (ALB-Crratio, ACR) は, Normoalbuminuria (Normo: ACR<20mg/gCr) 例, Microalbuminuria (Micro: 20≦ACR<150mg/gCr) 例のいずれにおいても, 尿中KLC-Cr比 (KLC-Crratio, KCR) 正常群 (<5.8mg/gCr) では5年間に有意な変動を認めなかったのに対し, KCR上昇群 (≧5.8mg/gCr) では3年目以降有意に増加した. また, 5年間のACRの変化を追跡し, Normo, Micro, Macroalbuminuria (Macro: ACR≧150mg/gCr) のどれに移行したかをみると, ACR悪化例はKCR正常群では67例中8例 (11.9%) であったのに対し, KCR上昇群では37例中10例 (27.0%) と有意に多く, 逆にACR改善例はKCR上昇群では1例もなかったのに対し, KCR正常群では67例中7例 (10.4%) と有意に多かった. さらに, 重回帰分析の結果, 年齢, 糖尿病罹病期間, body mass index (BMI), HbA1c, および平均血圧 (MBP) の各要因で補正した後のKCRは, 有意に5年後のACRに影響していた. 一方KCRは, ほぼ全経過を通してACRのNormo例に対しMicro例が有意に高値を示したが, いずれも開始時に対し有意な変動は認めなかった. 以上より, 尿中KLCの増加から将来の尿中ALBの増加を予測しうることから, 尿中KLCは早期腎症の発症ならびに進展予測の有用な指標である可能性が示唆された.
  • 鈴木 吉彦, 畑 隆志, 谷山 松雄, 島田 朗, 朝比奈 崇介, 細川 和広, 渥美 義仁, 松岡 健平
    1997 年 40 巻 7 号 p. 417-420
    発行日: 1997/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    To determine the latent effect of diabetes inheritance on central nervous system, thirty diabetic patients were examined (14 male, 16 female). Seventeen patients had a mother with diabetes, and the other thirteen had non-diabetic mothers. They were previously determined to not have the 3243 mitochondrial tRNA mutation in peripheral leukocytes. Patients were tested for parieto-occipital hypoaccumulation of 123I-IMP of brain SPECT, a characteristic neurofinding of mitochondrial diabetes mellitus due to the 3243 tRNA mutation.
    Seven (41.2%) out of 17 subjects with maternal inheritance had the parieto-occipital abnormality, whereas one (7.7%) out of 13 subjects with non-maternal inheritance had the abnormality. Seventeen (94.4%) out of 18 patients with diabetes due to mitochondrial tRNA mutation at position 3243 showed the abnormality.
    Our results suggest that the maternal inheritance of diabetes is associated with the hypoaccumulation of 123I-IMP of brain SPECT. We speculate that, because the patients with maternal inheritance might have subclinical mitochondrial dysfunction due to unknown mitochondrial DNA abnormalities, the mitochondrial DNA abnormality might cause their subclinical brain damage in the parieto-occipital area.
  • 1997 年 40 巻 7 号 p. 421-430
    発行日: 1997/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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