肥満インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) に対する低エネルギー食の適正糖質脂肪配分比を明らかにする目的で, NIDDM患者26名 (男性8名, 女性18名) を対象とし, 低エネルギー食 (1000kcal/日) を低糖質食 (蛋白質: 脂肪: 炭水化物=25: 35: 39) と高糖質食 (蛋白質: 脂肪: 炭水化物= 26: 10: 62) に分け, 2週間ずつ交互に施行し, 糖, 脂質代謝に及ぼす作用を比較検討した. なお, 前期をpreconditioning期とし, 後期にみられた変動を主に評価すると, 体重減少率は両食とも5%/2weeksで差を認めず, 体脂肪率の減少も両食ともほぼ同様であった. 空腹時血糖は, 低糖質食で30±3%/2weeksの低下を認めたのに比し, 高糖質食では低下傾向を示さなかった. 尿中C-ペプチドは, 低糖質食で50±23%の低下傾向を示したのに比し, 高糖質食では上昇傾向を認めた. 脂質代謝では, 中性脂肪は低糖質食で20±8%/2weeksの低下, 高糖質食で5±10%/2weeksの上昇を認め, HDL-コレステロールは低糖質食で10±3%/2weeksの上昇, 高糖質食で5±10%の低下傾向を認めた. なお, 総コレステロールは両食ともに変動は認めなかった. 以上より肥満NIDDMに対する低エネルギー食療法のエネルギー比は, 低糖質食の方が高糖質食に比し, より血糖低下, TG低下, HDL上昇が多くみられ, 有用性が高いことが示唆された.
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