症例は11歳女性. 平成7年11月近医で頸部の色素沈着 (Acanthosisnigricans) と高度肥満 (160.8cm, 97kg, BMI37.5kg/m
2) を指摘され, 当科に紹介された. 家族歴で祖父母に糖尿病があり, 父・兄・妹とも高度肥満. 75gブドウ糖負荷試験で著明な高インスリン血症 (空腹時273μU/m
l, 頂値597μU/m
l) とHOMAモデルで著明なインスリン抵抗性 (HOMA-R: 67.3) を認めた. 外来での食事療法では十分な減量効果は得られず, 平成7年12月より超低カロリー食を併用した食事療法 (960kcal) で治療したところ, 1カ月で7.4kgの減量に成功し, その後は, 1200kcalの食事療法に変更し, 6カ月で17.3kgの減量効果が得られ, それに伴い高インスリン血症は改善された (19.5μU/m
l). 本例における著明な高インスリン血症とインスリン抵抗性を来した原因は不明だが, 糖尿病の家族歴・高度肥満・脂肪肝に加え, 高脂肪食摂取とβ
3アドレナリン受容体ミスセンス変異 (ヘテロ) の関与が推察された.
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