糖尿病
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41 巻, 7 号
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  • 心臓カテーテル検査入院患者との対比において
    絹巻 純子, 大橋 誠, 野村 誠, 山田 義夫, 鎌田 武信, 阿部 裕
    1998 年 41 巻 7 号 p. 493-499
    発行日: 1998/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 糖尿病患者の行動特性の分析を, ロールシャッハ・テストを用いて行った. 対象は糖尿病教育入院のインスリン非依存型糖尿病症例98例 (男性46名, 女性52名, 平均年齢59±10歳, 平均糖尿病罹病歴8±7年) であり, 同時期に心疾患にて心臓カテーテル検査入院した83例 (男性50名, 女性33名, 平均年齢59±11歳) の心疾患症例を対照として比較検討した. その結果, (1) 心疾患群に比して糖尿病群では, 感情より雰囲気に敏感な人が多いこと, (2) 罹病期間10年以上の糖尿病患者における合併症の有無での比較では, 合併症を認めない群にて周囲の雰囲気に同調しようとする人が多く認められること, (3) 入院時の血糖コントロールに関してコントロール不良群では, コントロール良好群と比較して一面的対応に陥っていることが示された. 糖尿病患者教育指導に際しては, このような行動分析結果を活用することが, 治療に関する指導効果を上げるために有用であると思われた.
  • 清野 弘明, 刈田 明代, 荒若 信子, 山崎 俊朗, 熱海 真希子, 菊池 宏明, 阿部 隆三
    1998 年 41 巻 7 号 p. 501-506
    発行日: 1998/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Glutamic acid decarboxylase (GAD) 抗体の抗体価が高いほど, インスリン依存型糖尿病発症への進行が緩徐であるという報告がある. そこで, IDDM (95例) とSPIDDM (64例) における, インスリン分泌能とGAD抗体価の関連にっき検討した. GAD抗体陽1生率は, 罹病期間5年から15年で, SPIDDMでIDDMに比較して有意 (P<0.01) に高かった. インスリン分泌能とGAD抗体価との関連で, 罹病期間5年以内のIDDMでは, GAD抗体価とインスリン分泌能に有意の正の相関 (r=0.43, p<0.05) をみた. しかし, 罹病期間6年以上のIDDMでは, GAD抗体価とインスリン分泌能に関連は認めなかった. SPIDDMでは, 罹病期間ごとの検討でも, GAD抗体価とインスリン分泌能に関連を認めなかった.
  • 井上 正幸, 橋本 英利, 安保 克己
    1998 年 41 巻 7 号 p. 507-512
    発行日: 1998/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    29人の健康者と27人の糖尿病患者から赤血球膜脂質を抽出した. この脂質をメタノリシスで処理した後, gas chromatography-mass spectrometryで分析した. 分析の結果として, 酸化コレステロールである2, 5, 7-cholestatriene (以下Triと略す) が27人の糖尿病患者のうち23人に検出された. しかし, 健康者ではTriは検出されなかった. 糖尿病では酸化的ストレスが増大していると考えられている. この酸化的ストレスがcholesterolをTriへ酸化させたと考えられた. このTriはmethanoiysisで処理されたため, 脱水体として検出された.そのためTriは赤血球膜では7-dehydro cholesterolとして存在すると推測された.糖尿病患者のTriの相対ピーク高とHbA1c値の間には有意な相関関係は認められなかった.我々はすでにもう一つの酸化コレステロールである7-keto cholestadiene (以下KDと略す) を糖尿病患者の赤血球膜脂質から検出したと報告している. Triのピーク高はKDのそれの50%以下であるため, Triは, 中間生成物であり, さらにcholesterol-epoxideへと酸化されるであろうと推測された.
  • 石井 伴房, 山北 哲也, 川崎 浩一, 長谷川 隆典, 山本 恒彦, 佐藤 利彦, 田中 史朗, 藤井 暁
    1998 年 41 巻 7 号 p. 513-517
    発行日: 1998/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    NIDDM患者を対象に身体トレーニングの血清レプチンに及ぼす効果を検討した. 対象は運動習慣のない肥満NIDDM患者19名 (運動群9名, 非運動群10名) である. 両群とも入院の上, 食事療法を行い, 運動群ではVO2max50%の速歩または自転車エルゴメーターによる運動を少なくとも週5日間, 4~6週間実施した. 観察期間前には血清レプチン濃度, 体組成 (DEXA) などに両群間で差は認められなかった. 観察期間前の血清レプチン濃度と体脂肪率 (r=0.85, p<0.01), 体脂肪量 (r=0.68, p<0.01) の間には正の相関が認められた. 観察期間後血清レプチン濃度は両群で有意に低下し, 血清レプチン濃度を体脂肪率, 体脂肪量で補正した値は運動群ではそれぞれ0.14±0.03ng/ml, 0.23±0.06ng/ml/kgであり, 非運動群の0.20±0.06ng/ml, 0.33±0.11ng/ml/kgに比べ有意に低値を示した (それぞれp<0.05). 観察期間後には両群ともBMI, 体脂肪率, 体脂肪量は有意に改善した. 以上, 肥満NIDDM患者において有酸素運動の継続は血清レプチンを低下させた.
  • 小池 伸彦, 永井 幸広, 谷口 雅行, 中村 三郎, 池田 孝之, 小林 健一
    1998 年 41 巻 7 号 p. 519-525
    発行日: 1998/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例1は36歳男性. 既往歴で23歳に膵嚢胞切除手術, 33歳に小脳血管芽腫の切除手術がある. 体重減少, 全身倦怠感を訴え当科を受診した. 空腹時血糖197mg/dl, HbA1c 10.5%とコントロール不良の糖尿病であり, 入院にて治療を行った. 症例2は42歳女性 (症例1の姉). 27歳で糖尿病の診断を受け, 32歳よりインスリンによる治療を開始し, HbA1c 6%前後のコントロールを維持している. CT上膵臓は2症例とも1~2cm大の嚢胞の集籏があり膵実質の減少を来していた. 画像検査, 家族歴より多発性膵嚢胞を呈し糖尿病を合併したvon Hippel-Lindau病の同胞例と診断した. 2症例ともインスリン分泌能の低下, 膵酵素基礎値の低下を認めた. 同疾患は多発性膵嚢胞を合併することは多いが, さらに糖尿病を併発した報告は少ない. しかし, なかには多発性膵嚢胞により膵内分泌機能の低下を来し, 糖尿病に至る症例があることが示唆された.
  • 高山 真一郎, 杉本 忠夫
    1998 年 41 巻 7 号 p. 527-530
    発行日: 1998/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は, 70歳女性で1989年糖尿病と診断をうけ, 食事療法と経口血糖降下剤療法開始した. 1996年2月HbA1c 10.7%と血糖コントロール不良のため入院し, 食事療法を行いglibenclamide 2.5mg/日を内服したが, 血糖コントロールは改善せず, voglibose 0.6mg/日の内服を追加した. 3日間両剤を併用したが, 消化器症状のためvoglibose中止した. そして5日目の朝食前血糖値59mg/dlと低いためこの日からglibenclamideの内服も中止したが, 昼食前血糖値52mg/dl, かっ血清IRI 16.5μU/ml, 血清CPR 5.5ng/mlと低血糖にもかかわらず血清IRI, CPRはやや高値を示した. インスリノーマの所見は認めなかった. 本例はglibenclamide内服中にvogliboseの併用をきっかけに低血糖をきたし, 遷延性低血糖の発生にvoglibose併用が関与している可能性が推測された.
  • 中村 典雄, 北沢 勉, 堀 宏之, 宇野 立人, 村上 史峰, 山崎 勝也, 佐藤 啓, 手丸 理恵, 石倉 裕子, 鷹田 美智代, 笹岡 ...
    1998 年 41 巻 7 号 p. 531-537
    発行日: 1998/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は36歳の男性, 来院時血糖値973mg/dl, 尿ケトン強陽性, 著明な代謝性アシドーシスを認め, 糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) と診断した. また来院時胸部X線上両側下肺野中心に浸潤影認め, 当初両側肺炎を合併しているものと考えたが, その後急速に呼吸状態が悪化し入院6時間後にはレスピレーター管理となった. 急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) と考え, PEEPを含む機械的換気, ステロイドパルス療法にて対応した. またrhabdomyolysisから急性腎不全となり, DICも併発した. これらに対して血液透析, 蛋白分解酵素阻害剤等を投与し, 徐々に状態は改善した. 本例のようにDKAにARDSを合併し救命し得た例は非常に稀であり, 適切な呼吸管理とともに合併症に対する迅速な対応が重要であると考えられた.
  • 1998 年 41 巻 7 号 p. 539-573
    発行日: 1998/07/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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