小児slowly progressing IDDM (SPIDDM) 44例の診断時における臨床的特徴について検討した.(1) 男/女比は15/29で有意に女性が多く, 思春期年齢での発症が多かった.(2) 診断時のBMIは17.0±1.7kg/M
2であり, 全例で肥満を認めなかった.(3) 第1度近親者の糖尿病家族歴は39%で, 有意ではないが急性発症1口DMより高頻度の傾向を示した.(4) 空腹時血糖値は200mg/d
l未満が多く, HbA
1cは9%未満が多かった.(5) OGTTにおけるIRI頂値, Insuinogenic Indexは低値を示したが, グル力ゴン負荷時のC-ペプチド頂値と24時間尿中C-ペプチド値は急性発症IDDMに比べて有意に高かった.(6) 診断時の1CA, 抗GAD抗体の検出率は66%, 53%と高頻度であり, 急性発症IDDMに比べて低抗体価を示すものが多かった.(7) HLAの検討では, 疾患感受性であるDR4, DQB1*0401は高頻度の傾向を示したが, 疾患抵抗性であるDR2, DQB1*0602の頻度は, 急性発症IDDMと異なり非糖尿病群と有意差を認めなかった. 以上の結果から, 小児SPIDDMは急性発症IDDMとは異なったIDDMの1亜型であると考えられた.
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