糖尿病
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42 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 芳野 原, 平野 勉, 鹿住 敏
    1999 年 42 巻 9 号 p. 727-733
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    新たに開発された経口血糖降下剤, troglitazoneのインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 患者におけるリポ蛋白, とくに低比重リポ蛋白 (LDL) 粒子サイズに対する効果を観察した. 対象は32例のNIDDM患者 (男性18例, 女性14例で, 食事療法者8例, sulfonylurea (SU) 剤服用者16例, α-glucosidase阻害剤服用者10例を含む) で, 全て外来通院中で, 高度の肥満, 甲状腺, 腎臓, および肝臓疾患を有する症例, さらに利尿剤, ステロイド, および抗高脂血症治療剤服用中の症例は除外した. 1ヵ月間以上血糖コントロールが安定した後, 200あるいは400mg/dayのtroglitazoneの投与を開始し, 2ヵ月目からは全例400mg/dayに移行した. 治療開始後, 空腹時血糖 (FBS) およびHb A1cは3ヵ月で有意に低下した. 血中総コレステロール, アポ蛋白A1, およびB値, いずれも不変であった. 一方, 血中総トリグリセライドは1カ月目から有意に低下した. さらにLDLサイズの増大も1ヵ月目から有意であった. 以上, 治療開始後血中トリグリセライドの変化とともに, LDLサイズの変化がFBSおよびHb A1cの変化に先行したことから, 本薬剤のLDLサイズへの効果はトリグリセライド代謝の変化を介したものと理解された.
  • 峯廻 攻守, 田中 繁道
    1999 年 42 巻 9 号 p. 735-742
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    動脈硬化症 (CAD) を促進する冠危険因子中, 耐糖能異常 (AGT) に着目し, 病因論的独立性とその特色を明らかにすべく検討を行った. 1996年1月-同年12月末までの循環器内科全入院症例765例および入院症例中CADを有する非糖尿病 (Non-DM) 群72例, AGT群64例 [耐糖能障害 (IGT) 23例, インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 41例] を対象とした. CADの重症度はすべて冠動脈造影を基本とし, Gensini Scoreを用いた. その結果, (1) 全入院症例中48%にAGTを認めた.(2) 他の冠危険因子の合併を調整しても, AGTは独立したリスクであった.(3) Hb A1cとCAD重症度との間には, Non-DM群では相関を認めず, AGT群では有意 (r=0.589, p<0.05) の正相関を認め, 機序として糖代謝異常そのものが, CADの進展に直接関与する可能性が示唆された. IGTを含めてAGTの激増が予想される本邦の現況下で, 死因であるCADの一次予防のためにも, IGTを含めたAGTの管理, すなわち血糖コントロールがますます重要であることを強調したい.
  • 合併症別医療費の検討
    内潟 安子, 折笠 秀樹, 坂巻 弘之, 岩本 安彦
    1999 年 42 巻 9 号 p. 743-750
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病における糖尿病性合併症と医療費との関係を検討するために, 東京女子医科大学糖尿病センターにおいて治療を受けている糖尿病患者81例 (再来全患者総数の8%) の過去11ヵ月の1通院当たりの平均医療費を分析した.調査対象となった全患者1回通院当たりの医療費は4, 526±5, 669点 (平均±標準偏差) であった. 糖尿病性合併症の有無別では, 神経障害網膜症, 腎症および足病変のいずれについても合併症を有する群で費用が有意に高かった. 治療中断の医療費に対する影響を分析した結果, 治療中断のあった群では, 合併症発現の割合が高く, 医療費についても高い傾向が認められた. 今後, 糖尿病医療費に影響を与える要因の精査のために広範な前向きコホート研究が必要と考えられた.
  • 華房 順子, 工藤 寛, 千葉 陽一
    1999 年 42 巻 9 号 p. 751-757
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例1は58歳男性.7年前に糖尿病と診断されるも放置.初診時高血糖 (血糖705mg/dl, Hb A1c 14.8%) と高血圧あり, 糖尿病性網膜症, 腎症, 神経障害を認めた. 入院後血糖, 血圧改善するも, 突然, 左上下肢にchorea発現. CTで右被殻に高吸収域を, MRI T1強調画像で右被殻-尾状核に高信号を認めた. 3ヵ月後より症状改善し始め, 画像所見も減弱した. 症例2は46歳男性. 6年前に高血糖指摘受けるも放置. 突然右上下肢にchorea発現. 糖尿病 (Hb A1c 12.1%) と高血圧指摘され2週間入院加療受けるも, 改善不十分なため, 当院受診. 高血圧動脈硬化性眼底変化とともに尿蛋白陽性, 神経障害を認め, 左被殻にCTで高吸収域, MRI T 1強調画像で高信号を認めた. ハロペリドールを使用し発症より2ヵ月後に症状消失し, 5ヵ月後のMRI所見は消失していた. 2例とも糖尿病, 高血圧による臓器障害を有しており, 病因として虚血, 神経伝達物質の乱れなどの関与が考えられた.
  • 青木 孝彦, 傍島 裕司, 鈴木 康史, 佐々 寛己
    1999 年 42 巻 9 号 p. 759-763
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は69歳女性で, 既往および家族歴に薬剤障害がある. 1997年6月はじめて糖尿病と診断されGliclazide 40mgを投与開始された. 同年10月31日, 血糖コントロール不良のため (Hb A1c8.0%) ダオニール® (Glibenclamide, ヘキスト・マリオン・ルセル株式会社) 2.5mg錠に変更となった. 同11月2日より全身倦怠, 食思不振, 38℃以上の熱発, 全身の皮疹出現し, 皮膚科にて多形浸出性紅斑と診断された. さらに四肢の筋力低下と血液検査上, LDH 1, 108IU/l, CPK 6, 030IU/l (MM 5, 908IU/l), ミオグロビン704ng/ml, Cre 2.0mg/dlのため横紋筋融解とそれによる急性腎障害を来したものと判断した. ダオニール®を中止しステロイド投与により速やかに症状は改善した. リンパ球刺激試験で陽性を示したことから, これらの症状はダオニール® に対するアレルギー性機序により生じたものと考えられた.
  • 山内 晃, 武井 直之, 江口 豊寿, 猿田 享男
    1999 年 42 巻 9 号 p. 765-768
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    We investigated the metabolic effects of switching from sulfonylurea (SU) to troglitazone (TR) in 14 patients with mild (Hb A1c<7%) non-insulin-dependent diabetes mellitus (NIDDM). BMI, FPG, fasting IRI and C-peptide, Hb A1c, lipid profile, and homeostasis model insulin resistance index (HOMA-R) were evaluated immediately before, 12 and 24 weeks after switching from low dose SU to TR (400mg/day). BMI, FPG, Hb A1c and lipid profile did not change significantly. However, IRI, C-peptide, and HOMA-R significantly decreased after switching to TR (IRI, 10.0±5.4 to 6.7±2.8μU/ml; C-peptide, 2.4±1.0 to 1.9±0.7ng/ml; HOMA-R, 3.2±2.0 to 2.1±1.0). These results indicate that swithcing to TR monotherapy ameliorates insulin resistance in mild NIDDM patients on low dose SU.
  • 荒木 勉, 東福 要平
    1999 年 42 巻 9 号 p. 769-772
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    耐糖能異常 (IGT) 患者のQTc時間に影響を及ぼす因子を明らかにするために, 耐糖能に関係する臨床パラメータ-とQTc時間との関連について検討した. 75g糖負荷試験でIGTと判定された男性患者65例を対象として, 年齢, BMI, 血圧 (SBP, DBP), 脂質 (TC, HDL-C, TG), Hb A1c, 血糖値 (FPG, PG), インスリン値 (FIRI, IRI), インスリン抵抗性指数 (R) などの臨床パラメーターとQTc時間との相関係数rを単回帰分析を用いて求めた. その結果, IGT患者ではBMI (r=0.308), SBP (r=0.434), DBP (r=0.425), IRI (r=0.282) がQTc時間と有意な正の相関, つまりBMI, SBP, DBP, IRIが高値を示す症例ほどQTc時間が延長していた. 以上より, 肥満およびインスリン抵抗性に関連した高血圧や高インスリン血症などの因子がIGT患者のQTc時間に影響を及ぼしている可能性が推定された.
  • 1999 年 42 巻 9 号 p. 773-812
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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