新たに開発された経口血糖降下剤, troglitazoneのインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 患者におけるリポ蛋白, とくに低比重リポ蛋白 (LDL) 粒子サイズに対する効果を観察した. 対象は32例のNIDDM患者 (男性18例, 女性14例で, 食事療法者8例, sulfonylurea (SU) 剤服用者16例, α-glucosidase阻害剤服用者10例を含む) で, 全て外来通院中で, 高度の肥満, 甲状腺, 腎臓, および肝臓疾患を有する症例, さらに利尿剤, ステロイド, および抗高脂血症治療剤服用中の症例は除外した. 1ヵ月間以上血糖コントロールが安定した後, 200あるいは400mg/dayのtroglitazoneの投与を開始し, 2ヵ月目からは全例400mg/dayに移行した. 治療開始後, 空腹時血糖 (FBS) およびHb A1cは3ヵ月で有意に低下した. 血中総コレステロール, アポ蛋白A1, およびB値, いずれも不変であった. 一方, 血中総トリグリセライドは1カ月目から有意に低下した. さらにLDLサイズの増大も1ヵ月目から有意であった. 以上, 治療開始後血中トリグリセライドの変化とともに, LDLサイズの変化がFBSおよびHb A1cの変化に先行したことから, 本薬剤のLDLサイズへの効果はトリグリセライド代謝の変化を介したものと理解された.
抄録全体を表示