2型糖尿病症例の血中レプチン値を測定し, レプチン値に関係する諸因子である性, BMI値空腹時インスリンIRD値インスリン抵抗性指数 (HOMAR), 膵β細胞機能インスリン量 (HOMAβ), 糖尿病合併症などの関与について検討した. 対象例は男性66例, 年齢63.2±1.4歳 (Mean±SE), BMI値23.4±0.5kg/m
2, 女性66例, 65.5±1.5歳, 24.4±0.5kg/m
2で, 肥満例は男性14例, 女性20例が含まれていた. 女性群で空腹時血糖値が上昇していたが, HbA
1c値, 空腹時IRI値, インスリン抵抗性指数, HOMAβによる膵β細胞インスリン分泌量, 糖尿病推定罹病期間に差はなかった. レプチン値は女性群で10.3±1.1ng/m
lと男性群 (4.2±0.4ng/m
l) に比し有意の高値であった. レプチン値に関係する因子の重回帰分析において, 男性ではBMI値空腹時IRI値, 年齢, 合併症の網膜症と腎症が関与し, 女性ではBMI値, 膵β細胞インスリン分泌量空腹時旧1値, インスリン抵抗性が関与しており, 男女において関与する因子の違いが見られた. また, 肥満を伴った2型糖尿病例のレプチン値には, 性, 膵β細胞インスリン分泌量, BMI値が関与していた. 以上の成績から, 男女のレプチン値に寄与する因子の相違が男女差に関与しており, 特に膵β細胞インスリン分泌量, インスリン抵抗性が女性の高レプチン血症に関係しているものと考えられた.
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