糖尿病
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43 巻, 10 号
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  • 勝又 一夫, 勝又 義直
    2000 年 43 巻 10 号 p. 841-846
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高齢者では耐糖能障害が若年者より多いが, ADLの悪い要介護高齢者の耐糖能障害の頻度と病態や要介護高齢者の死亡率と耐糖能との関連については明白ではない. われわれは症状の安定している脳卒中による寝たきり状態 (厚生省分類中等度B1B2, 重度のC1C2) の高齢者98例と元気な高齢者47例に7590GTTを行い, 寝たきり度とGTTの関連, 3年間経過後の死亡率との関係を検討し, 以下の結果が得られた. なお, 脳卒中から回復しADLが良くなった高齢者29例について耐糖能と1年後の死亡率との関係を検討し, 他の群と比較した.
    (1) 重度要介護のC1C2では耐糖能正常型の頻度10%は元気な高齢者の正常型の頻度36%より有意に減少し (p<0.01) 糖尿病型の頻度は増加の傾向があった.
    (2) 75gOGTTによるΔIRI/ΔBS (30min) の値が0.39以下の頻度はC1C2では元気な高齢者より多かった.(p<0.01)
    (3) 脳卒中から回復した高齢者の耐糖能の分布と1年後の死亡率は元気な高齢者と変わらなかった.
    (4) 生存分析法による検討で, ADLが悪いと耐糖能は悪くなり, 耐糖能の境界型, 糖尿病型は死亡率を増力口させた. またADLが悪いと死亡率は増力口し, ADLと耐糖能と同時に検討すると耐糖能は有意ではなくなり, ADLが死亡率と関連があった. 重度要介護高齢者の耐糖能障害の主因は低栄養による体重減少と高齢のためインスリン分泌が減少しているためと推定し, 討論した
  • 鴨井 久司, 佐々木 英夫, 小林 哲郎
    2000 年 43 巻 10 号 p. 847-852
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    SII療法では緩衝剤含有の中性インスリン製剤 (A) に比べ緩衝剤非含有の中性インスリン製剤 (B) は血糖コントロールを悪化させる. A剤に効果が匹敵する速効型酸性インスリン製剤 (C) を3年間使用した成績を報告する. 既にCSIIで治療中の11名を対象とした. B剤からC剤に変更後3年間における全例のHbA1cの推移は7.8±1.196から6.9±0.8%(M±SD)(P<0.05) であった. 個々の例では, 7例により良好な血糖コントロール効果を認めた. 8例にインスリン抗体を認めたが, 血糖コントロールへの影響はなかった. 酸性インスリン製剤の長期有効性の機序は不明であるが, チューブおよび皮下内の酸性状態はインスリンの多量体が生じにくく, 単量体に近いインスリン結晶体のため, 皮下内からのインスリンの移行がよくなるのであろう, その変化は緩衝剤非含有の中性インスリン製剤と同様に個人差が存在する.
  • レプチン値の男女差に影響する因子について
    細島 弘行
    2000 年 43 巻 10 号 p. 853-859
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病症例の血中レプチン値を測定し, レプチン値に関係する諸因子である性, BMI値空腹時インスリンIRD値インスリン抵抗性指数 (HOMAR), 膵β細胞機能インスリン量 (HOMAβ), 糖尿病合併症などの関与について検討した. 対象例は男性66例, 年齢63.2±1.4歳 (Mean±SE), BMI値23.4±0.5kg/m2, 女性66例, 65.5±1.5歳, 24.4±0.5kg/m2で, 肥満例は男性14例, 女性20例が含まれていた. 女性群で空腹時血糖値が上昇していたが, HbA1c値, 空腹時IRI値, インスリン抵抗性指数, HOMAβによる膵β細胞インスリン分泌量, 糖尿病推定罹病期間に差はなかった. レプチン値は女性群で10.3±1.1ng/mlと男性群 (4.2±0.4ng/ml) に比し有意の高値であった. レプチン値に関係する因子の重回帰分析において, 男性ではBMI値空腹時IRI値, 年齢, 合併症の網膜症と腎症が関与し, 女性ではBMI値, 膵β細胞インスリン分泌量空腹時旧1値, インスリン抵抗性が関与しており, 男女において関与する因子の違いが見られた. また, 肥満を伴った2型糖尿病例のレプチン値には, 性, 膵β細胞インスリン分泌量, BMI値が関与していた. 以上の成績から, 男女のレプチン値に寄与する因子の相違が男女差に関与しており, 特に膵β細胞インスリン分泌量, インスリン抵抗性が女性の高レプチン血症に関係しているものと考えられた.
  • 辻 みさ, 田中 剛史, 三崎 盛治
    2000 年 43 巻 10 号 p. 861-864
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は63歳, 女性. 46歳時より慢性甲状腺炎にて通院中, 1996年9月20日頃より口渇, 多尿を来し10月1日外来受診. 随時血糖563mg/dl, HbA1c 12.2%を示し, 精査力口療目的で当科入院となった. 内因性インスリン分泌の著しい低下と抗GAD抗体, 膵島細胞質抗体が陽性であり1型糖尿病と診断し, インスリン療法を開始した. 甲状腺検査にてサイロイドテスト, マイクロゾームテストは陽性を示した. 以上より本症例は慢性甲状腺炎の経過中に発症した1型糖尿病であると考えられた. 自己免疫性疾患合併1型糖尿病では, 非合併1型糖尿病に比し抗GAD抗体がより高値かつ長期にわたり陽性を示す事実も知られており, 本症例も今回の糖尿病発症以前に一過性の血糖上昇を来したことがあり, 慢性甲状腺炎の自己免疫疾患患者において, 積極的に抗GAD抗体の測定やインスリン分泌能の検討も力口えておこなう必要があると考えられた.
  • 森谷 満, 北川 隆, 村中 茂人, 中村 信子, 斉藤 義徳, 岡田 優二, 奥村 利勝, 鈴木 康秋, 高後 裕
    2000 年 43 巻 10 号 p. 865-870
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は17歳の男性. 1996年体重100kgあり, 2型糖尿病指摘されたが放置していた. 1998年2月下旬より口渇・多飲・多尿・全身倦怠感出現, 3月1日意識障害のため救急外来に搬送された. 血糖1980mg/dl, 高浸透圧性昏睡にケトアシドーシスを合併し, すでに横紋筋融解も合併していた, BUNT22.1mg/dl, 血清クレアチニン5.3mg/dlであり急性腎不全を認めた. 大量の輸液により腎不全は-時改善したが, 横紋筋融解によりCPKは1072501U/l, 血中ミオグロビン40000ng/mlと上昇, さらに血小板55000/μlとpreDIC状態となった, DICの原因となるミオグロビンの除去のため血液透析濾過を計6回施行した. 経過中-時DICとなったが, 蛋白分解酵素阻害剤, 低分子ヘパリンの投与により改善し, 救命しえた. 本例の横紋筋融解の主な原因は遷延した高ナトリウム血症と考えられた.
  • 角 雅美, 川村 光信, 鈴木 克彦, 吉澤 和彦, 石井 昌俊, 東田 寿子, 安藤 矩子, 宮崎 滋
    2000 年 43 巻 10 号 p. 873-878
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は68歳の2型糖尿病女性. 両側の下肢閉塞性動脈硬化症で運動は不十分であった. インスリン療法を行っていたが血糖コントロール不良で, 帯状疱疹によりさらに悪化した. 皮膚科入院し, 帯状疸疹は軽快したが, 血糖が改善せず当科転科. 強化療法でインスリンを計42単位まで増量し, ボグリボースも併用したが, 効果はみられず. BMIは20.8で, 体脂肪率も正常だったが, 内臓脂肪型肥満を示し, 女性で, 高インスリン血症も存在したため, トログリタゾンの適応と考え使用したところ, 投与当日から血糖は急速に低下し, インスリンの迅速な減量を要した. しかし, 投薬前後から皮膚掻痒症が増悪し, トログリタゾンを10日間で休薬した. にもかかわらず, 効果は持続しインスリンを中止し得た. 本薬でのこうした急速かつ著明な効果は興味深く, また, このような速. 著効例があるので, 特に外来治療での併用療法の際, 低血糖の出現に注意すべきであると考えられた.
  • 冨平 正子, 内薗 祐二, 佐藤 雄一, 布井 清秀, 今村 豊, 柴田 玲, 佐田 通夫, 鹿毛 政義
    2000 年 43 巻 10 号 p. 879-885
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は19歳女性. 15歳で1型糖尿病を発症, インスリン療法を開始するも血糖コントロールは不良であった. 1997年11月25日糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) で入院. 肝腫大と肝障害を認めたが, インスリン少量持続静注にてDKAを脱し, 血糖値の改善と共に肝機能も改善し退院. DKAより4週後に倦怠感で再入院. 5横指の著明な肝腫大と肝障害を認めた. ASTは最大1228U/lまで上昇し, 同時に血糖は47mg/dlまで低下, 低力リウム血症, 白血球減少を伴っていた. 肝生検ではグリコーゲンの蓄積が証明された. DKAより10週後に肝腫大は消失し肝機能も正常化した. その後も軽度の肝腫大を繰り返している. 著明な肝グリコーゲン蓄積の成因として, 高血糖とpHの変化, 及びインスリン治療後の糖毒性の解除に伴う急激なインスリン作用の増強などが各々の時期で主要な役割を果たしたと考えられ, また遺伝学的背景の関与も示唆された.
  • インスリン製剤の注射前沈殿防止とその手技指導についての考察
    朝倉 俊成, 清野 弘明, 野崎 征支郎, 阿部 隆三
    2000 年 43 巻 10 号 p. 887-891
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    NPHインスリンおよび混合型インスリン製剤使用は長時間放置した場合, 白濁液が沈殿してしまうため, 注射前の混和が必要である. そこで注射前の混和後, インスリン製剤を静止して何分でインスリンの白濁液が沈殿するかを検討した. その結果, 沈殿は2.5分前後で始まり, 5分後には有意に白濁沈殿面が降下していた. 患者のインスリン自己注射の実態調査では, 多くの場合, 振盪から注射までの時間は2分以内であった, また, 慣れることである程度の振盪から注射までの経過時間が短縮することも確認できた. しかし, 高齢者では経過時間が長くなる傾向があった. そのため, 振盪実施の呼びかけに力口えて, 経過時間を意識する指導が必要と思われる. 結論として, 確実なインスリン含有均一性を保つ方法として, 振盪を操作のどの段階に行ったとしても, 注射直前にも振盪したほうが望ましい. したがって, 模範的指導法としては「注射直前に振盪する」ことを指導したほうがよいと考えられる.
  • 宝田 亜砂子, 岡本 三希子, 吉津 久美子, 村井 信行, 戸津崎 茂雄, 川合 一良, 多喜 克徳, 岡本 元純
    2000 年 43 巻 10 号 p. 893-897
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病外来で食事記録表より算出したCaloric Index (過食の程度を評価) とCalorie C. V.(食事の “むら” を評価) を用いて, 食事療法の理解度や遵守状況を把握した2症例を報告する, 過食が問題の症例1では, 体重やHbA1cがCabric Indexと乖離して悪い時期があり, 食事記録を取り繕う等の知識の有無や遵守状況の良否の判断ができた.“むら” が問題の外食が多い症例2では, 過度な体重減少とCalorie C. V. 高値から, 外食以外での必要以上の減食が問題であることが把握できた. これらを基にした無理のない的確な指導により, 症例1, 2共, 継続可能でかつ良好なコントロールが得られた.
    食事記録表は自己申告であるため, それから算出された指標の正確さは患者の知識や心理状態に影響される. そこで, これらと体重やHbA1c等の客観的な指標との乖離の評価は, 知識や心理状態を含めた食事療法の問題点の把握に有用で, 患者のニーズに対応した指導につながる.
  • 2000 年 43 巻 10 号 p. 899-921
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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