糖尿病
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43 巻, 8 号
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  • 片平 正人
    2000 年 43 巻 8 号 p. 643-647
    発行日: 2000/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    尿中アルブミン排泄量の増加による, 糖化アルブミン (GA) と血糖値の相関の変化を検討した. 対象はNIDDM患者222名で, アルブミン・クレアチニン比 (ACR) により, A CR15mg/g. Cr未満のNormo-A群, 15~30mg/g. CrのNormo-B群, 30~150mg/g. CrのMicro-A群, 150~300mg/g. CrのMicro-B群および300mg/g.Cr以上のMacro群の計5群に分け, 各群におけるGAまたはHbA1cと, 同時もしくは1ヵ月前に測定した食後2時間血糖値 (2hPG) の相関を検討した. Micro-A群におけるGAと同時測定の2hPGの相関 (r=0.741) は, Normo-A群やMacro群における相関 (それぞれr=0.536, 0.505) よりも有意に強く, HbA1cと同時測定の2hPGの相関 (r=0.499) よりも有意に強かった. 以上より, microalbuminuriaの前期では, GAはHbA1cよりも血糖コントロールの指標として有用と考えられた.
  • 高木 勇治, 上條 美樹子, 牧野 伸治, 松永 宗雄
    2000 年 43 巻 8 号 p. 649-655
    発行日: 2000/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    坐骨神経切断モデルを用いて, ストレプトゾトシン糖尿病 (DM) ラットおよび正常対照ラット (control) ラットにおける末梢神経損傷時神経組織内のInterleukin-6 (IL-6) 産生をバイオアッセイ法を用いて測定し, 末梢神経再生像の形態計測学的評価とあわせて検討した. 神経非切断ラットでは, DM, control間でIL-6産生に有意差を認めなかった. 神経切断 (axotomy: ax) 1日後よりIL-6産生はDM, controlともに有意 (P<0.05) に上昇し, 3日後の頂値においてcontrolax群 (10.8±0.9pg/mg/ww). DM-ax群 (3.9±0.4pg/mg/ww) とDM, controlともに上昇を示したが, DM-ax群のIL-6はcontrol-ax群より有意に (p<0, 001) 低値であった, 切断35日後control群では有髄神経変性所見とともに, 有髄線維の著明な再生が認められた. DM群では変性所見はcontrol群と同様に認められたが, 有髄神経再生は遅延, 神経密度はcontrol群の32%, 線維面積は65%に過ぎなかった. 今回の結果より糖尿病性末梢神経障害では末梢神経組織内IL-6産生低下が再生遅延に関わっている可能性が考えられた.
  • 熊谷 秋三, 高柳 茂美, 坂口 三保, 加来 良夫, 二宮 寛, 佐々木 悠
    2000 年 43 巻 8 号 p. 657-667
    発行日: 2000/08/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    [目的] 年齢でマッチされた未治療, 未介入下にある男性の耐糖能境界型 (IGT;n=22, 49±12歳), 軽症2型糖尿病 (NIDDM;n=36, 50±7歳), IGT+NIDDM (n=58, 49±9歳), および健常コントロール群 (C;n=167, 46±9歳) 各4群の性ホルモンおよび脂質代謝特性を比較検討するとともに, 4群の脂質代謝指標に及ぼす体力 (推定最大酸素摂取量;VO2max), CT検査による腹部脂肪蓄積 (コントロール群は未測定), インスリン抵抗性スコアー (HOMAモデル), 性ホルモン, および性ホルモン結合蛋白 (SHBG) の独立した関与を検討する.
    [成績] IGTとNIDDM群のBMIおよびWHRはC群に比べ有意に高値であった. IGTおよびNIDDM両群の高比重リポ蛋白コレステロール (HDL-c) と遊離テストステロン水準はC群に比べ有意に低値であった. NIDDM群のSHBG水準はC群に比較し有意に低値であった, インスリン抵抗性スコアーはNlDDM>IGT>C群の順に高値であった. IGT+NIDDM群では, C群に比較しHDL-c, 遊離テストステロン, およびSHBGは有意に低値, 一方総コレステロール/HDL-c比, 低比重リポ蛋白コレステロール/HDL-c比, 空腹時血糖, 空腹時インスリン, およびIRスコアーは有意に高値であった, 耐糖能異常者群の遊離テストステロンおよびSHBG水準の低値は, BMIとWHR双方の影響を統計的に調整した後でも認められた, 脂質代謝指標を従属変数とした重回帰分析を行った結果, C群における性ホルモンおよびSHBGは有意な独立変数ではなかった. 一方, 耐糖能異常者群, 特にIGT群における総テストステロン, DHEA-sとSHBGは脂質代謝指標の有意な独立変数であった.
    [結論] 男性耐糖能異常者では, 生理的範囲内ではあるが, 相対的な性腺機能低下の存在に加え, IGT群の脂質代謝特性の調節機序の一部にテストステロン, DHEA-s, あるいはSHBGの独立した関与が示唆された.
  • 松本 一成, 矢野 まゆみ, 金本 康秀, 植木 幸孝, 三宅 清兵衛, 富永 雄幸
    2000 年 43 巻 8 号 p. 669-674
    発行日: 2000/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    インスリン抵抗性改善剤であるトログリタゾンには, 抗動脈硬化作用の存在が示唆されているが, その機序については現在未解明の部分が多い, 細胞接着分子は, 動脈硬化の発症において重要な働きをしていると考えられている.そこで, われわれはトログリタゾンの効果を接着分子との関係に焦点をあてて検討してみた.27例の2型糖尿病患者のうち17例をトログリタゾン群 (400mg/日) に割り振り, 10例を対照群として4週間治療した.そして, その前後でインスリン感受性の測定と可溶性接着分子の測定を施行した. トログリタゾン群において, インスリン負荷試験で測定したインスリン感受性 (KITT) は2.54±0.24から3.21±0.15%/min (p<0.05) へと有意に改善した. 可溶性接着分子soluble intercellular adhesion molecule-1 (sICAM-1) は, 197.6±18.7から168.4±11.1ng/ml (p<0.05) へと有意に低下した. さらに, solubleE-se-ectin (sEselectin) も70.2±8.3から57.8±6.2ng/ml (p<0.05) へと有意に低下した. しかし, solub-evascular cell adhesion molecule-1 (sVCAM-1) は有意な変化を示さなかった. インスリン感受性の改善度とsE-se-ectinの血中濃度の変化には, 有意な負の相関 (r=-0.55, p<0.05) を認めた. 一方, 対照群では, トログリタゾン群と同程度に血糖値が低下したが, 有意なインスリン感受性の改善や可溶性接着分子の低下は認めなかった. 以上のことから, トログリタゾンには接着分子発現抑制作用があり, 抗動脈硬化作用の一部を担っている可能性が示唆された.
  • 藤川 るみ, 江草 玄士, 花房 美樹, 渡邉 浩, 河村 智一, 望月 久義, 大久保 雅通, 山木戸 道郎
    2000 年 43 巻 8 号 p. 675-679
    発行日: 2000/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    血糖コントロール後に神経調節1生失神が顕性化した1型糖尿病の1例を経験した. 症例は30歳, 男性. 口渇, 多飲, 多尿, 体重減少を主訴に来院. 空腹時血糖値398mg/dl, HbA1c11.496, 尿ケトン陽性より1型糖尿病と診断し, インスリン注射を開始した. 一旦インスリン注射より離脱するも再びコントロール悪化のたため再入院となった. ICA陽性, 抗GAD抗体価1710U/m/と著明高値であった, 血糖値改善とともに, 著しい起立性低血圧, 徐脈, 失神発作が出現しHead-uptilt testで著明な徐脈と心停止が認められた. 神経学的検査により交感神経の機能低下および相対的な副交感神経の過緊張の存在が推察された. 血糖コントロールが自律神経障害に影響を与えた可能性が示唆された.
  • 岸田 修, 鷲見 誠一, 鈴木 興康, 椿尾 忠博, 中西 豊文, 宮崎 彩子, 清水 章
    2000 年 43 巻 8 号 p. 681-685
    発行日: 2000/08/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    症例は46歳の糖尿病男性で, 高速液体クロマトグラフィ (以下HPLCと略す) 法にて測定したHbA1c値 (4.6%) と血糖値に解離が見られ, ヘモグロビン (以下Hbと略す) 溶出パターン上, 正常では見られないピークをAlcに隣接して認めた. 免疫比濁法で測定したHbA1c値は11.0%であった.
    溶血液の等電点電気泳動ではHbAとHbA2の間に異常バンドが認められ, 高分解能HPLCにより異常Hbとその糖化Hbが検出された. 異常Hbと正常HbAの糖化率は10.4%と同値であり, この値は免疫比濁法によるHbA1c値に近似していた. グロビン検体のエレクトロスプレーイオン化質量分析 (ESI/MS) により, 正常β鎖より58Da小さい分子量の異常β鎖の存在が明らかとなり, さらにトリプシン分解物のHPLC-ESI/MS分析によりβ鎖52番目のアスパラギン酸がグリシンに変異していることが見い出された.
    β鎖52番の変異はこれまで3種報告されているが, Asp→Glyの置換は世界で例がなく, HbHokusetsuと名付けられた. Hb Hokusetsuは臨床的に異常を示さない無症候性の異常Hb症である.
  • 菊地 基雄, 脇田 充史, 坂野 章吾, 小川 久美子, 金井 美晴, 上田 龍三
    2000 年 43 巻 8 号 p. 687-693
    発行日: 2000/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は男性, 69歳 (1985年) 時にインスリン非依存型糖尿病と診断され, 74歳時からインスリン治療を続けていた. 72歳時にC型慢性肝炎を指摘された. 1993年12月肝機能の悪化を認め入院し, 80mgのグリチルリチン (GR) の連日投与を開始した. 投与後30日目から偽性アルドステロン症と低血糖発作を発症し, インスリンとGRの減量により血圧と血糖値は正常化した. インスリンを減量しGRを再投与したところ, 再び低血糖を来した. GRの減量後には低血糖発作はなかったが, 1994年8月に急性心不全により死亡した. 病理解剖で活動性慢性C型肝炎と糖尿病性腎症を認めた. GRには糖代謝に影響する多くの薬理学的作用があるが多臓器の機能低下を伴つた高齢者の糖尿病患者にGRとインスリンを投与する場合には, 血糖値の変動に注意する必要があると考えられた.
  • 山口 真哉, 板垣 英二, 大下 裕子, 田代 輝明, 小澤 幸彦, 丸山 雅弘, 滝澤 誠, 片平 宏, 吉元 勝彦, 村川 章一郎, 石 ...
    2000 年 43 巻 8 号 p. 695-700
    発行日: 2000/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は74歳男性. 1979年 (57歳時) 糖尿病と診断され, 経口血糖降下剤を内服していたがコントロ-ルは不良であった. 1986年頃より下肢筋力低下を自覚していた. 1994年, 血糖コントロール目的で当科に入院し, 血清クレアチンキナーゼ (CK) の上昇が認められた. 一旦退院したのちも次第に両下肢の筋力低下と筋萎縮が著明となった.血清CKの上昇も持続し, 2年後の1996年には起立不能となり再入院した. 両上下肢に明らかな筋萎縮と筋力低下を認め, 特に大腿四頭筋・腓腹筋で著明であった. 筋電図では神経原性変化を示し糖尿病性筋萎縮症が疑われたが, 血清CKの上昇が持続するため筋生検を行ったところ縁取り空胞を伴う筋炎所見と核内フィラメント様封入体を認め, 封入体筋炎と診断した, 糖尿病性筋萎縮症と封入体筋炎は当初の症状や検査所見において類似点が多いものの, 予後の面からは大きく異なっており, それらの鑑別は臨床上非常に重要であると考えられた.
  • 全国開業医療機関調査による
    中村 宏志, 千葉 泰子, 伊藤 眞一, 守屋 美喜雄, 土井 邦紘
    2000 年 43 巻 8 号 p. 701-706
    発行日: 2000/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    『糖尿病性腎症の食品交換表』(以下, 交換表) をより良いものにするために, 全国臨床糖尿病医会の会員である41施設の医師, コメディカル, 患者に対して, 交換表を使用した感想と改訂すべき点をアンケート調査した, 交換表に対する評価は, 医師の85%とコメディカルの100%が有用と回答していた. 有用な点は, (1) 糖尿病食品交換表からの移行がしやすい (43%), (2) 腎症の食事療法のよりどころとなった点で評価できる (27%), 改訂すべき点としては, (1) 表1, 表3の食品が蛋白質量によってA-Dに区分されていることがむしろ理解を困難にしている (37%), (2) 蛋白質量によるA-Dの区分の中でばらつきがあり蛋白制限を行うのに不正確 (41%), (3) 表6にも蛋白質が含まれているので量を記載してほしい (13%), (4) 食塩含有量の記載が不十分 (57%), (5) 外食の表を載せてほしい (68%) 等があった. 交換表は, 評価できる点も多いが, 今後より良く改訂していくことが重要であると思われた.
  • 2000 年 43 巻 8 号 p. 709-751
    発行日: 2000/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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