症例は54歳, 男性. 1993年糖尿病と診断されたが, 血糖のコントロールは不良であった. 1995年5月腰痛を自覚し, 8月8日から38℃台の発熱を認め, 11日より腰痛が持続した, 体温38.2℃, 白血球12800/μ
l, CRP 17.6mg/d
l, 赤沈川5mm/h, MRIのT2強調画像で第2および第3腰椎の後方および第2第3腰椎間の椎間板に高信号域, ガリウムシンチおよび骨シンチで同部位に異常集積像を認めた. 血液培養より
Streptococcus intermedius (
Str. intermedius) が検出されたことから,
Str.intermediusによる化膿性脊椎炎と診断した. 血糖コントロールおよび抗生剤投与により, 発熱, 炎症所見および腰痛は消失した. これまで
Str. intermediusは常在菌とされてきたが, 近年, 菌種の同定が容易となり,
Str. intermediusを起炎菌とする感染症の報告が今後増加すると考えられる, 糖尿病患者の血糖コントロールが不良になると易感染性になることから, 糖尿病患者に合併した感染症の起炎菌として
Str. intermediusが同定された場合は, その病原性を念頭に置き, 厳格な血糖コントロールを行うと同時に適切な抗生剤を使用して治療する必要がある.
抄録全体を表示