糖尿病
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44 巻, 8 号
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  • 松本 一成, 世羅 康徳, 植木 幸孝, 三宅 清兵衛
    2001 年 44 巻 8 号 p. 677-681
    発行日: 2001/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    アスピリンは, 動脈硬化症に対する抗血小板療法として糖尿病患者にも広く用いられている. 細胞接着分子は, 動脈硬化症の発症・進展において重要な働きをしていると考えられているが, 接着分子発現に対するアスピリンの効果は, in vivoでは未だ十分な検討をされていない. そこで, われわれはアスピリンの効果を接着分子に焦点をあてて検討した. 28例の2型糖尿病患者のうち, 14例の無症候性頚動脈硬化症症例に少量アスピリン (81mg/日) を12週間経口投与した (アスピリン群). 年齢・性・頚動脈硬化度が同等の14例を対照群とした. 研究期間中は, 糖尿病・血圧・脂質の治療を一切変更しなかった. 両群ともに12週の治療前後で測定したHbA1c, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロール, および血圧には有意な変動は認めなかった. 可溶性接着分子では, intercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1), vascular cell adhesion molecule-1 (VCAM-1), E-selectinは, 対照群において, 治療前後で有意な変動は認めなかった. 一方, アスピリン群においてはIcAM-1が12週治療後に有意に減少した (214.2±16.1to193.0±14-3ng/ml, p<0.05). VCAM-1とE-selectinは, アスピリン治療前後で有意な変動を示さなかった. 以上のことから, アスピリンにはICAM-1の発現抑制作用があり, 抗動脈硬化作用の一部を担っている可能性が示唆された.
  • 第2報9年間の観察より
    亀谷 富夫
    2001 年 44 巻 8 号 p. 683-686
    発行日: 2001/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    耐糖能異常, 肥満, 高トリグリセリド血症は独立した高血圧の危険因子かどうかを検討した. 1990年より1999年まで当院検診センターを受診し初診時に高血圧を認めず経過観察できた6305名を対象とし高血圧発症頻度を検討した. 肥満, 耐糖能異常, 高TG血症の高血圧発症ハザード比はそれぞれ1.414 (9596信頼区間1. 248-1.600), 1.570 (1.131-2.179), 1.245 (1.085-1.430) であった. 年齢空腹時血糖値BMI値はそれぞれ補正を行っても高血圧発症ハザード比はそれぞれ1.044 (1.038-1.050), 1.005 (1.001-1.008), 1.059 (1.038-1.080) と有意であった. しかし血清TG値は有意ではなかった. 年齢, 耐糖能異常, 肥満は独立した高血圧の危険因子と考えられたが, 高トリグリセリド血症は独立した高血圧の危険因子ではなく肥満による二次的な因子と考えられた.
  • 久保 敬二
    2001 年 44 巻 8 号 p. 687-692
    発行日: 2001/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病においてピオグリタゾン (Pio) が線溶, 内皮機能に及ぼす影響を明らかにする. 2型糖尿病患者56名を対象とし, 18名にはPio単独 (Pl群) を, 12名にはグリクラジド (Gli) 単独 (GL群) を, 26名にはPioとGliの併用 (PG群) を12週間投与した. 投与前後で空腹時採血し, 血糖 (FPG), インスリン (IRI), プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1 (PAI-1), フォンヴィレブランド因子 (vWF) を測定した. PI群とPG群ではPio投与後FPGとIRIは有意に低下した. Pio投与後PAI-1とvWFも有意に低下した. GL群ではGli投与後FPGは有意に低下しlRIは有意に増力口したが, PAI-1とvWFは変化しなかった. 2型糖尿病に対するPio投与は血糖コントロール, 高インスリン血症を改善するのみならす, 血液線溶系および血管内皮機能に好影響を及ぼす可能性が示唆される.
  • 早川 みち子, 岩橋 正典, 加藤 順一, 谷崎 俊郎, 高田 雅美, 岸 勝彦, 池田 善紀, 井上 正幸, 石原 健造, 鹿住 敏
    2001 年 44 巻 8 号 p. 693-698
    発行日: 2001/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    心疾患を合併しない2型糖尿病患者28名 (DM群), 年齢, 性とBMIを一致させた健常対照者25名 (C群) とDMを合併しない軽症慢性心不全患者21名 (CHF群) に運動負荷を行い, 定常負荷開始時のVO2応答曲線から時定数 (τ) と酸素欠損を求めた. また, 症候限界性最大運動負荷からは最大酸素摂取量 (peak VO2) と嫌気性代謝閾値 (AT) を求めた. C群と比較するとDM群のτ (38±13 vs. 27±8 [SD][秒], p<0.001) と酸素欠損 (305±120 vs. 227±103 [ml], P<0.05) は増加しており, その程度はCHF群 (36±10秒, 281±93ml) と同様であった. しかし, peak VO2とATは3群間には差はなかった. 以上, DM患者では臨床的に心疾患を認めなくても運動開始時のVO2応答の遅延があり, 運動耐容能の低下の-因であると考えられた. DM患者の運動療法は低レベルの運動負荷より開始することが望ましい.
  • 浦上 達彦, 久保田 茂樹, 森本 繁夫, 似鳥 嘉一, 大和田 操
    2001 年 44 巻 8 号 p. 699-703
    発行日: 2001/08/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    学校検尿・糖尿病検診により発見され, 臨床症状出現以前から臨床経過と膵島自己抗体の推移を観察した小児1型糖尿病の3症例を経験した, 症例は何れも診断時には代謝異常が軽度であり, ICA, GAD抗体, IA-2抗体の何れか複数が陽性を示した. 診断後早期は何れの症例もインスリン治療を必要としなかったが, 臨床経過に伴いβ細胞機能が低下し診断後4~14カ月でインスリン治療を開始した. 膵島自己抗体の変動に関しては, 症例1では糖尿病の進行に伴いGADA, IA-2A抗体価の連続的な上昇を認め, インスリン治療開始時に最高値を呈した後急激な低下を認めた, 症例2ではGADAは陰性であったが, IA-2A抗体価はC-ペプチド値の低下と並行して徐々に下降した. 症例3では早期にインスリン治療を開始したが, 膵β細胞の休息を反映して膵自己抗体価の変動は緩やかであった. 学校検尿・糖尿病検診の普及により, 今後更に無症状時期からその臨床経過を観察し得る症例が集積されるものと期待される.
  • 秋山 有代, 石川 晃子, 奈良 朋子, 元島 洋子, 斉藤 寅武, 竹内 恭子, 伊原 千賀, 土田 温子, 矢澤 麻佐子, 皆川 真哉, ...
    2001 年 44 巻 8 号 p. 705-709
    発行日: 2001/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    食事指導に自宅での体重測定結果を利用する場合, 従来のアナログ型の測定器では500g以下の測定が十分ではない. そこで, 100~200g単位で測定できる精密体重計を用いて連日朝1回体重を測定し, 結果をグラフに記録してもらい食事指導に応用することを試みた. 2型糖尿病外来患者37名 (Body mass index: 27.4±3.4kg/m2, 平均±SD) を対象とした, その結果, 体重変動を1カ月単位で見た場合, 大きく (1) 体重減少型 (2) 体重不変型 (3) 体重上昇型に分けられ, さらに個々の患者で特徴的な体重変動を示すことが明らかとなった.(1) のタイプは食事療法良好と考え, 同じエネルギー量での継続を促した.(2)(3) のタイプはさらなるエネルギー制限を促すと共に, 個々で異なる体重変動パターンを見ながら問題となる食行動について実行可能な方法を話し合った. さらに, 初めて食事指導を開始した2型糖尿病外来患者16名を対象に, 食事指導における精密体重測定の有用性について前向き介入試験を行った. その結果, 食事指導のみ群は8例中3例 (38%), 体重測定併用群は8例中5例に体重減少が見られた. 後者で体重減少が見られなかった2例は体重記録の中断患者であり, 記録した患者に限定すると6例中5例 (83%) に有効であった. 以上のことから, このような体重測定は比較的簡便で食事療法を行う上で有用であることが示唆された.また, 摂取エネルギー量が適切か否かを判断する良い指標となると考えられた.
  • CSII使用上の問題点
    宗田 聡, 鴨井 久司, 金子 晋, 金子 兼三, 佐々木 英夫, 須藤 寛人
    2001 年 44 巻 8 号 p. 711-715
    発行日: 2001/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は31歳の女性. 24歳時に糖尿病を発症し, 某病院にてインスリン強化療法を受けるも血糖制御は不良で, 28歳よりニプロSP-3HQ機器と速効型非緩衝剤含有インスリンを用いたCSIIが導入された. しかし, HbA1cは9~10%であった. 1999年1月に妊娠し, 妊娠33週目に, 妊娠と血糖管理目的で当院に転院. 入院後もCSIIは継続し1800Kcal/日の6分食に応じたインスリン追加注入を行い, 各食前・食後の平均血糖値を100mg/dlに制御し得た. 合併症は皆無で, 妊娠40週目のHbA1cは5.9%に改善し, 女児を経膣自然分娩した. 児は4180gの巨大児であったが, 奇形は認めなかった. CSIIの有効性は既に確立しているが, ときには本例のように血糖制御不良のままで遷延し, CSII療法の利点が認められないことがある. インスリン治療とりわけCSII療法においてはきめ細かい患者指導が重要であり, そのためにもCSII治療に関する正しい情報の提供と普及が望まれる.
  • 2001 年 44 巻 8 号 p. 717-729
    発行日: 2001/08/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 44 巻 8 号 p. 730
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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