糖尿病
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45 巻, 5 号
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  • 糖尿病性末梢神経障害を中心に
    深田 順一, 近森 一正, 板原 隆, 古味 隆子, 菅野 尚, 高田 宏美, 高松 和永, 中山 拓郎, 中村 寿宏, 服部 嘉之, 松田 ...
    2002 年 45 巻 5 号 p. 311-317
    発行日: 2002/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高知県の中核的医療機関を受診する糖尿病患者における合併症の実態を糖尿病性末梢神経障害 (以下DMNと略す) を中心に調査した. 症例抽出は systematic random sampling とし, 調査は質問紙を用いた. 集計された387例での年齢, 罹病期間, および最近のグリコヘモグロビンA1c値の平均 (±SD) はそれぞれ61.2 (±12.2) 歳, 11.0 (±78) 年, 7.3 (±1.5)%であった. 糖尿病性網膜症 (以下DMRと略す) は38.8%に, 持続性蛋白尿以上の腎機能障害は20.6%に認められた. 腎機能障害例は微量アルブミン尿陽性例まで含めると全症例の39.1%にのぼった. 今回調査した末梢神経に関する自覚症状, 他覚所見について, それらを一つ以上有するものはそれぞれ全症例の71.2%, 63.3%を占めたが, 簡易診断基準に基づいた糖尿病性神経障害の頻度は37.8%であった, また多変量解析による検討では罹病年数, DMRや腎機能障害の進行度のほか, 足先のしびれや痛み, 異常感覚の有無がDMNの有無とそれぞれ有意に相関し, 他覚所見ではアキレス腱反射, 下肢振動覚の低下のほか, 膝蓋腱反射の低下, 他覚的に捉えられた触覚, 痛覚の異常がいずれもDMNの存在と相関した. 診断されたDMN例のうち神経障害に対して薬物療法を受けていたケースは26.0%であった.
  • 山下 哲二, 岡田 震一, 河本 順子, 河本 紀一, 肥田 和之, 國富 三絵, 土山 芳徳, 杉本 光, 和田 淳, 四方 賢一, 槇野 ...
    2002 年 45 巻 5 号 p. 319-323
    発行日: 2002/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 男性. 45歳時に糖尿病と診断された. 64歳時よりsulfonylurea剤を, 70歳時よりインスリンによる治療を開始した, 1998年1月, 糖尿病性ケトアシドーシスを発症し近医に入院となった. 経静脈的にインスリンが投与されケトーシスは改善した. 皮下インスリン注射による強化療法に変更し, 投与量を漸増したところ早朝低血糖および日中高血糖傾向が強まった. 抗インスリン抗体陽性であり, 精査目的にて当科入院となった. euglycemic hyper insulinemic clamp study にて血糖を100 mg/dlにクランプし0.5 mU/kg/minから10 mU/kg/minへとインスリン注入率を増量したところ, ブドウ糖注入率は2.O mg/kg/minから3.5 mg/kg/minに上昇するのみであった. Total IRiは著明に上昇したが, free lRl はわずかな上昇にとどまった. インスリン減量により, 早朝低血糖は消失し, さらにステロイドホルモン内服投与により, 日中高血糖も改善した. 抗インスリン抗体が早朝低血糖および日中高血糖に関与した症例と考えられた.
  • 谷田 貝利光, 六角 久美子, 草鹿 育代, 中村 友厚, 長坂 昌一郎, 石川 三衛, 齊藤 寿一, 石橋 俊
    2002 年 45 巻 5 号 p. 325-328
    発行日: 2002/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病の既往歴が無く, 分娩7日後に糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) で発症した1型糖尿病の症例を経験した. 症例は29歳女性, 2000年3月10日当院で第1子男児を満期産で正常分娩した. 14日から上気道炎症状を認め, 翌15日に尿糖陽性を指摘された. 17日朝から口渇, 多尿, 悪心, 嘔吐が出現し悪化したため入院. 血糖値835mg/dl, 尿ケトン体強陽性, 代謝性アシドーシスからDKAと診断された. HbA1cは67%と軽度上昇にとどまっていた. 血中・尿中CPRは低値で内因性インスリン分泌能は著しく低下しており, 経過中回復を認めなかった. 入院時Lipase, Elastase 1の軽度上昇を認め, また抗GAD抗体, 抗IA-2抗体などの自己抗体は陰性だった. 本症例を含めて過去に報告された分娩後にDKAで発症した1型糖尿病6例の臨床像は, 劇症1型糖尿病にほぼ合致しており, その成因を考える上で重要と思われた.
  • 宮本 義博, 上林 哲子, 柏谷 朋, 安孫子 亜津子, 伊藤 博史, 牧野 勲
    2002 年 45 巻 5 号 p. 329-333
    発行日: 2002/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は28歳の女性. 1998年1月頃より口渇・多飲・多尿が出現し, 2月より8カ月間で8kgの体重減少も認められたため, 同年11月4日近医受診し, 精査のため入院となる. 2型糖尿病と診断され, インスリン治療を開始される. 治療後, 血糖値の急速な改善とともに, 両下肢遠位にしびれ, 異常感覚が出現したため, 精査目的にて当科紹介され, 同年12月18日当科初診, 1999年1月12日当科入院となる. 神経学的所見にて両下肢遠位に感覚障害を認めた. 神経伝導検査においては両下肢に後脛骨神経運動神経伝導速度の軽度低下とF波最小潜時の軽度延長, 腓腹神経感覚神経活動電位振幅の低下を認めた. 糖尿病性網膜症および糖尿病性腎症は認めなかった. 時間の経過とともに症状, 神経学的所見および神経伝導検査の改善を認め, 6カ月後には症状の消失が認められ, post-treatment neuropathy が示唆された.
  • 吉原 理恵, 川口 美佐男, 成宮 学
    2002 年 45 巻 5 号 p. 335-337
    発行日: 2002/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    79歳女性. 尿糖陽性を指摘され受診. アカルボース300mg/dayの投与でHbA1cは6.7%から5.6%6へ改善したが, FPGの改善はみられず. FIRI 11μU/ml, 血中遊離脂肪酸 (以下NEFAと略す) 1.4mEq/lと高値であり, インスリン抵抗性の存在を疑いピオグリタゾン15mg/dayの投与を開始した.投与前FPG153mg/dl, HOMA-R4.0, 尿中CPR80μg/day, NEFA 1.4mEq/l, 腫瘍壊死性因子α (以下TNF-α と略す) 7pg/mlであったが, 4カ月投与後, FPG 129mg/dl, HOMA-R1.9, 尿中CPR70μg/day, NEFA1.0mEq/l, TNF-α4pg/mlと低下. 脂質代謝, インスリン分泌パターンも改善. Euglycemic insulin clampでM値は5.0mg/kg/minから10.8mg/kg/minと増加. 腹部臍高CT像で内臓脂肪の減少, 皮下脂肪の増加を認めた. ピオグリタゾンのインスリン抵抗性改善作用にNEFAの低下, 体脂肪分布の変化が関与している可能性が示唆された.
  • 小澤 さち子, 手納 信一, 若松 智子, 並木 薫, 宇都 祐子, 大森 安恵
    2002 年 45 巻 5 号 p. 339-344
    発行日: 2002/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病患者と非糖尿病患者の頸動脈内膜中膜複合体肥厚度 (頸動脈IMT) に影響を与えると考えられる危険因子およびプラーク形成率の違いについて比較した. 対象は頸動脈IMTの検査をし得た 126人 (女性58人, 男性68人; 53.7±77歳) で, これらの患者を2型糖尿病群および非糖尿病群に分け, さらにそれぞれの群を頸動脈IMTが1.0mm以上の肥厚群と, 1.0mm未満の非肥厚群の計4群に分類し, 性別・年齢・BMI・喫煙歴・高血圧の有無・脂質代謝異常の有無について比較した. また, 糖尿病群では血糖値・HbA1cについても比較した.
    非糖尿病群に比し, 2型糖尿病群に頸動脈IMTの肥厚者が多く, 平均頸動脈IMTも有意に肥厚していた. 非糖尿病群では男性・加齢・脂質代謝異常が頸動脈IMT肥厚群に多く, プラーク形成も肥厚群で高率であった, これに比し, 2型糖尿病群では頸動脈IMT肥厚群と非肥厚群間の各危険因子の保有差およびプラーク形成もほぼ同率で差を認めなかった. しかし, 糖尿病患者では危険因子の有無にかかわらず, 頸動脈IMTの肥厚やプラーク形成が認められることから, 動脈硬化のスクリーニングとして頸動脈超音波検査が有用であると考えられた.
  • 2002 年 45 巻 5 号 p. 345-383
    発行日: 2002/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 富永 真琴, 小林 功, 桑 克彦, 武井 泉, 星野 忠夫, 芳野 原, 菅野 剛史, 片山 善章, 葛谷 英嗣, 桑島 正道, 田港 朝 ...
    2002 年 45 巻 5 号 p. 385-388
    発行日: 2002/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    日本糖尿病学会 (JDS) の「糖尿病関連検査の標準化に関する委員会」は「グリコヘモグロビンの標準化に関する委員会 (島委員会)」が作成した一次キャリブレーター (JDS標準品: 2濃度, これをJDS Lot1と呼ぶ) を平成13年3月31日で供給を停止し, 新たな物質 (JDs Lot2) を認証した, この標準物質は医療技術振興会 (HECTEF) から有償で配布されており, 今後5~10年のスパンで考えても, Lot2を用いて日本におけるHbA1c測定の標準化は維持されるものと本委員会では確信している, 今回, Lot2を米国のNational Glycohemoglobin Standardization Program (NGSP) に送付し, NGSPによる値づけを行った. その結果, JDS値%)=NGSP値 (%)-0.3%であり, 欧米の論文に記載されたHbA1c値をJDS値に読み替える場合, 単純に0.3%を差し引くのみでよいことが分かった.
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