症例は24歳女性. 既往歴, 家族歴に特記すべきものなし. 微熱, 腹痛を認め来院. 口渇, 多飲, 多尿, 体重減少は認めなかった.
身体所見上心窩部に圧痛を認めた. 血液検査上膵酵素は上昇し, 画像上びまん性膵腫大を認め, 急性膵炎と診断した,
膵炎の治療にて炎症所見は改善した. 入院時随時血糖128mg/d
l, 尿糖陰性だったが, 血糖は次第に上昇した, HbA
1c4.5%, 尿中CPR1.7μg/day, 血中CPRは0.1ng/m
lでグルカゴンに対し無反応だった. 膵島自己抗体は陰性, 各種ウイルス抗体価の上昇は認めなかった. 以上より急性膵炎に伴い急速に膵β細胞の破壊が生じ, 内因性インスリン分泌能が枯渇し, 糖尿病が発症したと考えた. 急性膵炎を認めたこと以外は非自己免疫性劇症1型糖尿病と類似した点も多く興味深い症例である.
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