糖尿病
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45 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 齋藤 重信, 柏崎 耕一, 平野 勉, 木庭 新治, 片桐 敬, 足立 満, 芳野 原
    2002 年 45 巻 6 号 p. 391-397
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病 (DM), 糖尿病性網膜症 (DR), 冠状動脈性心疾患 (CHD) における高感度C-reactive protein (HS-CRP) の比較, 各々の病態においてHS-CRPに影響を与える因子について検討を行った. HS-CRPはDM, DR群では上昇せず, CHDを併発することではじめて有意の高値を示した. 全対象でHS-CRPはHDL-コレステロール, BMI と有意の相関を示した, HS-CRPを目的変数とし, 多変量解析を行うと, 各々の病態における有意因子として全対象, CHD合併群でHOMA-Rが, Control, DM合併・CHD非合併群ではBMIが採択された. 全対象においてロジスティック回帰分析を行ったところCRP上昇の有意の説明変数としてCHD, インスリン抵抗性の存在が採択された. CHD存在下ではHS-CRPはT-C (LDL-C), LDL粒子サイズおよびBMI, HOMA-Rとは独立して有意の高値を示した, 以上の結果からHS-CRPはCHDの独立したマーカーとして重要であることが示唆された.
  • 空腹時乳酸, ピルビン酸値に関して
    黒田 祥二, 坂口 一彦, 大西 裕, 寺西 哲也, 池原 久朝, 阪本 哲一, 藤澤 貴史, 前田 光雄
    2002 年 45 巻 6 号 p. 399-405
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    近年United Kingdom Prospective Diabetes Study (以下UKPDS) の報告に伴い, 2型糖尿病に対するビグアナイド剤 (以下BG剤) の効果が再認識されている. BG剤の最大の副作用である乳酸アシドーシスに関しては注意が必要であるが, 高齢者糖尿病が増加しているなかでBG剤の高齢者に対する安全性を検討した報告はほとんどない. そこでわれわれは高齢者糖尿病患者に対し空腹時の血中乳酸, ピルビン酸を測定することにより, BG剤による乳酸アシドーシスの危険性について検討した. 結果, 年齢に応じて血中乳酸は上昇しなかった. BG内服の有無により乳酸値に有意差を認めなかった. BG内服群において, 計算式で求めたCcrは高齢者で有意に低かったが, 血中乳酸, ピルビン酸値には差はなかった, 血中乳酸値が高かった患者はアルコール多飲者, 心不全, 喘息, 閉塞性動脈硬化症等であり, 一例がBG過量と思われる症例であった. 以上より, 高齢者に対するBG剤の投与は内服量と禁忌例を考慮すれば空腹時乳酸, ピルビン酸には影響が少ないと思われた.
  • 神田 加壽子, 岡田 洋右, 西田 啓子, 新生 忠司, 谷川 隆久, 森田 恵美子, 田中 良哉
    2002 年 45 巻 6 号 p. 407-410
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性. 1992年, 肥満状態で尿糖を指摘されたが放置. 1997年5月7日頃より感冒症状, 嘔吐, 下痢を繰り返し, 5月13日昏睡にて当科緊急入院. この時, 末梢循環不全, 頻呼吸を認め, 血糖値2.095mg/dl, pH 7.068, HCO3-7.8mEq/l, 3-ヒドロキシ酪酸978μmol/l, Anion gap 42.6mEq/l, 乳酸39.6mg/dl, L/P比16.5で高浸透圧と共にケトアシドーシスおよび軽度の乳酸アシドーシスの存在が示唆された. NaHCO3および速効型インスリン持続静注にて翌朝には血糖値400mg/dl, pH 7.373, 乳酸23.4mg/dlと改善し, 意識も回復した. その後インスリン皮下注射へ移行したが, 血糖コントロールは極めて不安定で, 尿中CPRは測定感度以下が持続, 抗GAD抗体, 抗インスリン抗体は陰性であった. 本例は, その病歴から2型糖尿病であったと考えられ, 著明な高血糖による高浸透圧にケトアシドーシスが合併したことで組織循環不全をきたし, 急激にインスリン分泌不全に至った可能性と, 臨床像としては定型的ではないが非自己免疫性劇症型1型糖尿病を発症した可能性も考えられた.
  • 長峯 美穂, 山縣 一夫, 武藤 英二
    2002 年 45 巻 6 号 p. 411-414
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の男性, 40歳より2型糖尿病の診断で, 他院で内服治療をうけていた, 2000年2月, 血糖コントロールが不良になり市立旭川病院糖尿病内科を紹介入院となった. 入院時のCA 19-9は110. 4U/ml, CEAは7.5ng/mlと高値を示し, 悪性疾患を疑い検索をすすめた. CFで大腸腺腫を認めたが, GF, CT, ERCPなどの画像検査では異常を認めなかった. 入院後, 食事療法とインスリン治療により血糖は改善傾向を示した. それに伴い腫瘍マーカーも減少し, 退院時にはCA19-9は64.7U/ml, CEAは3.9ng/mlとなった, 糖尿病患者は健常者に比較して腫瘍マーカーが高値であるとの報告はみられるが, 血糖と共に変動する症例報告は比較的少ないため報告する.
  • 「非自己免疫性劇症1型糖尿病」との比較
    桜井 勝, 西村 泰行
    2002 年 45 巻 6 号 p. 415-420
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は24歳女性. 既往歴, 家族歴に特記すべきものなし. 微熱, 腹痛を認め来院. 口渇, 多飲, 多尿, 体重減少は認めなかった.
    身体所見上心窩部に圧痛を認めた. 血液検査上膵酵素は上昇し, 画像上びまん性膵腫大を認め, 急性膵炎と診断した,
    膵炎の治療にて炎症所見は改善した. 入院時随時血糖128mg/dl, 尿糖陰性だったが, 血糖は次第に上昇した, HbA1c4.5%, 尿中CPR1.7μg/day, 血中CPRは0.1ng/mlでグルカゴンに対し無反応だった. 膵島自己抗体は陰性, 各種ウイルス抗体価の上昇は認めなかった. 以上より急性膵炎に伴い急速に膵β細胞の破壊が生じ, 内因性インスリン分泌能が枯渇し, 糖尿病が発症したと考えた. 急性膵炎を認めたこと以外は非自己免疫性劇症1型糖尿病と類似した点も多く興味深い症例である.
  • 西海 奏子, 島田 朗, 岩永 史郎, 中川 佳則, 丸山 博, 猿田 享男
    2002 年 45 巻 6 号 p. 421-426
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 男性. 30歳頃に他院で糖尿病, 高血圧と診断され, 食事療法および経口血糖降下剤と降圧剤の投与を開始されたが, 通院は不規則であった. 63歳時より糖尿病性末梢神経障害によると考えられる両下肢のしびれ感および体幹部痛を自覚, 70歳時に下肢の疼痛が増悪し当科に入院した. 入院時, HbA1c10.1%で, 心電図上著明な1度の房室ブロックを認めた, 有痛性神経障害に対してメキシレチン300mg/日の投与を開始し, 翌日より疼痛は軽減した. 投与開始1週間後, 無症状であったが, 心電図でPR時間の延長とWenckebach型II度房室ブロックを認めたため投与を中止し, 4日後心電図所見は入院時レベルまで回復した. メキシレチンの副作用としてII度以上の房室ブロックを生じた報告は極めて少ないが, 本剤の投与開始後には経時的に心電図を記録して催不整脈作用の出現を注意深く経過観察する必要があると考えられる.
  • 村尾 敏, 矢野 聡, 平田 教至
    2002 年 45 巻 6 号 p. 427-430
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は35歳, 女性. 下肢の脱力のため歩行障害を来し, 上肢の脱力も生じた翌日に昏睡・呼吸不全のため当院に搬送された. 来院時血糖1, 656mg/dl, 血清浸透圧402mOsm/lと著しい高血糖, 高浸透圧血症を認め血中総ケトン体は1, 781μmol/lであった. 動脈血液ガス分析の結果はpH 7.123, PaO259.5mmHg, PaCO285.1mmHg, HCO3-27.8mmol/lであり呼吸性アシドーシスを呈していた. 来院時より呼吸は微弱で, 四肢弛緩性麻痺を認めた. 糖尿病性高浸透圧性昏睡と診断し治療を行ったが, 意識回復後も自発呼吸は弱く, 四肢弛緩性麻痺は改善しなかった. 臨床経過・種々の検査結果から, これらの症状はGuiilain-Barre症候群の併発によるものと考えた. 本症例は第13病日に突然死した. 本例はGuillain-Barre症候群を契機に糖尿病性高浸透圧性昏睡を発症した稀な症例と考えられた.
  • 2002 年 45 巻 6 号 p. 431-454
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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