糖尿病
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46 巻, 2 号
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  • 河盛 隆造
    2003 年 46 巻 2 号 p. 101-105
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • Okamoto Diabetes Studyの結果から
    紀田 康雄, 村田 佳子, 大井 二郎, 坂口 正芳, 田原 将行, 上古 真理, 鹿野 勉, 柏木 厚典
    2003 年 46 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    心・脳・下肢に見られる糖尿病大血管合併症が生命予後や死因に与える影響を岡本糖尿病疫学研究に登録した1, 122例の2型糖尿病患者を対象に調べた. 非侵襲的検査法と一定の診断基準を用いて虚血性心疾患 (IHD), 脳梗塞 (CI), 閉塞性動脈硬化症 (ASO) の有無を本調査の登録時に調べた. macroangiopathyの数をMA scoreとして全身の動脈硬化の指標とした. 2001年6月時点の生命予後と死亡原因を調べた. 平均観察期間5.2年の間に1, 122例中129例の死亡が確認できた. 心血管死 (28.7%), 悪性腫瘍 (26.4%), 感染症 (11.6%) が3大死亡原因であった. Cox回帰モデルを用いて年齢や糖尿病歴で補正しても各々のmacroangiopathyは独立した予後決定因子であった. とくにIHDやASO合併例では予後が不良であった. MA scoreも心血管死亡率と密接な関係を認めた. 3つのmacroangiopathyすべてを合併していた症例では, 1,000人年あたりの死亡率はmacroangiopathyを全く合併していなかった症例の23倍高値であった. さらに, HbA1cレベルや性差の予後への関与も示唆された. macroangiopathyの合併そのものが2型糖尿病患者の予後を左右する可能性がある. 以上の結果から, 心血管死のリスクを減するためにも血糖コントロールや危険因子の制御とともに非侵襲的検査による全身のmacroangiopathyの評価が, 糖尿病初期診療において重要であることが示唆された.
  • 高間 晴之, 長沢 久子, 戸兵 周一, 方波見 卓行, 齋藤 宣彦, 金剛寺 謙, 明石 嘉浩, 平山 俊和
    2003 年 46 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    たこつぼ型心筋障害をきたしたGuillain-Barré症候群を合併した糖尿病の1症例を経験した. 症例は70歳の女性, 糖尿病のため近医でインスリン治療をしていたが血糖コントロールは不良であった. 2001年 (平成13年) 10月20日ころから四肢の脱力が徐々に進行し, 11月5日, 歩行も困難となったため当院へ入院. 入院時の心電図上, II, III, aVFおよびV1からV4誘導でST上昇を, またII, III, aVFならびにV2からV6誘導でT波の陰転化を認めた. 同日に行った心臓力テーテル検査では冠動脈に有意な狭窄病変はなかったが, 左室造影で心尖部を中心に広範な壁運動の低下があり, たこつぼ型心筋障害をきたしていた. 四肢の脱力に関しては髄液検査で蛋白細胞解離を認めGuillain-Barré症候群と診断した. その後, 心電図はII, III, aVFならびにV2からV6誘導でT波の陰転化のみとなり, 左室の壁運動も改善した. Guillain-Barré症候群は自律神経障害をきたすことが知られている. 本症例は123I-MIBG心筋シンチグラフィーで広範な集積欠損が認められ, 糖尿病心臓自律障害にGuillain-Barré症候群による交感神経の障害が加わり, たこつぼ型心筋障害をきたしたと推測された.
  • 中條 大輔, 若杉 隆伸, 八木 邦公, 馬渕 宏, 小泉 順二
    2003 年 46 巻 2 号 p. 125-128
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は56歳, 男性.2000年3月に人間ドックで施行された75gOGTTでは, 負荷前血糖値107mg/dl, 2時間値202mg/dlと軽度の糖尿病型であった.4月17日より口渇, 夜間多尿が出現し, 4月22日に救急外来に搬送された.血糖値1, 130mg/dlで, 糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) をきたしていたが, HbA1cは6.6%であった.膵外分泌系酵素が上昇していたが, 腹痛や膵腫大など急性膵炎を示唆する所見は認めなかった.尿中CPR3.0μg/day, 血清CPRは早朝空腹時0.2ng/ml, グルカゴン負荷6分後0.2ng/mlであり, 内因性インスリン分泌能は枯渇していた, 抗GAD抗体は3.6U/mlと陽性であった.臨床像は非自己免疫性劇症1型糖尿病に合致していたが, 抗GAD抗体が陽性であり, 劇症型糖尿病にも自己免疫が関与するタイプの存在する可能性が示唆された.
  • 田村 美歩, 木原 康之, 村上 晴彦, 畠山 佳久, 芳川 一郎, 大槻 眞
    2003 年 46 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は58歳, 男性.主訴は左臀部痛.1987年に糖尿病と診断, 1990年よりインスリン治療を開始されたが血糖コントロールは不良であった.1994年より両外踝部に潰瘍を形成し治療を受けるも軽快・増悪を繰り返し, 同部滲出液の細菌検査でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (以下MRSAと略す) を検出していた.1999年10月に転倒, 臀部に疼痛が出現し入院となつた.左臀部に圧痛を伴う発赤, 腫脹を認め, 白血球数16, 700/μl, CRP24.6mg/dlと著明な炎症所見を認めた.CT所見より左大臀筋膿瘍と診断, 膿瘍穿刺液, 右外踝部滲出液, 血液および尿培養でMRSAを検出した.膿瘍ドレナージと抗生剤投与で膿瘍は治癒した.本例では右外踝部潰瘍から化膿性足関節炎, さらにMRSA菌血症を引き起こし, 打撲部である左大臀筋に膿瘍を形成したと推測された.糖尿病患者では易感染性から全身性合併症を引き起こすことがあり厳格な血糖コントロールが重要である.
  • 田中 剛史, 三崎 盛治
    2003 年 46 巻 2 号 p. 135-138
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は79歳, 女性.71歳時に短期間に糖尿病を発症, 他院にてインスリン治療を開始されたが血糖] ントロールはきわめて不良であった.8年後に当院に入院したが, すでに増殖性網膜症 (福田分類B II) を合併していた.入院時HbA1c値は10.6%と高値, 抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体は62.8U/mlと高値を示した.また, 尿中Cペプチド排出量は3.2-4.5μg/日と著しく低下していた.高齢で発症し, コントロール不良な経過の後, 増殖性網膜症を生じた1型糖尿病例と考えられた.従来, 高齢発症1型糖尿病で網膜症合併例の報告は少なく, また, 文献的に高齢発症糖尿病例では増殖性網膜症の危険性は少ないと言われているが, 今後, 同様な症例の治療において慎重を期すべきと考えられた.
  • 山本 繁樹, 藤本 裕司, 森本 勲夫
    2003 年 46 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病に関節リウマチ (以下, RA), 自己免疫甲状腺疾患 (以下, AITD) を合併した家系例を報告する, 症例1は60歳女性, 母. 40歳頃RAを, 50歳時1型糖尿病を発症した. 尿中CPRは8μg/dayと低値, グルタミン酸脱炭酸酵素抗体 (以下, 抗GAD抗体) 陽性であった. さらに, 甲状腺腫・甲状腺自己抗体陽性を認め慢性甲状腺炎の合併を認めた. 症例2は33歳女性, 娘. 8歳時にバセドウ病の診断, 治療後甲状腺機能は正常にて推移するもTSH受容体抗体 (以下, TRAb) 陽性を認める, 26歳時妊娠糖尿病を指摘, 尿中CPRが感度以下, 抗GAD抗体陽性にて1型糖尿病と診断された. また, 30歳時RAを発症した. 1型糖尿病とRA, さらにAITDの合併を認めた家族内発症例は少なく, また, これら3疾患に共通の疾患感受性遺伝子として, DR4-DQB1*0302八プロタイプを認め, 3疾患の関連性を考える上で貴重な症例と考えられる.
  • 三好 秀明, 柳澤 克之, 政氏 伸夫, 小原 慎司, 小池 隆夫
    2003 年 46 巻 2 号 p. 145-149
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 男性. 1993年肝硬変の診断, 1996年糖尿病の診断にて混合型インスリン1日2回投与し (朝22, 夕10単位), 血糖コントロール良好に経過した. 2001年10月から体重減少, 口渇, 倦怠感出現し, 血糖値554mg/dlと増悪し, インスリン増量後も改善ないため当科を紹介され入院した. ヒトインスリン1日4回投与に変更し1日量190単位まで増量するも, 400mg/dl以上の高血糖が持続した. 経過中に血中インスリン濃度異常高値, インスリン抗体価96%と著明な上昇が判明し, 速効型インスリンを超速効型インスリンアナログ (インスリンリスプロ) に変更したところ, 開始3日目には血糖値100mg/dl台に低下し, 更に早朝の低血糖のため中間型インスリン中止と寝前の補食追加が必要になった. 退院時にはインスリンリスプロ3回, 計120単位で食前血糖120mg/dl以下になった. 特異的抗体測定により, インスリンリスプロのアミノ酸配列変換部位への結合に関与した抗体の存在が考えられた.
  • 筒井 理裕, 安斎 治一, 阿部 雅一, 佐々木 春喜
    2003 年 46 巻 2 号 p. 151-153
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    36歳, 女性, 1999年 (平成11年) の夏頃から, 発疹性黄色腫が出現したり消失したりしていた. 2000年 (平成12年) 9月, FPG 269mg/dl, HbA1c 9.1%, 空腹時のTC430mgdl, TG4, 215mg dlにて当科に入院した. 発疹性黄色腫は肩, 上背部, 肘部伸側, 大腿, 膝部伸側にみられた. 空腹時にカイロミクロンの出現を認めた. 血清の4℃, 24時間静置後の外観は, 著しい白濁状態を示したが, クリーム層はみられなかった. PHLA検査においてリポ蛋白リパーゼ (以下, LPLと略) 蛋白量は正常下限を示した, 以上より, V型高脂血症と診断した, 尿CPRは98, 100μg日と高値を示し, また血糖コントロールに1日58単位と多量のインスリンを要したことから, インスリン抵抗性の存在が考えられた. 本症例にみられた高TG血症とインスリン抵抗性に関しては, どちらが原因でどちらが結果かは明らかでないが, 本症例は両者が悪循環の病態にあったと思
  • 一般内科診療所での調査より
    野澤 明子, 大沢 功, 稲勝 理恵, 山本 真矢, 佐藤 祐造
    2003 年 46 巻 2 号 p. 155-159
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    一般診療所における糖尿病患者の生活指導方法を検討するために, 一般内科診療所に通院中の糖尿病患者と境界型患者57名に対し生活習慣調査を実施した. その結果, 朝食を毎日摂取し, 腹八分目を心がけ, 間食や夜食および飲酒を制限し, 定期的な運動や体重測定を実施しているなど, 好ましい生活習慣を実行している者が比較的多かった, しかし女性では間食や夜食の摂取回数が多い, 血糖コントロール不良者は間食や夜食の摂取回数が多く運動回数が少ないといったように, 改善すべき点も認められた. また就業が生活習慣改善の障害となっていることも示唆された.
    以上の結果より糖尿病外来患者の生活指導では, 性別や年齢による特徴および就業状態による影響を考慮し, 行動変容に伴う患者の負担感を軽減する方向で, 環境調整を含めたアプローチが必要であることが確認された.
  • 2003 年 46 巻 2 号 p. 161-207
    発行日: 2003/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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