日本糖尿病学会 (JDS) の「糖尿病関連検査の標準化に関する委員会」は2001年3月にヘモグロビンA
1c (HbA
1c) の新たな標準物質 (JDS Lot 2) を認証した.Lot 2の値はJDS Lot 1値を引き継いだ, 一方, 国際的な標準化に関しては国際臨床化学連合 (lnternational Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, IFCC) のHbA
1cワーキンググループ (WG) が検討を進めており, 分析化学的に裏付けされた方法で測定されたHbA
1cを国際標準化の中心に据えることとしている.その方法はヘモグロビンをエンドプロテアーゼGlu-Cで消化し, β鎖N末端の6個のアミノ酸からなるペプチド (ヘキサペプチド) を得て, これを質量分析法などの方法で糖化ヘキサペプチドと非糖化ヘキサペプチドに正確に分け定量測定しようとするものである.これをIFCC法という.今回, JDS Lot 2をIFCC-WGが認定したレファレンスラボネットワークのラボに送付し, IFCC法による値付けを行った, その結果は, IFCC値 (%) =1.068×JDS値 (%)-1.741%であった, したがって, IFCC値に移行すると現在のHbA
1cの値は大きく変わることになる.JDS値からIFCC値への移行に関して本委員会としては今後広く会員の意見を聞きながら慎重に決定したいと考えている.
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