糖尿病
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47 巻, 9 号
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  • 概要および介入1年後の成果
    石田 さくらこ, 伊藤 千賀子, 村上 文代, 堀川 智恵, 源内 徳子, 片山 美和子, 入江 三枝子, 西田 真理子, 原田 寿子, 片 ...
    2004 年 47 巻 9 号 p. 707-713
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1998年8月から, ブドウ糖負荷試験 (OGTT) で境界型と判定された者を対象として個別の食事指導, 運動指導による糖尿病一次予防を開始した. 1年後の成果を前後でOGTTを実施した102名の介入群と, 年齢, 性, BMIをマッチさせた対照群102名について検討した. 糖尿病発症率をみると, 介入群 (6.9%) は対照群 (19.6%) に比して6596低下していた. OGTT2時間PG値, IRI値は対照群では変化はなかったが, 介入群では登録時に比して有意に低下した. 介入群では有意な体重減少, 食事摂取エネルギー充足率の低下, 運動消費エネルギーの増力口を認め, これらの達成項目が多いほど糖尿病発症率は低率であった. 日本人においても, 糖尿病八イリスク群ヘテーラーメイドの指導を繰り返し行うことによって, 糖尿病発症を予防することは可能である.
  • 宮下 雄博, 青山 雅, 姫井 孟
    2004 年 47 巻 9 号 p. 715-722
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    膀胱機能の低下した糖尿病患者22名 (男17名, 女5名) に対しウラピジル30mgを1カ月間経口内服させ, 副作用がないのを確認後, 60mgに増量, 5カ月間内服して尿流計による尿流測定を行い, 同時に自覚症状の指標である国際前立腺症状スコア (IPSS) と, 満足度の指標であるQOL scoreを用いた問診により, ウラピジル内服前後の効果を比べた.尿流測定では最大尿流率 (ml/s) は12.3±6.2から15.5±10.6, 平均尿流率 (ml/s) では5.2±26から7.5±4.6へ改善傾向が見られたが, 有意差を認めなかった.しかし, IPSSでは20.1±9.2から10.0±7.8, QOLscoreも4.8±1.0から2.8±1.4へと有意な改善が認められた.排尿障害臨床試験ガイドラインを用いた有効率は62.896であった.また, ウラピジル内服前排尿量が200ml未満の症例では, 有効率は81.896と高値であった.ウラピジルは糖尿病性神経因性膀胱に対し有用であると考えられるが, 効果の評価法の選択も重要であることがわかった
  • 健康診断での追跡調査より
    菊岡 弘芳, 辰田 仁美, 保脇 敬子, 垣本 哲宏, 高木 伴幸, 河島 明, 細 隆信, 近藤 溪
    2004 年 47 巻 9 号 p. 723-726
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    空腹時血糖異常例110例を5年間追跡調査し, 糖尿病に移行した例 (移行例) と糖尿病には至らなかった例 (非移行例) の臨床像を比較検討した. 追跡中にOGTTが糖尿病型であることを確認できた例, あるいはその後の健康診断で空腹時血糖値が2回以上126mg/dlを超えた例を移行例とした. 110例中15例が調査中に糖尿病に移行し, 移行群は非移行群に比して最初の空腹時血糖値およびBMIが有意に高く, また移行群では高血圧合併例が有意に多かった. 以上より, 空腹時血糖障害例のうち, 血糖値の高い例, 肥満および高血圧を合併した例では将来糖尿病に移行する可能性が高いものと思われる
  • 小林 正, 加来 浩平, 河盛 隆造, 岩本 安彦, 清野 裕
    2004 年 47 巻 9 号 p. 727-735
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    日本人の2型糖尿病患者1, 236例を対象に, グリメピリドの1日1回単独投与を6カ月間行い, 効果と安全性を検討する前向き観察研究を行った. その結果, それまでに糖尿病薬を投与されていなかった患者群, およびスルポニル尿素薬 (以下SU薬と略す) 以外の経口糖尿病薬 (ピオグリタゾンを除く) 単独投与からグリメピリド1日1回単独投与に切り替えた患者群において, HbA1cの有意な改善が認められた. 他のSU薬からの切り替え症例では, HbA1c>7%の群では有意なHbA1cの改善が得られ, HbA1c≦7%の群では切り替え前のHbA1cレベルが維持された. 空腹時血糖値においても同様の傾向が認められた. 体重への大きな影響はなく, 副作用全体の発現率は8.54%であり, 低血糖は2.40%であった, 以上の結果から, グリメピリドの1日1回単独投与は, 糖尿病薬の前治療を受けていない患者, 経口糖尿病薬単独投与を受けていた患者のいずれに対しても, 安全かつ良好な血糖コントロールが得られることが示された.
  • 花岡 郁子, 田中 督司, 武呂 誠司, 渡部 仁美, 隠岐 尚吾
    2004 年 47 巻 9 号 p. 737-742
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ミトコンドリア遺伝子変異糖尿病は, maternally inherited diabetes mellitus and deafness (MIDD) とも呼ばれ, 特徴的な臨床像を示す. 我々は, ミトコンドリア脳筋症 (MELAS) を合併したMIDDの4家系7症例を経験し, その臨床像を検討したので報告する. 症例は男性3例, 女性4例. 年齢は20-59歳, 糖尿病の平均罹病期間は15年, 平均BMIは16.5kg/m2. 初診時の平均HbA1cは9.796. 全例とも肥満の既往を認めず, 糖尿病は1例を除き40歳までの発症であった. 空腹時血中CPRは0.2-2.7ng/mlで, 罹病期間が10年以上の症例は1.0ng/ml未満でインスリン分泌能が低下していた, 単純性網膜症を3例に, 神経障害を4例に, 早期腎症を3例に, 巣状糸球体硬化症を1例に認めた. 1例は食事療法, 6例はインスリンで血糖コントロールした. 全例に血中乳酸/ピルビン酸値比の上昇, 心筋症や心伝導障害を認めた, 6例に感音性難聴を認め, 3家系は母系遺伝であった. 6例に脳画像所見の異常を, 5例に知能低下, 筋力低下を認めた. 5例で骨格筋生検標本に3243 (A-G) 点変異を認め, 残りの2例は臨床症状と家族歴からMIDDと診断した. MIDDは全身に多彩な病像を有し, 糖尿病の罹病期間と共に進行性の病態が認められた. 今後, インスリン分泌能やその他の臨床症状を含め注意深く経過観察する必要がある.
  • 三輪 一真, 濱田 洋司, 中島 英太郎, 成瀬 桂子, 中江 美佳, 渡会 敦子, 佐藤 祐造, 中村 二郎
    2004 年 47 巻 9 号 p. 743-747
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は41歳, 男性. 1997年 (39歳時) に糖尿病を発症し経口血糖降下薬を内服していたが, 血糖コントロールは不良であった. 1999年2月に他院にてインスリン治療を開始し, 血糖コントロールは著しく改善したものの, 重篤な治療後有痛性神経障害 (PPN) が出現したため当院を受診した. 入院時に抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (S-ADH) を認めた. SIADHはカルバマゼピン中止による改善を認めず, 疼痛緩和に伴い治癒した. 悪性腫瘍, 呼吸器および中枢神経疾患などの器質疾患が除外され, 薬剤の関与も否定的であったため, PPNによる疼痛をSIADHの主要な原因と考えた. 慢性疼痛刺激がSIADHを惹起するか否かは未だ見解の一致を見ていないが, その発症に有痛性神経障害の関与が強く示唆される症例を報告した.
  • 椎屋 智美, 水田 雅也, 上野 浩晶, 松倉 茂
    2004 年 47 巻 9 号 p. 749-753
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は56歳, 女性. 1989年に初めて糖尿病と診断され, 近医で内服力口療を開始された. 1991年頃より両側難聴が出現し, 徐々に進行. また血糖コントロールも不良であった. 2000年10月, 両側聾となり人工内耳移植術を勧められ, 当院耳鼻咽喉科を受診, 血糖コントロール目的にて2001年1月25日, 当科に入院した1入院後すぐに強化インスリン療法を開始し, 血糖コントロ-ルは改善したが, 同時に低Na血症を来し, ADH不適合分泌症候群 (以下SIADHと略す) と診断した. 遺伝子診断にて本症例はミトコンドリア遺伝子3243変異を伴う糖尿病と診断した. 糖尿病患者におけるSIADHの発症には自律神経障害のみならず, 中枢神経障害が関与している可能性も高いと考えられる. ミトコンドリア遺伝子異常がSIADHの発症に関与している可能性も否定できないが, 現在までのところ両者の関連を推測させる報告はみられない. 極めてまれな症例であるが, ミトコンドリア糖尿病の病態を解明する上で貴重な症例と考えられたので報告する.
  • 玉井 昌紀, 英 肇, 古田 浩人, 坂本 浩一, 濱西 徹, 木村 りつ子, 巽 邦浩, 下村 裕子, 小林 正人, 若崎 久生, 松本 ...
    2004 年 47 巻 9 号 p. 755-758
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は63歳, 女性, 2型糖尿病, 妄想性障害にて加療中, 自殺企図にてインスリン1200単位を皮下注射し入院となった, 約4日間低血糖が持続し, 治療のために投与したブドウ糖の総量は1.050gであった. 経過中特に重篤な合併症や後遺症を認めなかった. 本症例を含む10症例の検討では, 低血糖消失までの時間は14時間から6日で, 数百単位以上のインスリン投与例のほとんどは2日間以上低血糖が持続していた. また, 治療に要したブドウ糖総量は170-3, 100gで, 単位時間当たり平均約18gが投与されていた. 報告例は全例糖尿病患者で, 1型と2型糖尿病患者がほぼ同頻度に認められた, 基礎疾患としてうつ病などの精神疾患が多く, 再発例も2例認められたことから, 再発予防のための十分な精神的ケアも必要であると思われる.
  • 藤井 雅一, 中野 逸郎, 名取 省一
    2004 年 47 巻 9 号 p. 759-765
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は胃部分切除歴を有する, 慢性膵炎に続発した膵性糖尿病の3症例 (47~57歳男性) で, 従来の速効型頻回注射および混合型インスリン療法では低血糖が頻繁に出現していた. いずれの症例も膵外分泌機能低下のみならず, 膵内分泌機能, すなわちインスリンとグルカゴンの分泌能も共に低下していた. インスリンリスプロ (超速効型インスリン) へ変更後は低血糖頻度の減少およびHbA1cの改善を認め, 栄養状態も改善した、本症例における頻発する低血糖発作は胃切除後の影響や膵外分泌機能の低下による消化吸収機能低下に加えて, インスリン拮抗ホルモンであるグルカゴンの分泌低下も一因と考えられた. このような病態における血糖コントロールには, より作用時間が短く生理的なインスリン追加分泌パターンが再現できる超速効型インスリン製剤が有用であると考えられる.
  • 野原 栄, 岩瀬 正典, 中村 宇大, 浅野 有, 四枝 英樹, 金井 英俊, 平方 秀樹, 飯田 三雄
    2004 年 47 巻 9 号 p. 767-772
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    症例は46歳, 女性, 15歳以降, やせを認め, 21歳時腎性糖尿を指摘され, 35歳時境界型, 38歳時妊娠糖尿病と診断された. 妊娠29週でインスリン1日62単位で血糖コントロールされたが, 羊膜絨毛炎のため, 帝王切開を施行された. 術後, 糖尿病精査のため当科第1回目の入院となった.BMI14.5のやせを認め, 7590GTTは糖尿病型で, IRIが前値7.7μU/ml, 120分値149.4μU/mlとインスリン抵抗性と考えられた. 血糖は食事療法のみでコントロールされたが, 46歳時低力リウム血症を認めたため, 当科2回目の入院となった. 汎アミノ酸尿, リン再吸収率低下, 尿酸排泄増力口, 尿中力ルニチン増力口, 血清力ルニチンの低下を認め, Fanconi症候群と診断した. 7590GTTでは38歳時と同様にインスリンの遅延過剰反応を認めた. 著明なやせを伴ったFanconi症候群にインスリン抵抗性の糖尿病を認めた. 低力ルニチン血症と耐糖能障害との関連が示唆された
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