症例は69歳, 男性. 2日前より食欲不振, 嘔吐, 口渇, 多尿, 全身〓怠感が出現し当院を受診した. 随時血糖575mg/d
l, 尿ケトン体陽性, 血液ガス分析でpH7.08であり, 糖尿病ケトアシドーシスと診断し入院した. 来院時HbA
1cは7.6%と軽度高値であったが, 尿中Cペプチドは5.4μg/dayと極度に低下し, 抗GAD抗体陰性であった. 以上の所見から劇症1型糖尿病と診断した. 軽度の脂質代謝異常 (TC229mg/d
l, HDL-C52mg/d
l, TG404mg/d
l ) を合併していたが, インスリン治療を開始し改善傾向にあった. しかし, 入院2週後より脂質代謝異常は悪化し, リポ蛋白電気泳動ではbroad βパターンが認められ, アポ蛋白EフェノタイプはE2/2であった. III型高脂血症に1型糖尿病が合併し, 興味深い脂質変動を呈した. 治療はインスリン投与のみで改善されず, bezafibrateの投与を必要とした.
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