糖尿病
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48 巻, 4 号
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特集 最近注目されている疾患と糖尿病の関わり
原著
  • 田中 康富, 佐倉 宏, 土屋 真美, 野澤 由美子, 岩本 安彦
    2005 年 48 巻 4 号 p. 249-255
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    外来受診中の1,038名の糖尿病患者を対象に, HbA1cの測定において#C分画 (修飾ヘモグロビン) が分離できない従来のHi-AUTO HA-8150 (ARKRAY社) とHbA1c分画がほぼ完全に単離できるようになったADAMS-A1c HA-8160 (ARKRAY社) の間で, HbA1c値にどのような差異が認められるか検討した. 1,038名中697名 (67.1%) では, HbA1c値の差 (乖離0.3%以内) は認められなかった. 2回連続して, HbA1c値がHA-8150測定値>HA-8160測定値 (乖離0.3%以上) であった者は128名で, 最大2.5%の差があった. 逆に, HA-8150測定値<HA-8160測定値 (乖離0.3%以上) であった者は22名で, 最大1.4%の差があった. HbA1c値がHA-8150>HA-8160では, 腎不全, 腎機能障害者が多く認められ, これは腎不全や透析患者に#C分画 (修飾ヘモグロビン) が多くなるという従来の成績を支持するものであった. HA-8150<HA-8160についてはHbF高値の患者に多く認められたが, 原因不明も多かった.
症例報告
  • 松本 光生, 佐藤 信一郎
    2005 年 48 巻 4 号 p. 257-261
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の男性. 2003年4月より口渇, 多飲多尿, 2カ月で6 kgの体重減少あり. 近医にて随時血糖723 mg/dl, HbA1c 11.9%を指摘され, 当院を紹介され入院となった. 清涼飲料水の多飲が認められたため, 当初は清涼飲料水ケトーシスと診断し強化インスリン療法を行った. その後, 抗GAD抗体4,270.0 U/ml, ICA 1,280 JDF単位, IA-2抗体4.4 U/ml と各種膵島関連抗体が高値であることが判明したが, 内因性インスリン分泌は尿中CPR 32.1~48.1 μg/日, グルカゴン負荷試験にて血中CPR負荷前1.75 ng/ml, 負荷後6分3.13 ng/ml と枯渇には至っておらず, 緩徐進行1型糖尿病と診断した. 退院時インスリン治療は不要と思われたが, 中間型インスリンの就寝前2単位皮下注射を継続して退院した. 抗GAD抗体は退院後も高値であるが, 少量のインスリン治療を継続することで, 血中CPRは1年半経過した現時点でも入院時と同等以上の反応を保持しており, インスリン治療の継続がβ細胞の破壊, 内因性インスリン分泌の低下を抑制している可能性が考えられた.
コメディカルコーナー・原著
  • ―2002年度全国アンケート調査より―
    鈴木 和枝, 福島 恭子, 藤田 弘美, 西牟田 守, 本吉 光隆, 藤波 襄二, 池田 義雄
    2005 年 48 巻 4 号 p. 263-268
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    わが国の糖尿病診療の実態を把握するべく, 1972年から10年間隔で合計4回実施したアンケート調査成績を比較した. アンケート調査は, 過去3回の調査に準じ, 糖尿病に関心が高い全国1,834の医療機関を対象に実施した. 糖尿病の診断に関しては, 20年前も今回も75 g経口ブドウ糖負荷試験と日本糖尿病学会の判定基準が大半を占めた. 血糖の自己測定の導入率は今回が99%, 対象患者数は1施設当たり平均147.5名と著しい増加であった. 過去30年間, 糖尿病専門外来と糖尿病教室の実施率は高く, 日本糖尿病協会所属の友の会を有する施設の割合も増加したが, 診療所や開業医家など会員数が少ない施設の増加が目立った. 診療所や開業医家では, スタッフ不足から教育活動が困難な様相を示した反面, 病診連携システムの導入率は54%と高率であった. 以上より, 糖尿病の診療では病診連携システムの導入により, 教育活動の充実を図ろうとする動向が示唆された.
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