糖尿病
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48 巻, 8 号
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リリー賞受賞講演
ハーゲドーン賞受賞講演
原著
  • ―2群間クロスオーバー比較試験による検討―
    中島 寿樹, 福井 道明, 出口 雅子, 田中 亨, 手越 久敬, 橋本 雅生, 坪内 康則, 長谷川 剛二, 中村 直登
    2005 年 48 巻 8 号 p. 601-606
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    糖尿病性神経障害に対するアルドース還元酵素阻害薬 (エパルレスタット) の効果を検討した. 糖尿病性神経障害を有する2型糖尿病患者22例を対象とした. エパルレスタット投与時 (3カ月間), 非投与時のクロスオーバー比較試験により自覚症状, 神経機能検査の改善度を検討した. 対象は22例 (男13例, 女9例), 平均年齢64.0±8.5歳, 平均罹病期間13.1±9.6年, BMI 22.1±3.9 kg/m2, HbA1c 6.8±0.8%. エパルレスタットの投与により, 下肢しびれ感, 感覚異常, 冷感が有意に改善した. 振動覚は非投与時に有意に悪化した. 深部腱反射, 安静時CVR-R, 神経伝導速度には変化を認めなかった. 今回のクロスオーバー試験の結果から, 糖尿病性神経障害を有する患者にエパルレスタットを投与した場合, 自覚症状の改善は比較的短期間で認められることが示唆された.
  • 石井 均, 山村 亜由子, James K Malone
    2005 年 48 巻 8 号 p. 607-616
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    1型および2型糖尿病患者に対して, 1日2回投与法によるインスリンリスプロ (以下リスプロ) 混合製剤-25および-50投与の患者QOLに与える影響を調べた. 調査には, インスリン治療に特化した質問表 (ITR-QOL) を用いた. リスプロは, 超速効型インスリン製剤で, 食事直前に投与できる. 本試験は非盲検の一般臨床試験で, 開始時と12週間の治療後にQOL調査を行った.
    215例 (238例中) を解析対象集団とした. ITR-QOLの最終時点の平均値 (99.2点) は, 開始時 (94.2点) に比べ有意に増加し, 患者QOLの改善が示された. ITR-QOLの「感情スコア」の食事に関連する項目が最も増加していた (+0.4~+1.0点). また, 注射に関するコンプライアンスおよび医師の指示に対するアドヒアランスのいずれも改善していた. リスプロ混合製剤は, リスプロ頻回投与試験で示されたリスプロ単独製剤と同様に, 本質的に患者QOLの向上に寄与し得ることを示している.
症例報告
  • 有好 香子, 野田 薫, 綾目 秀夫
    2005 年 48 巻 8 号 p. 617-620
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は67歳, 男性. 1986年に健診にて血糖の高値を指摘されるも放置していた. 1991年に糖尿病の指摘を受け, 経口血糖降下薬の内服を開始された. 1993年にバイヤル製剤N注 (ヒューマリン®N注) によるインスリン治療が開始された. 注射部位の発赤, 〓痒が続くため1996年混合型カートリッジ製剤30R注 (ペンフィル®30R注) に変更され, その後症状は消失していた. 1997年血糖コントロール目的に入院となり, 混合型カートリッジ製剤20R注 (ペンフィル®20R注) に変更となった. 2000年11月インスリン注射後に意識消失し, 救急搬入された. 来院時に血圧低下および腹部の発疹を認め, アナフィラキシーショックと考えられた. 数種のインスリン製剤による皮内テストを施行した結果, すべて陽性であり, インスリンアレルギーと診断した. 経口血糖降下薬に変更したが血糖のコントロールができず, 脱感作療法を施行した. 以降, アレルギー反応は認めなくなった. ヒトインスリンが使用されるようになりインスリンアレルギーの発生頻度は減少傾向にあるが, 本症例のようにアナフィラキシーショックをきたす例があり注意が必要である.
  • 川島 邦博, 堀松 高博, 岩本 和也, 岡林 克典
    2005 年 48 巻 8 号 p. 621-625
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者では虚血性心疾患の発症率が高く, 本邦の糖尿病患者の主要な死亡原因である. したがって, 効率良く冠動脈狭窄の程度を評価することは, 糖尿病患者の予後改善につながると考えられる. 今回われわれは, 狭心症状がなく負荷心電図・負荷心筋シンチでも異常所見を認めなかった2型糖尿病患者において, 多列検出器型ヘリカルCTを用いたcoronary CT angiographyで冠動脈狭窄を検出し, ステント留置を施行した1症例と冠動脈バイパス術を施行した1症例を経験した. Coronary CT angiographyは冠動脈狭窄部を直接画像で捉らえることができるため, 糖尿病患者の虚血性心疾患発症のリスクを早期に評価することができる非侵襲的検査として有用であると考えられた.
  • 中尾 大成, 岡地 英紀, 若崎 久生, 下村 裕子, 小林 正人, 中野 好夫, 古田 浩人, 松本 英作, 西 理宏, 佐々木 秀行, ...
    2005 年 48 巻 8 号 p. 627-631
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は30歳, 女性. 2002年11月29日発熱あり. 12月2日より口渇, 多飲, 全身〓怠感出現し, 症状徐々に増強のため12月6日救急受診した. 来院時意識は清明であったが脱水所見あり, 血糖値1,191 mg/dl, 尿ケトン体強陽性, 血中ケトン体高値, 代謝性アシドーシス認め, 糖尿病性ケトアシドーシスの診断で入院となった. HbA1cは5.8%と軽度上昇, 尿中CPR<0.20 μg/day, グルカゴン負荷時のCPR反応0 ng/ml, 抗GAD抗体陰性より劇症1型糖尿病と診断した. 血中エラスターゼ1は来院時より高値で入院後さらに上昇, アミラーゼ, リパーゼは第3病日より上昇し, 第5病日ピークとなり約1~3カ月後に正常化した. 劇症1型糖尿病は発症時血中膵外分泌酵素の上昇を伴うことが多いとされているが, 膵外分泌酵素上昇の推移について検討された報告は少ない. 本疾患の病態発現機序を推察するうえで示唆を含んだ症例と考え報告する.
短報
コメディカルコーナー・原著
  • 北川 智子, 中村 晋, 岩瀬 正典, 飯田 三雄
    2005 年 48 巻 8 号 p. 637-641
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    当院通院中の肥満患者39名に, 2通りのセルフモニタリングを用いた栄養指導を行い, その減量効果を検討した. 1日1回の体重を記録する「体重記録表」を用いた10名を体重記録群, 体重とともに目標行動の達成度を記録する「行動記録表」を用いた12名を行動記録群とし, それらを使用しなかった17名の対照群と比較した. また, 糖尿病患者31名のHbA1cの変化についても検討した. 指導開始後6カ月間は各群とも有意に体重が減少し, 対照群よりも行動記録群のほうが有意に優れていたが, 他の群間では差がなかった (対照群-1.5±2.1 kg, 体重記録群-3.2±3.4 kg, 行動記録群-6.9±7.9 kg). また, 糖尿病の合併例の検討では体重記録群はHbA1cの改善はみられなかったが, 対照群と行動記録群は有意に改善しており, 行動記録群の改善が最も良い傾向がみられた. セルフモニタリングとして行動記録表を用いた栄養指導は患者の協力が得やすく, 減量効果やHbA1cの改善が良好であった.
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