症例は30歳, 女性. 2002年11月29日発熱あり. 12月2日より口渇, 多飲, 全身〓怠感出現し, 症状徐々に増強のため12月6日救急受診した. 来院時意識は清明であったが脱水所見あり, 血糖値1,191 mg/d
l, 尿ケトン体強陽性, 血中ケトン体高値, 代謝性アシドーシス認め, 糖尿病性ケトアシドーシスの診断で入院となった. HbA
1cは5.8%と軽度上昇, 尿中CPR<0.20 μg/day, グルカゴン負荷時のCPR反応0 ng/m
l, 抗GAD抗体陰性より劇症1型糖尿病と診断した. 血中エラスターゼ1は来院時より高値で入院後さらに上昇, アミラーゼ, リパーゼは第3病日より上昇し, 第5病日ピークとなり約1~3カ月後に正常化した. 劇症1型糖尿病は発症時血中膵外分泌酵素の上昇を伴うことが多いとされているが, 膵外分泌酵素上昇の推移について検討された報告は少ない. 本疾患の病態発現機序を推察するうえで示唆を含んだ症例と考え報告する.
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