糖尿病
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49 巻 , 2 号
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原著
  • 磯部 健, 斎藤 重幸, 高木 覚, 竹内 宏, 千葉 雄, 加藤 伸郎, 藤原 禎, 中村 陽介, 島本 和明
    2006 年 49 巻 2 号 p. 119-126
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/11/19
    ジャーナル フリー
    メタボリックシンドローム(MS)と血清アディポネクチン値(Adipo)との関連を検討した.対象は2002~2003年の地域住民検診受診者のうち高血圧,糖尿病,高脂血症治療者を除いた男女1,033名(平均年齢59.8±12.4歳).測定項目はbody mass index (BMI), 腹囲径(WC), 血圧値(SBP/DBP), 空腹時血糖値(FPG), 総コレステロール値(TC), 中性脂肪値(TG), HDLコレステロール値(HDL), Adipo. AdipoはF分布を示したため自然対数変換した.TG≥150 mg/dl, HDL<40 mg/dl, SBP≥130 mmHgかつ/またはDBP≥85 mmHg, FPG≥110 mg/dl, そして,腹囲については男性ではWC≥85 cm, 女性ではWC≥90 cmを基準として3項目以上満たすものをMS群,それ以外をNon-MS群に分類し,年齢調整したAdipoを比較した.またAdipoを従属変数として重回帰分析を行った.男女ともAdipoは年齢,HDLと有意な正の相関を認め,BMI, WC, FPG, TGとは有意な負の相関を認めた.Adipoを従属変数とした重回帰分析では年齢,BMI, WC, FPG, TG, HDLが有意な独立変数として採択された.AdipoはNon-MS群に比しMS群で有意に低下しており,年齢調整後もその関係は保たれた(それぞれ男性:p<0.001; 女性:p=0.001).AdipoはMSで有意に低下しており,今回の基準で診断したMS例において,抗動脈硬化作用が示されている脂肪細胞由来因子アディポネクチンの血中濃度が低下していた.
  • 橋本 佳明, 二村 梓, 井上 富夫, 向山 美雄
    2006 年 49 巻 2 号 p. 127-131
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/11/19
    ジャーナル フリー
    喫煙の空腹時血糖におよぼす影響は肥満度の違いによって異なるかどうかを,職域健診受診男性7,320名で検討した.空腹時血糖が126 mg/dl以上の率(DM率)は,非喫煙者が5.2%, 過去喫煙者6.2%, 少量喫煙者(1~19本/日)4.2%, 中等量喫煙者(20~39本/日)5.5%, 多量喫煙者(40本以上/日)10.3%であり,非喫煙者と比較し多量喫煙者は有意に高率であった.多変量ロジスティック回帰分析により年齢,肥満度,飲酒量で調整して各喫煙状態でのDM率を比較したところ,多量喫煙者は非喫煙者の1.78倍と有意に高率であった.肥満度別にDM率を検討すると,body mass index (BMI)が25以上の群では多量喫煙者は非喫煙者の2.34倍と有意に高率であったが,BMIが23未満の群では0.97倍,BMIが23~24.9の群では1.89倍と喫煙の有意の影響が認められなかった.多量喫煙者に糖尿病者が多かったが,この喫煙の影響は肥満度によって異なることが示唆された.
症例報告
  • 庄野 剛史, 若崎 久生, 中尾 大成, 西野 雅之, 濱西 徹, 小林 正人, 下村 裕子, 中野 好夫, 古田 浩人, 松本 英作, 西 ...
    2006 年 49 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/11/19
    ジャーナル フリー
    症例は63歳男性.2002年12月,右上下肢の痺れを主訴に受診した際に脳梗塞と診断され,同時に高血糖,慢性B型肝炎,多発性肝腫瘤を指摘された.2003年1月,多発性肝細胞癌に対し肝動脈塞栓術を施行した.退院後の2月26日より発熱,腹痛,トランスアミナーゼ上昇があり,3月3日に再入院となった.
    入院時の腹部CTで肝右葉にガス像を伴う低吸収域を認めたため,ガス産生性肝膿瘍と診断した.膿汁と血液培養からCitrobacter freundiiが同定され,抗菌薬経静脈投与とエコーガイド下膿瘍ドレナージにて一時改善傾向を認めたものの,発熱,膿汁排出が持続するため,6月6日肝動脈内にカテーテルを留置し抗菌薬動注療法を開始した.1カ月後には膿瘍は縮小,CRPも改善した.本症例のようなガス産生性肝膿瘍は糖尿病合併例が多く,その関連が重視されており報告する.
  • 藤本 美香, 大野 恭裕, 山内 孝哲, 廣田 則幸, 遠藤 達治, 小牧 克守, 宮武 利行, 青木 矩彦
    2006 年 49 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/11/19
    ジャーナル フリー
    オクトレオタイド投与により糖尿病が好転した末端肥大症による2次性糖尿病の症例を経験した.症例は27歳,女性.14歳時より糖尿病と診断されたが放置されていた.今回,呼吸困難,浮腫のため心不全,腎不全と診断され当院救命救急センターに救急搬送された.HbA1c 7.7%と糖尿病があり,糖尿病腎症による腎不全,肥大型心筋症および増殖性糖尿病網膜症と診断され当科に転科となった.
    特異的顔貌,GHの奇異性反応,高IGF-I血症,下垂体腫瘍の存在を認め,末端肥大症の合併と診断した.下垂体腫瘍切除術を拒否されたためオクトレオタイド(300 μg/日)投与治療を行い,HbA1c 5.1%と良好な血糖コントロールを得た.経口ブドウ糖負荷試験のオクトレオタイド投与前後の比較では,投与後に耐糖能とインスリン過分泌は改善した.
    若年発症の糖尿病の診断においては,内分泌疾患などによる2次性糖尿病も考慮し,適切な診断と治療を選択する必要があると考えられる.
  • 内藤 孝
    2006 年 49 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/11/19
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,男性.空腹時血糖340 mg/dl, HbA1c 13.2%に及ぶコントロール不良の未治療2型糖尿病で,38°C台の発熱,咳,痰,体幹から四肢に広がる皮疹を主訴に入院したが入院直後に悪寒,チアノーゼ,頻呼吸が出現し不穏状態に陥り乳酸アシドーシス(pH 7.137, 血中乳酸値74 mg/dl)が明らかとなった.診断後速やかに厳格な血糖コントロール,脱水の補正,アルカリ化などの治療を行い代謝異常が順調に改善したにもかかわらず,腎不全増悪,肝機能障害,膵逸脱酵素上昇,心房細動など多臓器障害を引き起こした.乳酸アシドーシスから臓器障害を生じる例はこれまでにも多数報告されているが,これほど多彩な臓器障害の報告は見当たらない.また発症後早い時期から乳酸アシドーシスの経過を追うことができたという意味でも貴重な症例と考えられた.
  • 軽部 憲彦, 斎藤 友治, 吉村 弘子, 寺師 聖吾, 樫山 麻子, 住友 秀孝, 宮川 高一, 布村 真季, 向山 新
    2006 年 49 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/11/19
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,男性.32歳時に2型糖尿病発症.43歳時に左足底第1趾根部の疣贅状角化病変をカミソリで削り大量に出血.その後,疣贅状角化病変は左足全体に広がり象皮様皮膚の様相を呈したが放置.45歳時,貧血の進行にて近医受診し,糖尿病足壊疽の診断にて当院入院.創部培養の結果,Prevotella melaninogenica (P.melaninogenica)を含む混合感染を認めた.頻回のデブリードメント,広域スペクトルを有する抗生物質による感染コントロール,強化インスリン療法による血糖コントロールを行い,局所血流良好のため左足部分切除を施行.その後,創部は閉鎖し社会復帰を果たした.本例の象皮様皮膚角化はVerrucous skin lesions on the feet in diabetic neuropathy (VSLDN)に類似し,長期間の不潔な環境,慢性的な足への刺激が原因と考えられた.また,P.melaninogenicaは糖尿病足壊疽の起炎菌として報告が少なく貴重な症例と考えられた.
  • 近藤 照貴, 松沢 伸洋, 中山 一孝, 南 茂, 島田 美貴, 望月 峻成, 河野 恒輔, 甲田 隆, 山本 博昭, 松村 祐, 八巻 文 ...
    2006 年 49 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/11/19
    ジャーナル フリー
    【症例】23歳,女性.【家族歴,既往歴】特記すべきことなし.【主訴】意識障害.【臨床経過】2003年3月31日より感冒症状あり,4月8日せん妄状態で救急外来受診.来院時血糖1,124 mg/dl, HbA1c 6.8%, 動脈血pH 6.89, BE-27.5, 膵外分泌酵素上昇,腎不全,横紋筋融解症もあり,多彩な合併症のある劇症1型糖尿病によるケトアシドーシス(DKA)と診断.直ちに輸液および速効型インスリン持続静注で治療を開始した.急性呼吸促迫症候群(ARDS)を合併し,人工呼吸,持続血液濾過を行ったが,呼吸不全が悪化し最終的に経皮的人工心肺装着,体外式膜酸素化によって改善した,強化インスリン療法下で7月8日退院した.【考案】DKAには稀にARDSが合併するとの報告がある.本例は感冒様症状を初発とする重篤な合併症が重積した劇症1型糖尿病で,極めて重症であったが集学的治療で救命できた.
コメディカルコーナー・原著
  • 本田 まり, 戸矢崎 満美, 鹿住 敏, 南部 征喜
    2006 年 49 巻 2 号 p. 163-169
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/11/19
    ジャーナル フリー
    地域診療の場における管理栄養士の不在等を補い支援する目的で,医療施設と管理栄養士を有する支援機関が連携した食事療法支援システムを構築した.主治医が患者に配布した調査表を元にして,支援機関の管理栄養士が評価・患者用指導教材を作成し,医療従事者(主に主治医)が食事指導を行った.対象は,7つの医療施設にて調査表を配布し返信のあった2型糖尿病患者136名とし,患者の食生活習慣および食事内容の変容を中心に介入効果を検討した.結果,21カ月間の調査表の提出率は有意に低下したが,提出回数3回以上の対象において食生活習慣および食事内容に関する16の評価項目中7項目に改善がみられ,体重管理にも有用性がみられた.指導教材は,指導内容への患者の理解や納得など意識面に対する好影響が期待された.当システムは,食事療法支援のための地域チーム医療として有用性が期待され,そのためには継続が重要であり医療施設との連携が必要である.
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