日本人2型糖尿病における日常のメトホルミン治療の有用性を検討するため,全国74施設で2002年にメトホルミンを新たに投与開始した1,197症例を対象に観察研究(Melbin Observational Research study: MORE study)を行い,その有効性および有害事象の発現状況について解析した.その結果,開始時,3, 6, 12カ月後のグリコヘモグロビン(HbA
1C)の平均値は8.2, 7.3, 7.3, 7.3%, 空腹時血糖は168.9, 146.6, 150.4, 145.2 mg/d
lと,いずれも開始時に対して有意に低下した.体重は有意に減少し,脂質代謝の異常変動は認められなかった.メトホルミン単剤投与症例においても同様の結果が得られた.メトホルミンの1日用量を500 mgから750 mgまで増量した40例において,増量後のHbA
1Cに有意な改善が認められた.副作用発現症例率は118/1,175例(10.0%)であり,乳酸アシドーシスの発現は認めなかった.メトホルミンは日本人2型糖尿病治療において有用であり,血糖コントロールの十分な改善が得られていない症例に対しては,増量によってより良い血糖コントロールが得られる可能性が示唆された.
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