糖尿病
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49 巻 , 7 号
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原著
  • 井田 健一, 吉崎 祐子, 児玉 光顕, 宇佐美 勝, 池田 正毅
    2006 年 49 巻 7 号 p. 509-515
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    当院に「1日入院」した糖尿病患者402名について,血糖日内変動から得られるM値と入院直前のHbA1Cの相関関係を調べ,治療内容による違いを検討した.次に,「普通入院」中にインスリン単独療法からSU薬とインスリン併用療法に変更となった139例の糖尿病患者について,血糖日内変動から得られるM値とMBG (mean blood glucose) の相関関係をインスリン単独時と併用療法時で比較した.HbA1C, MBGともにM値と正の相関関係が認められたが,その回帰直線の傾きは併用療法のほうが有意に低値であった.インスリン単独療法に比べSU薬とインスリンの併用療法のほうが,同程度のHbA1C, MBGであってもM値が低値を示し,血糖の変動の少ない安定したコントロールが得られる可能性が示唆された.
症例報告
  • 藤本 啓志, 宮本 正章, 高木 元, 山下 照代, 水野 博司, 小池 幸子, 高野 照夫
    2006 年 49 巻 7 号 p. 517-521
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    53歳男性.左足趾4,5趾足底部鶏眼の感染を契機に足壊疽を発症.発症時には糖尿病を指摘された.創部より多剤耐性緑膿菌(MDRP)を認め,他院での治療に奏効せず,下肢切断が必要と診断され当院に転院した.当院で,医療用ウジによるデブリードメント治療を導入した.医療用ウジ約500匹を足底および足背の創部へ4日間付着させたのみで,他の治療法は一切併用しなかった.デブリードメント効果は著明で,創部の壊死,感染部は消失し,健康肉芽の増生も良好となった.医療用ウジ治療終了後,直ちに形成外科で植皮術施行可能となり,そのほとんどが生着し,ウジ治療施行後28日にて自立歩行可能,軽快退院となった.従来の治療では患肢切断となる症例においても,本治療では創部の感染,デブリードメントおよび肉芽増生効果により,下肢切断を回避できQOLも上昇した.今後,重症難治性糖尿病性壊疽に対する簡便でしかも有効な治療法となり得ると考えられた.
  • 谷本 啓爾, 伊藤 充, 井上 徹, 亀谷 英輝, 池田 恒彦, 平岩 哲也, 寺前 純吾, 今川 彰久, 花房 俊昭
    2006 年 49 巻 7 号 p. 523-527
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    症例は33歳女性.9歳時より高度肥満を伴う糖尿病と診断され,約1年前よりインスリン療法を行っていた.右眼硝子体手術後に妊娠が判明し,当科入院となった.1日尿蛋白排泄量11 gとネフローゼ症候群を呈し,腎症は3期Bで,左眼に眼底出血を認め,神経障害も合併していた.さらにHbA1C 8.8%と血糖コントロール不良であったが,本人,家人の強い希望により妊娠を継続した.重症の加重型妊娠高血圧腎症を合併し,降圧剤の内服にて血圧は140~160 mmHgであった.妊娠28週に帝王切開術を施行した.児は924 gで,明らかな奇形の合併はなく良好に経過した.母の腎症は出産後増悪を認めたが,左眼増殖糖尿病網膜症の悪化に対して妊娠中に硝子体手術を施行し,網膜症の活動性は低下した.重症の糖尿病合併症を有する2型糖尿病合併妊娠であったが,集学的治療により無事出産に至った.
  • 斉藤 丈洋, 比嘉 陽代
    2006 年 49 巻 7 号 p. 529-534
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    症例は45歳女性.1997年に1型糖尿病を発症し,インスリン治療を開始された.2004年2月頃より肝機能障害が悪化したため,4月9日に精査加療目的で紹介入院となった.精査の結果,自己免疫性1型糖尿病,全身性エリテマトーデス(SLE),自己免疫性肝炎,橋本病と診断し,PSL30 mg/日より投与を開始.肝機能は改善してきたが,副腎皮質ステロイドの影響もあり持効型インスリンを用いた強化インスリン療法でも血糖コントロールが著しく悪化した.そのためpreprogrammable insulin pumpを用いたcontinuous subcutaneous insulin infusion therapy (CSII therapy)を導入した.副腎皮質ステロイドにより,午後から夜にかけて血糖値が上昇してくるため,昼から夜の基礎注入量を0~5時:0.6 U/h,5~7時:0.9 U/h,7~11時:0.8 U/h,11~20時:1.0 U/h,20~0時:0.6 U/h,追加注入量は(8-10-7)Uとし,血糖コントロールは良好となった.内因性インスリン分泌が高度に障害された1型糖尿病で,かつステロイド治療を要する場合,血糖コントロールは困難である.今回われわれは,preprogrammable insulin pumpを用いたCSII療法を導入することによってこれを克服できた.
  • 鈴木 淳也, 山内 雅裕, 水谷 直広, 柴田 大河, 鈴木 厚, 青木 孝彦, 傍島 裕司
    2006 年 49 巻 7 号 p. 535-539
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    症例は69歳の男性.39歳時に糖尿病を指摘されたが放置した.市職員が自宅訪問したところ,左足壊死に気づき当院救急外来に搬送された.高血糖(513 mg/dl,HbA1C 7.9%)と左足壊疽で入院となった.インスリンによる血糖コントロールを行った後,左下腿切断術を施行した.術後14日目から腹痛と下痢が出現し,術後24日目から発熱と下血も認めた.大腸内視鏡検査にて下行結腸から直腸に多発性の打ち抜き様潰瘍を認めた.病理学上,粘膜壊死組織に封入体を認め,PCR法で血中のサイトメガロウイルス(CMV)-DNAを検出したことより,CMV腸炎と診断した.絶食とガンシクロビルの投与により症状は改善した.コントロール不良の糖尿病とCMV感染との関連について明記した報告はなく,糖尿病の易感染性を考える上で興味深い症例と考えられた.
  • 吉原 理恵, 染谷 泰寿, 横山 淳一, 田嶼 尚子
    2006 年 49 巻 7 号 p. 541-544
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    症例は31歳の女性.22歳頃より体重増加とともに月経不順となった.25歳で結婚,29歳で多嚢胞性卵巣症候群(以下PCOS)と診断され,約2年間不妊治療を受けたが妊娠に至らなかった.31歳時に糖尿病と診断され当科受診.高度の肥満(BMI 32 kg/m2),下腿の多毛,HbA1C 6.4%,高度のインスリン抵抗性(HOMA指数5.15)および高アンドロゲン血症(テストステロン87.5 ng/dl)を認めた.食事・運動療法により治療5カ月後には肥満が改善(BMI 26.6 kg/m2)し,HbA1C 5.1%およびHOMA指数2.15と低下した.基礎体温は徐々に2相性となり周期的な排卵が得られた.14カ月後にはBMI 26.2 kg/m2となり,HbA1C 4.8%の状態で自然妊娠し,無事に出産に至った.本例は生活習慣是正による減量でインスリン抵抗性が著明に改善し妊娠,出産に至った貴重なPCOSの1例と考えられた.
  • 鈴木 薫, 浅田 昭道, 山秋 直人, 櫻井 勝, 八木 邦公, 米田 隆, 小林 淳二, 武田 仁勇
    2006 年 49 巻 7 号 p. 545-549
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    症例は30歳男性.糖尿病家族歴なし.最高体重は18歳時の115 kg (BMI 37.1 kg/m2).19歳時に2型糖尿病発症(HbA1C 6.7%, HOMA-R 4.2).21歳時に感冒様症状を契機に糖尿病性ケトアシドーシスを発症.随時血糖860 mg/dl,HbA1C 7.4%,アミラーゼ93 IU/l,リパーゼ103 IU/l,抗GAD抗体,ICA陰性であった.発症直後の尿中CPRは45.1 μg/日であったが,早期に尿中CPR 4.6 μg/日,グルカゴン負荷検査CPR感度以下とインスリン分泌能の低下が認められた.インスリン頻回注射療法を行うも血糖コントロールは不良でありCSII導入となった.HLA genotypeはDRB1*0410-DQB1*0402,DRB1*0901-DQB1*0303で,1型糖尿病感受性ハプロタイプを有していた.若年で2型糖尿病を発症し,その2年後に劇症1型糖尿病を発症したと考えられた1症例を経験した.発症早期の段階で急激なインスリン分泌能の低下をきたしており,短期間のインスリン分泌の変化を捉えることができた症例と考えられた.
  • 加藤 大也, 口脇 賀治代, 吉村 将典, 欄 真一郎, 吉岡 真理子, 宮本 直哉, 澤井 喜邦, 金山 均, 伊藤 光泰
    2006 年 49 巻 7 号 p. 551-554
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    症例は16歳女性.半年前より体重減少,口渇あり.近医でバセドウ病と診断.2005年3月18日よりチアマゾール内服開始.その後も症状改善なく当院紹介受診.採血上PG 466 mg/dl,HbA1C 11.9%,ケトアシドーシスを認め4月8日糖尿病ケトアシドーシスにて入院.抗GAD抗体5,990 U/mlと高値を示し1型糖尿病と診断.入院後徐々に顆粒球減少を認めたためチアマゾールの内服を中止し,甲状腺亜全摘を施行した.チアマゾール内服中止後,顆粒球は改善した.HLA遺伝子解析では,1型糖尿病とバセドウ病との共通の疾患感受性遺伝子を認め,さらにチアマゾールの副作用についての疾患感受性遺伝子も認めており,1型糖尿病とバセドウ病の発症および,チアマゾールの副作用にHLAクラスII分子を介した共通の自己免疫誘導機構の関与が推察された.
コメディカルコーナー・原著
  • 松崎 純子, 小野 百合, 中村 昭伸, 和田 典男, 秦 温信
    2006 年 49 巻 7 号 p. 555-559
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者における頭部MRIの結果から,脳梗塞スクリーニング検査としての脈波伝播速度,頸動脈エコーの有用性を検討した.糖尿病患者259名に頭部MRIを行い脳梗塞所見有り群と無し群に分け,各々の血圧脈波,頸動脈エコー,各種検査項目,患者背景について検討した.両群間では脈波伝播速度(PWV),内中膜複合体厚(IMT),プラークの有無,合併症数,年齢,罹病期間,高血圧の有無において有意差を認めた.MRI上の脳梗塞所見を基準評価とし,PWVのカットオフ値を1,600 cm/secとすると感度,特異度は87%,57%,IMTのカットオフ値を0.8 mmとすると各々61%,61%,プラークの有無では各々65%,73%であった.脳梗塞スクリーニング検査として,PWVを第一に行い,次に頸動脈エコーを行いプラークの有無およびIMTを検討した後に,精密検査として頭部MRIを行うのがよいと考えられた.
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