糖尿病
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49 巻 , 8 号
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ミニレビュー
原著
  • 河原 哲也, 新生 忠司, 太幡 敬洋, 森本 佳子, 岡田 洋右, 森田 恵美子, 田中 良哉, 高橋 慶一
    2006 年 49 巻 8 号 p. 637-643
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    IGT (impaired glucose tolerance)と診断された患者102名を「短期入院群」23名と「非入院群 入院意欲あり」13名,「非入院群 入院意欲なし」66名とに分け,その後の体重,血圧,血糖コントロール,脂質コントロールの推移を1年間追跡,解析した.その結果,「非入院群」が2群ともHbA1C,空腹時血糖,食後2時間血糖,中性脂肪において増悪傾向を示したのに対し,「短期入院群」では,同項目のいずれにおいても「非入院群」2群と比べ有意に増悪を抑制し,またHbA1Cにおいては入院前と比べ有意な増悪を示さないという結果を得た.したがって,IGT患者が早期に1泊2日の短期入院をすることにより,その後の血糖,脂質のコントロール増悪を抑制する可能性が認められ,IGTから糖尿病への進展を抑制できる可能性が示唆された.
  • 石塚 俊治, 徳山 芳治, 中村 仁, 朴澤 耕治, 金塚 東
    2006 年 49 巻 8 号 p. 645-652
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    糖尿病における無症候性心筋虚血(SMI)の実態を明らかにし,またその危険因子を同定するために,通院中の同病罹病患者を対象にしてその頻度と臨床的特徴について検討した.狭心痛のない糖尿病患者387名にトレッドミル運動負荷心電図を施行した.負荷心電図陽性群と陰性群で年齢,糖尿病罹病期間,身体所見,脈波伝播速度,臨床検査値を比較した.さらにトレッドミル運動負荷心電図陽性者において心血管造影法を施行し冠動脈の狭窄について検討した.負荷心電図で92名(24%)が陽性であった.年代別の陽性率は,男性,40歳代以降で20~25%,また女性で50歳代以降25%であった.糖尿病罹病期間は,陽性群で長い傾向がみられた.収縮期血圧は男女とも陽性群で有意に上昇した.大動脈起始部-上腕脈波伝播速度が男女とも陽性群で有意に亢進し,上腕-足首脈波伝播速度は女性陽性群で亢進した.空腹時血糖,HbA1C, 空腹時IRI HOMA-IRいずれも男女とも陽性群で高い傾向にあるが有意差は無かった.多変量ロジスティック回帰分析の結果,男性において収縮期血圧,拡張期血圧,大動脈起始部-上腕脈波伝播速度,空腹時血糖,空腹時インスリン,HOMA-IR指数に有意な相関を認めた.92名の負荷心電図陽性患者中64名に冠動脈造影を行い,41名(64%)に狭窄度50%以上の有意狭窄を認め,そのうち31名に多枝病変を認めた.有意狭窄を認めた患者で空腹時血糖とHbA1Cが有意に高値であった.冠動脈の有意狭窄を認めた15名(35%)に経皮冠動脈形成術,4名(9%)に冠血行再建術を行った.糖尿病患者の16%にSMIが認められた.糖尿病患者において,40歳以上の男性と閉経後の女性,罹病期間が長期で高血圧症を合併,脈波伝播速度の亢進を伴う症例では積極的に負荷心電図を施行することがSMIの診断に有用である.同検査が陽性であれば,特に血糖コントロール不良の患者においては冠動脈造影を実施しSMIを早期に診断して適切な治療を行うことが必要である.大動脈起始部-上腕脈波伝播速度の亢進とSMIとの関連が注目される.
症例報告
  • 恒川 新, 三浦 義孝, 板倉 敦夫, 大磯 ユタカ
    2006 年 49 巻 8 号 p. 653-658
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    症例は24歳女性.平成16年4月,妊娠12週時,肥満合併妊娠管理目的に当院受診.75 g-OGTTで糖尿病型を示し治療目的で入院.身長168 cm, 体重145 kg, BMI 51.2 kg/m2, HbA1C 7.2%, 血中ケトン体軽度上昇,尿C-ペプチド812 μg/day.入院後,糖尿病食1,840 kcalではコントロールつかず,リスプロ毎食前投与開始.血糖改善するもケトン体高値持続.糖尿病食2,000 kcalに増量したところ,ケトン体改善し退院となる.妊娠30週時,切迫早産で再入院.妊娠高血圧症候群食1,800 kcalでケトン体上昇,肝機能障害出現.糖尿病食2,000 kcalに増量し両者改善.最終的にリスプロ106単位/日まで増量し,妊娠37週帝王切開,新生児体重2,542 g.児に異常なし.産後75 g-OGTT正常型.一般的に肥満合併妊娠糖尿病ではカロリー制限が勧められるが,本症例では適切な栄養摂取も必要であったと考えられた.
  • 小池 陽子, 佐藤 温洋, 小嶋 清一郎, 朴沢 重成, 谷亀 光則, 堺 秀人
    2006 年 49 巻 8 号 p. 659-662
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    症例は68歳男性.18年ほど前に糖尿病を指摘されたが食事療法のみでHbA1C 6%台前半にコントロールされていた.2003年9月上旬に下腹部痛と発熱のため他院に入院.精査するも原因不明のまま自然寛解し退院となっていた.しかし,その1カ月後より急速な体重減少と血糖値の上昇がみられたことから当院へ紹介となった.精査加療目的にて2004年1月当院へ入院となったが,身体所見,画像所見上特に異常所見は認められず,強化インスリン療法の導入により急速な体重減少が停止したことから退院とし外来にて経過観察としていた.しかし,約2カ月後に閉塞性黄疸が出現し再入院となった.特徴的な画像所見と血清γ-グロブリンおよびIgG高値を認め自己免疫性膵炎と診断した.糖尿病血糖コントロールの急激な悪化を契機に発見された自己免疫性膵炎の症例を経験したことから報告する.
  • 木島 弘道, 坂井 恵子, 増田 創, 加藤 雅彦
    2006 年 49 巻 8 号 p. 665-668
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    症例は69歳女性.2型糖尿病,橋本病,高血圧症の治療を受けていたが,失神・脱力発作を繰り返すようになり当科に入院となった.失神発作の原因は冠血管造影にて右冠動脈起始部の完全閉塞がみられたことから,房室ブロックあるいは洞停止によるものと考えられた.入院前に使用していたグリベンクラミド,ボグリボースに代えて,塩酸メトホルミン(メデット®,以下Met)ならびに混合型インスリンを併用し血糖コントロールを改善したうえでペースメーカー植込み術を行った.しかし,この前後から乾性咳,微熱,呼吸困難感を自覚.画像検査で間質性肺炎と大量の胸水貯留が認められた.Metの中止とプレドニゾロン投与で改善がみられたが,Met再投与で微熱と息切れの再燃がみられた.Netによる薬剤リンパ球刺激試験の結果も陽性であり,同剤の投与による薬剤誘起性間質性肺炎と考えられた.
コメディカルコーナー・原著
  • 西垣 昌和, 小林 康司, 柴山 大賀, 門脇 孝, 数間 恵子
    2006 年 49 巻 8 号 p. 669-676
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    糖尿病急増に対する予防の効率的な一方策として考えられる.血縁者への発症予防活動に関する認識・経験を整理し,具体的方策への示唆を得ることを目的として,糖尿病医療専門職19名を対象に面接調査を行った.多くの対象者は,患者とその家族が糖尿病の遺伝に関する知識を十分には持っていないと感じており,また血縁者へのケアの提供は必要であると考えていた.しかし,心理的問題,知識の不足,および時間的・人的な体制の不備が,実際のケアに取り入れる上での障害となっていた.
    具体的方策としては,患者とその家族が正しくリスク認知をし,適度な運動,適切な食事といった好ましいライフスタイルへと行動を変容させて環境要因をコントロールできるようになるということを目標に,糖尿病,特に遺伝要因ならびに環境要因の相互作用に関しての教育・知識の普及を図ることが重要である,と対象者の意見は要約された.
  • 稲田 扇, 西村 周三, 清野 裕, 津田 謹輔
    2006 年 49 巻 8 号 p. 679-684
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/01/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,京都大学附属病院で治療中の2型糖尿病患者100名に対して行った直接非医療費のアンケート結果を検討したものである.糖尿病の食事療法にかかる費用は,一般の食費に比べて高いと思っている患者は26%, 食費は1人あたり月に3~5万円が最も多かった.糖尿病を意識しいわゆる健康食品を使用していると答えた患者は49%, それに要する費用は月に3~5千円が11%, 5千~1万円が10%であった.糖尿病を意識して運動をしている患者は74%で,ウォーキング(63%)など,お金をかけないで積極的に行う運動が多い.糖尿病を意識して健康器具を購入したことがある患者は16%,費用は5万以上が44%であった.病院に1回通院する際の往復費用は0~8千円にわたり,平均1,520円であった.主な交通手段にバス,電車,タクシーを利用している患者は67%であった.糖尿病以外の病気(風邪など)になりやすいと答えた患者は44%で,その医療費に月に5千~1万かかる患者が最も多かった.また,糖尿病のために食事療法,運動療法,診察代,通院交通費以外の出費があると答えた患者は13%で,運動のために習っている稽古代や“さかえ”のような患者会の雑誌等の諸費用,健康のために始めた園芸費用などであった.今回の調査で,直接非医療費として消費されているものは,多岐にわたることが分かった.
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