糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
50 巻 , 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 山名 泰生, 三木 英司, 清水 昇, 横井 敏夫, 杉本 英克, 土井 邦紘
    2007 年 50 巻 6 号 p. 365-372
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    〈目的〉米国等の先進諸国同様,本邦でも1988年の厚生省の「視覚障害の調査研究」によれば後天失明原因の第1位が糖尿病網膜症とされ,以後そのように思われてきた.事実,1990年に全国臨床糖尿病医会会員に対して実施した糖尿病患者の実態調査でも高頻度に失明者が認められた.すなわち,43医療機関から回答があった調査対象糖尿病患者16,824人のうち糖尿病網膜症による失明者は122人であり失明者の割合は0.73%と高率であった.なお,失明の定義は欧米でも異なっているが,本調査では矯正視力0.01以下の身体障害者1級の視覚障害者とした.その後も糖尿病患者は増加しているが,近年の糖尿病の啓発運動に加えて光凝固や硝子体手術の進歩の結果,予後に有意な改善が起こっている可能性が推定され,今回,糖尿病網膜症による失明患者の現在の動向を明らかにするために通院者について再調査を行った.〈方法と対象〉2003年に全臨糖会員49医療機関を受診した36,467人の糖尿病患者を対象に前回と同様の方法で失明に関して調査した.〈結果〉1医療機関あたりの患者数は1990年の調査では平均391人であり,今回の調査では平均744人となっており,患者数は約1.9倍に増加した.糖尿病網膜症による失明患者は32人で糖尿病患者に占める割合は0.09%であり,前回調査よりも有意に減少した(P<0.001).〈結論〉糖尿病網膜症による失明者は1990年の前回調査と比較して8分の1に減少した.
  • 橋本 佳明, 二村 梓
    2007 年 50 巻 6 号 p. 373-377
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    喫煙の空腹時血糖値(FPG)に及ぼす影響は,40本以上/日喫煙する肥満者でのみ認められることを以前に報告した.本研究では食前および食後の両血糖値を反映するHbA1cに及ぼす喫煙の影響について検討し,FPGに対する喫煙の影響と比較した.対象はHbA1cとFPGの両検査を受けた健診受診男性で糖尿病の薬剤治療を行っていない2,925名である.多変量ロジスティック回帰分析で非喫煙者に対する喫煙者のオッズ比を算出したところ,HbA1c 5.5%以上のオッズ比は20∼39本/日の喫煙者で1.49 (p<0.05), 40本以上/日の喫煙者で1.92 (p<0.1)であった.Body mass index (BMI)で2群に分け検討すると,喫煙の有意の影響はBMI24未満群でのみ認められた.一方,FPGが110 mg/dl以上のオッズ比は40本以上/日の喫煙者で2.06 (p<0.01)で,肥満度別に検討するとこの喫煙の影響はBMI 24以上群でのみ認められた.これらの結果から喫煙はFPGよりも食後血糖に対してより強い影響を与えると考えられた.また,この喫煙の食後血糖に及ぼす影響は非肥満群で大きいことが示唆された.
  • 石橋 理恵子, 丸山 千寿子, 荒木 理沙, 小池 志乃, 丸山 太郎
    2007 年 50 巻 6 号 p. 379-384
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    糖質計算の有用性評価を目的とし,超速効型インスリン製剤使用の1型糖尿病患者12名および健常者15名に負荷試験を行った.糖質量を一定(75 g)とした複合炭水化物のみからなる基準食,基準食の複合炭水化物15 gを砂糖に置換した一部砂糖食,基準食にバター25 gを付加した脂質付加食の3種類の食事を摂取させ,空腹時,食後30, 60, 120, 180分に採血を行った.食後の血糖変動を空腹時からの変化率で比較すると,健常者では試験食の種類の違いによる血糖変動に差はみられなかった.1型糖尿病患者では一部砂糖食の血糖変化率の変化量曲線下面積は,基準食に比べて低値で(p<0.05), 砂糖置換による食後高血糖は誘発されなかった.脂質付加食では食後の血糖上昇が遅延し,食後増加を続け食後180分が最高値となった.1型糖尿病患者が食後良好な血糖コントロールを得るためには糖質計算では不十分であり,糖質に加え脂質に対する配慮が必要と思われた.
  • 清水 暁子, 篁 俊成, 櫻井 勝, 竹下 有美枝, 栗田 征一郎, 御簾 博文, 安藤 仁, 金子 周一
    2007 年 50 巻 6 号 p. 385-391
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    超速効型インスリン単独で治療した2型糖尿病患者の長期的アウトカムと膵β細胞機能の推移を評価した.超速効型インスリン単独療法で血糖コントロールを行い,12カ月間観察し得た2型糖尿病患者90名(男性64名)を対象とした.観察開始時の平均値は,年齢59歳,body mass index 24.3 kg/m2, 空腹時血糖値(FPG) 177 mg/dl, HbA1c 9.5%. 昼・夕食前・眠前の血糖値<120 mg/dlを目標に超速効型インスリンの用量を設定した.定常状態FPG≥140 mg/dlが持続する場合,メトホルミンを追加またはbasal bolus法へ移行した.全例でFPGが改善し,うち69名(76%)が12カ月後も超速効型インスリン単独療法で良好に血糖コントロールし得た(FPG 115±28 mg/dl, HbA1c 6.5±1.1%, vs. basal bolus群FPG 108±21 mg/dl, HbA1c 6.9±1.1%).観察開始時のBMI低値とアルギニン・グルカゴンに対するCPR低反応とが,12カ月後の追加治療の必要性を予知していた.2型糖尿病患者の8割は,食後インスリン分泌を補充することで,長期的に良好な血糖コントロールを達成しうる.
症例報告
  • 辻中 克昌, 紀田 康雄, 橋本 哲也, 鹿野 勉, 上古 真理, 柏木 厚典
    2007 年 50 巻 6 号 p. 393-397
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の男性.33歳時に1型糖尿病と診断され,さらに51歳時にはBasedow病と診断され他院にて経過観察されていたが,血糖コントロールは不良であった.当院糖尿病内科受診の約2週間前より咽頭痛が出現し,1週間前からは頸部痛,肩の詰まる感じを自覚し,さらに左足背,右膝関節,左手背に発赤,腫脹,疼痛が出現し紹介受診された.頸部から上縦隔レベルまでのCT, MRI検査により縦隔膿瘍に至る咽後膿瘍と診断し,当院受診後約25時間で頸部膿瘍ドレナージ術,胸腔鏡下縦隔膿瘍ドレナージ術を全身麻酔下で施行し,抗生物質による強力な化学療法とインスリンによる血糖コントロールにより救命し得た.縦隔膿瘍は未だ死亡率の高い疾患であり,本症例の様な血糖コントロール不良の糖尿病患者では特に本疾患の早期診断,膿瘍ドレナージが重要である.糖尿病患者が咽頭痛に加え高度の炎症反応と頸部痛を訴えた場合には鑑別診断に咽後膿瘍,縦隔膿瘍も念頭に置く必要がある.
  • 守口 将典, 大野 恭裕, 小牧 克守, 原田 剛史, 岩井 博司, 廣田 則幸, 山内 孝哲, 池上 博司, 青木 矩彦
    2007 年 50 巻 6 号 p. 399-402
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    未治療糖尿病患者において気腫性腎盂腎炎を合併した1例を経験した.入院時血糖値922 mg/dl, HbA1c 15.9%であり意識障害を伴っていた.CRP 42.2 mg/dl, 白血球22,500/μlと強い炎症反応が認められ,腹部CTでは両腎盂にガス産生像を認めた.以上より糖尿病に伴う気腫性腎盂腎炎と診断し,速効型インスリンでの血糖管理と同時に抗生剤と免疫グロブリン投与による保存的療法のみで改善を認めた.血糖コントロールが不良な患者の場合,免疫機能の低下から重篤な感染症の合併が生じることがある.強い炎症反応を認める場合には,気腫性腎盂腎炎の合併に注意が必要である.自経例の紹介と文献的考案を行った.
  • 櫻井 典之, 本間 ふみか, 和田 典男
    2007 年 50 巻 6 号 p. 403-407
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は78歳男性.64歳時に早期胃癌にて胃切除を施行した.術後3年頃より低血糖発作が出現し,当初ダンピング症候群と考えられていた.次第に頻度が多くなり,食後だけでなく空腹時にも低血糖が出現するようになった.当科受診時に38 mg/dlと低血糖を認め同時採血のIRI 15.5 μU/ml, CPR 5.66 ng/mlと高値を示した.75 gOGTTとグルカゴン負荷試験にてIRIの過剰反応を認めた.画像診断の結果から膵頭部のインスリノーマと診断した.外科にて膵頭十二指腸切除を施行したところ,病理組織所見は膵併存腫瘍でありリンパ節転移を認めた.手術後低血糖発作は完全に消失した.本症例は低血糖の診療に当たる際に示唆に富む症例であり,病理組織所見も膵併存腫瘍という特異な所見を呈していたので報告する.
コメディカルコーナー・原著
feedback
Top