糖尿病
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51 巻 , 1 号
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原著
  • 今村 洋一, 高根 直子, 香野 修介, 小路 眞護, 広松 雄治, 山田 研太郎
    2008 年 51 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    CSII (continuous subcutaneous insulin infusion)で治療中の1型糖尿病患者12名を対象とし,速効型インスリンから超速効型インスリンへ変更し,6カ月間の血糖コントロールとQOLの変化について検討した.変更時平均のHbA1cは8.4±2.1%であり,変更1カ月後8.1±1.7%, 3カ月後7.6±1.1%と経時的に低下したが,6カ月後は7.7±1.3%で3カ月後とほぼ同程度であった.1カ月あたりの低血糖の発現頻度は,変更前の9.9回から11.6回へと増加が認められたが夜間の低血糖の頻度は減少した.また,変更前と変更後に体重の変化は認められなかった.変更6カ月後のアンケートでは,超速効型のインスリン使用のほうが,利便性を感じるとした回答が多かった.以上より日本人1型糖尿病患者において,超速効型インスリンを使用したCSIIは有用と思われた.
症例報告
  • 小川 洋平, 内潟 安子, 三浦 順之助, 柳沢 慶香, 佐倉 宏, 岩本 安彦
    2008 年 51 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は6歳6カ月の男児.滑脳症に伴う重症心身障害児である.コミュニケーションはほぼ不能で混合型四肢麻痺を認め寝たきりの状態であった.経口摂取不能のため以前から経鼻十二指腸カテーテルによる経腸栄養とされていた.発熱の後に下痢が出現し,その後傾眠傾向,多尿および唾液分泌量低下を認めた.再び発熱したため他院を受診,血糖値919 mg/dl, HbA1c 8.3%であり糖尿病と診断され,血糖コントロールの目的で当科に入院した.内因性インスリン分泌は保たれ,GAD抗体,IA-2抗体,ICAは陰性であった.約13.5時間におよぶ夜間の持続経腸栄養に対して持続皮下インスリン注入療法(CSII)を用い良好な血糖コントロールを得て退院した.CSIIの利点の1つは安定したインスリン血中濃度を保持できることである.その利点を生かすことにより良好な状態が得られる症例には1型糖尿病に限らずCSIIを検討すべきと考える.
  • 鈴木 國弘, 宮下 寧, 伴場 信之, 門傳 剛, 服部 良之, 笠井 貴久男
    2008 年 51 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.20年来のコントロール不良の2型糖尿病患者.2006年7月23日頃から右腰部痛,股関節痛が出現.発熱も出現し,26日近医受診.採血上著しい炎症所見を認め,即日入院.キノロン(以下NQ薬とする)の内服,静注投与が行われた.炎症所見改善なく当院紹介入院.CT, MRIにて右腸腰筋の内外側に膿瘍形成認め,病巣ドレナージ,洗浄を行った.創部培養からGBS (Streptococcus agalactiae)が検出,NQ薬(レボフロキサシン)に耐性minimm inhibitory concentration (MIC)>8 μg/mlを呈していた.ペニシリンとクリンダマイシンの投与により炎症所見改善.それに伴い血糖コントロールも改善した.膿瘍の起因菌としてのGBSは報告が少ないうえ,NQ薬耐性GBSによる腸腰筋膿瘍の報告はなく,本症例は稀有な1例と考えられ,文献的考察を加え報告する.
  • 松橋 亨, 木原 康之, 嶋田 美砂, 田口 雅史, 田代 充生, 山本 光勝, 大槻 眞
    2008 年 51 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性.55歳時に糖尿病と診断され,経口血糖降下薬の内服でHbA1c 8%台で経過していた.2004年2月27日,左季肋部痛,左背部痛を自覚し,当科を受診し,重症急性膵炎と診断され,入院した.血糖値が高値であったため速効型インスリンの持続静注を開始されたが,血糖値を150 mg/dl以下に維持するために最大217単位/日の速効型インスリンが必要であった.急性膵炎の改善に伴いインスリン必要量は漸減し,経口血糖降下薬の内服で血糖コントロールが可能となり退院した.高血糖は急性膵炎を重症化する危険因子であり,急性膵炎の治療において血糖値を正常に保つことは重症急性膵炎の致命率を改善するうえで重要である.
  • 笠原 隆行, 藤巻 理沙, 治部袋 佐知代, 和田 純子, 佐藤 麻子, 稙田 太郎
    2008 年 51 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    37歳,罹病期間8年の2型糖尿病女性.治療中断後に再開した強化インスリン療法により体重が5 kg増加し,全身浮腫,胸水,肺うっ血を伴う心不全をきたした.入院第5病日,いまだ胸水,下肢浮腫の残存時に行った心超音波検査では,左室壁運動に異常なく,EFは71%と正常であり,拡張機能障害による心不全が疑われた.利尿剤のみで自覚症状,全身浮腫,胸水は約2週間で消失した.血中BNPは第1病日130 pg/ml, 第2病日82.4 pg/ml, 第15病日には4.3 pg/mlと漸次改善した.本例は長期にわたる血糖コントロール不良下に,強化インスリン療法により血糖是正が比較的急速に行われた結果,心不全が誘発されたと想定された.機序としてインスリンのNa貯留作用による循環血液量の増加に加え,潜在する心拡張機能障害が一因となった可能性が示唆される.強化インスリン療法が普及した今日,留意すべき症例と考え報告する.
  • 森 博子, 岡田 洋右, 廣瀬 暁子, 西田 啓子, 森田 恵美子, 田中 良哉
    2008 年 51 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の女性.1984年成人発症Still病と診断され,プレドニゾロンにて治療されていた.この間,随時血糖値110∼180 mg/dl, HbA1c 5.4∼5.9%で推移していた.2005年10月足関節腫脹,疼痛が増悪したためミゾリビンを開始され,11月より高血糖症状が出現,12月HbA1c 12.9%と血糖コントロールの急激な増悪を認めた.急激な高血糖はミゾリビンによる可能性が考えられたため同薬を中止し,入院後インスリン療法を開始した.高血糖症状は速やかに消失し,血糖値も改善,17日後にはインスリンも中止できた.その後も血糖値の増悪は認めず,食事療法のみにてHbA1cも正常化し現在まで経過良好である.以上の臨床経過より,ミゾリビンによる薬剤性高血糖と推測された.ミゾリビンの副作用として0.1∼5%に高血糖を認めるとされているが,その発症機序は明らかではなく,市販後調査でも37例と少数であることから稀な症例と考えられた.
コメディカルコーナー・原著
  • 安藤 敏子, 東 真理子, 八馬 慶子, 小川 登, 荏原 茂, 渡邉 眞一郎, 木村 真理, 寺内 康夫
    2008 年 51 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    インスリンアナログ製剤と反応しない測定試薬,エクルーシス試薬インスリン(R)によるインスリン(IRI)測定値が,インスリンアナログ製剤投与患者では血清Cペプチド(CPR)の代わりに内因性インスリン分泌能評価に利用できるか検討した.インスリン製剤非投与群,インスリンアナログ製剤投与群では,IRI(R)とCPRの相関性が高かったが,ヒトインスリン製剤投与群では相関性が有意に低く,IRIからCPRの推定は困難であった.インスリンアナログ製剤投与群では,インスリンアナログ製剤を測りこまない試薬を用いたIRI値測定により,内因性インスリン分泌能の評価が可能であることが示唆された.
  • 鈴木 一永, 小西 すず, 増村 美佐子, 尾崎 悦子, 鈴木 秋子, 梅崎 絹恵, 島袋 陽
    2008 年 51 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    武庫川女子大学栄養クリニックいきいき栄養学講座では,バランス型紙を用いて,中高年肥満女性の食事指導に努めてきた.食事指導において,最も大切な要素の一つは,食事内容の適確なアセスメントであり,食事内容を評価する簡便かつ定量的評価の可能な方法である過不足チェック法を使用してきた.現在までに受講した745名の体重の変化を見ると,74.8%の受講者が5%以上の減量に成功しており,バランス型紙を用いた食事指導は,中高年肥満女性のダイエットに有効であったと考えられた.また,受講者の食事記録を過不足チェック法により評価して判明したことは,講座受講前には過剰に摂取している食品よりも不足している食品が多いことであった.このような状況を如何に速やかに是正するか,特に不足している食品を適量に摂取することの大切さを理解できるかが体重の改善に結びついていることが示唆された.糖尿病の食品交換表や食事バランスガイドに加え,食事療法の一つの方法として,バランス型紙を用いた食事指導が生活習慣病の予防・改善に貢献できるものと考えている.
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