糖尿病
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51 巻 , 11 号
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会長講演(第 51 回日本糖尿病学会年次学術集会)
特別講演
受賞講演
原著
  • 勝野 朋幸, 浜口 朋也, 永井 悦子, 小西 康輔, 中村 裕子, 美内 雅之, 片岡 政子, 紺屋 浩之, 宮川 潤一郎, 難波 光義
    2008 年 51 巻 11 号 p. 983-990
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    基礎インスリン補償における持効型インスリンアナログの有用性を明らかにするため,外来にてbasal-bolus療法施行中の1型糖尿病23例で,NPHインスリン(以下NPH)からインスリングラルギン(以下グラルギン)に変更した.インスリン量の基礎/総量比が小さかった群では,基礎量,基礎/総量比とも有意に増加し,HbA1cが有意に低下した.うち速効型インスリン使用例では,グラルギンにすることでさらに十分な基礎補償が可能となり,血糖コントロールが改善した.また,超速効型使用例では,変更前の基礎/総量比が比較的大きい例でも,グラルギンへの変更でさらに安定した基礎補償が行えた場合,追加インスリン量の増量が可能となりHbA1cも有意に低下した.一方,グラルギンの2回分割投与を必要とした例では,既に変更前の基礎/総量比が大きく,インスリン量を変化させずにHbA1cを有意に改善できた.以上から,1型糖尿病において,グラルギンはNPHに比してより良好な血糖コントロールをもたらしうることが明らかになった.
症例報告
  • 杉原 雅子, 若杉 隆伸
    2008 年 51 巻 11 号 p. 991-996
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.糖尿病悪化と体重減少を主訴に4月6日入院.腹部造影CTで膵に異常所見なし.グルカゴン負荷試験で血清CPR前値0.3→6分後0.5 (ng/ml)とインスリン分泌能は低下.一日38単位のインスリンで血糖値が改善し,4月30日退院.5月9日から右季肋部痛が出現し腹部造影CTで膵頭部腫瘤,膵体尾部の腫大と,閉塞性黄疸があり第2回目入院.IgG, 抗核抗体,リウマチ因子は正常範囲だったが,MRCPで膵管のびまん性の狭細像を認め自己免疫性膵炎(AIP)と診断しプレドニゾロンを使用した.2カ月後のグルカゴン負荷試験では血清CPR 1.4→1.8とインスリン分泌能は改善,腹部CTで膵頭部腫瘤は縮小し膵体尾部の萎縮が明らかとなった.このCTと比べると4月入院時の膵体尾部は腫大していたと判断でき,既にAIPが発病していたと考えられた.AIPの中には典型的な画像所見,血液所見を示さずに血糖コントロールが悪化する例が存在するため,糖尿病増悪時には鑑別診断として考慮すべきである.
  • 兵頭 智子, 中野 昌弘, 松尾 実奈, 岩瀬 正典, 飯田 三雄
    2008 年 51 巻 11 号 p. 997-1000
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,男性.発熱,全身倦怠感,頻尿のため入院した.35歳時糖尿病と診断.半年後に治療中断.入院前2週間より倦怠感,頻尿を自覚していた.入院時血糖437 mg/dl, HbA1c 14.1%. 弛張熱,頻脈あり.第3病日胸部X線にて,入院時には認められなかった敗血症性肺塞栓と考えられる所見を認めた.検尿異常の精査のため,腹部・骨盤CTを行い,前立腺膿瘍と診断.インスリン治療,経皮的経会陰排膿ドレナージ,抗生剤投与にて炎症反応は徐々に改善,肺塞栓の所見も消失した.糖尿病患者では尿路感染症を合併することが多いが,本症例のように前立腺膿瘍を発症する場合があり,日常診察上注意が必要である.
  • 葛籠 幸栄, 中山 修一, 山崎 正博, 浜重 直久, 公文 義雄
    2008 年 51 巻 11 号 p. 1001-1006
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は81歳の女性.2006年9月3日より突然右上下肢のくねるような動きが出現,症状は数日経過後も続くため当院受診入院した.初診時,右上下肢に特徴的な不随意運動を認め舞踏病と診断,随時血糖値は422 mg/dl, HbA1c 13.4%と糖尿病を認めた.インスリン治療を開始し,数日後には不随意運動は消失し糖尿病性舞踏病と診断した.以後,症状の再燃はない.頭部CT画像では左被殻にスリット状の高信号域を認めるも脳出血とは異なりMRI T1強調画像で同部位の高信号域とT2*強調画像では低信号域を認めた.MR Angiography (MRA)では同部位へ周辺血管からの染み出し様の辺縁不整な軽度の高信号域を認めた.この染み出し様の異常影は4カ月後には消失していた.糖尿病性舞踏病症例でのMRA所見の報告はなく,診断や病態の解明に有用と考え報告する.
  • 相良 陽子, 當時久保 正之, 林 秀樹, 赤澤 昭一
    2008 年 51 巻 11 号 p. 1007-1012
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の女性.上顎の腫脹を生じ,1980年に副鼻腔炎の手術を受けた.1992年9月頃(45歳)より両下肢のこわばりが出現.その後,全身にこわばりがひろがり,発熱,右下肢の痛み,脱力感が生じ,歩行困難となったため,某病院を受診.白血球増多,好酸球増多,血清IgEの増加等を示し,また多発性単神経炎を認め,Churg-Strauss症候群(CSS)の診断を受けた.predonisolone (PSL)の投与を受け,症状は改善した.2004年6月(57歳)に口渇,多飲,多尿,全身倦怠感,体重減少が出現し,糖尿病と診断され,インスリン強化療法による治療を受けた(HbA1c 12.8%, 抗GAD抗体497 U/ml, 食後血中CPR 0.92 ng/ml).また,同時に甲状腺機能低下症も指摘され,甲状腺剤の投与を受けた.2006年8月,血糖コントロール不良および右下肢の痺れ・痛みを訴え,当科入院.抗TPO抗体陽性(>50.0 U/ml)で自己免疫性甲状腺疾患(橋本病)を合併した1型糖尿病であり,糖尿病発症2年後には,膵β細胞機能の枯渇(食後血中CPR 0.92 ng/ml→<0.05 ng/ml)および抗GAD抗体の減衰を認めた(497 U/ml→10.1 U/ml). HLA遺伝子は日本人1型糖尿病感受性遺伝子ハプロタイプであるDRB1*0901-DQB1*0303を示した.われわれは,ANCA関連血管炎の一つであるCSSの発症12年後に臓器特異性自己免疫疾患である1型糖尿病と慢性甲状腺炎(橋本病)による甲状腺機能低下症を合併した極めて稀な1例を報告した.
  • 大西 正芳, 福井 道明, 吉岡 敬治, 横尾 定美, 長谷川 剛二, 中村 直登, 吉川 敏一
    2008 年 51 巻 11 号 p. 1013-1016
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.2007(平成19)年10月15日,口渇,消化器症状が出現.同18日,意識障害を伴う糖尿病ケトアシドーシス(DKA), 甲状腺機能亢進症,消化管出血と診断され緊急入院となった.糖尿病発症様式,HbA1c 6.8%, 膵酵素の軽度上昇,抗GAD抗体弱陽性などから劇症1型糖尿病が疑われたが,内因性インスリン分泌能が保たれていたことから自己免疫性1型糖尿病(1A型糖尿病)と診断した.
    本例は,極めて急激に発症した1A型糖尿病の1例で,DKA, 甲状腺機能亢進症,消化管出血を併発し重篤な病態を呈していた.1A型糖尿病においても劇症1型糖尿病と酷似した発症をすることがあり,甲状腺機能亢進症の合併や消化管出血等の合併により,発症時から重篤な病態を呈することがあるため注意が必要と考えられた.
コメディカルコーナー・原著
  • 西村 博之, 吉田 陽, 石塚 洋一, 江口 朝子, 魚住 多佳子, 入倉 充, 入江 徹美, 梶原 敬三, 陣内 冨男, 陣内 秀昭
    2008 年 51 巻 11 号 p. 1017-1023
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    使用中のインスリン製剤は,室温で保管することとなっており,日光や高温,結露などの条件を避けなければならない.しかし,実際には日中屋外での仕事に従事している患者はインスリン製剤を屋外や夏期の自動車内など高温条件下で保管せざるを得ないこともある.そのような患者のために,身近に手に入るものを用いた,高温条件下でのインスリン保管方法を評価した.タオルで保護した150 gから350 g程度の凍結保冷剤を用いて保冷バッグまたはクーラーボックスに入れて密閉し,自動車の後部座席下に保管することで150 g保冷剤では8時間,350 g保冷剤では9時間にわたり適切な温度で保管できることを見いだし,実際の患者にも日常的に利用できるとの評価を得た.本研究結果を元に患者啓発のためのポスターを作成した.
  • 赤尾 綾子, 郡山 暢之, 安楽 千鶴, 三反 陽子, 尾辻 真由美, 前田 円佳, 森 加弥, 渡辺 あつ子, 河本 美津紀, 深川 俊子
    2008 年 51 巻 11 号 p. 1025-1030
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    外来通院中の2型糖尿病患者257名に対し,睡眠障害(SD), 排尿障害(MD)および末梢神経障害(PN)を示唆する症状の有無についてのアンケート調査を実施した.SD, MDおよびPN症状を有する患者は,各々53%, 27%および44%であった.SDとMDは,年齢と正の関係を有し,特に高齢者において注意を要するものと考えられた.65歳以上のSD, MD, PN群と65歳未満のMD群でHbA1cが有意に高値を示し,65歳未満のSD, PN群でもHbA1cは高い傾向を示した.さらに,SD, MDおよびPNは,相互に関連することが推察された.SDでは中途覚醒の頻度が高く,65歳以上の女性では,SDのパターンがバリエーションに富んでいた.これらの障害を抽出するための問診やアンケートは,早期のアセスメントと対処を可能にし,患者QOLの改善,ひいては血糖コントロールの改善にも影響する可能性が示唆された.
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