糖尿病
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51 巻 , 12 号
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原著
  • 赤澤 昭一, 相良 陽子, 當時久保 正之, 戸渡 智子, 倉重 康彦, 川崎 友裕
    2008 年 51 巻 12 号 p. 1051-1057
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    心疾患や腎不全を除外した2型糖尿病患者(384名)において,心エコーにより心機能を評価し,brain natriuretic peptide (BNP)を測定し,BNP上昇に寄与する因子について検討した.BNPは,高血圧を有する群は有さない群に比べ,女性は男性に比べ,また網膜症,腎症,神経障害を有する群は有しない群に比し,有意に高値を示した.BNPを従属変数として重回帰分析を行った結果,年齢,収縮期および拡張期血圧,急速流入期波速度/心房収縮期波速度の比(E/A), 左室心筋重量係数,女性,網膜症の存在などの因子がその上昇に有意に寄与した(R=0.508, p<0.0001, R2=0.258). 高血圧を有する糖尿病患者(n=227)の左室肥大形態とBNPとの関連において求心性および遠心性の左室肥大を有する群は正常群に比し,BNPは有意に高値を示した.明らかな心疾患を有していない糖尿病患者においては加齢や高血圧,それによる(求心性および遠心性)左室肥大,拡張障害などの因子がBNPの上昇に寄与していた.
症例報告
  • 丸田 哲史, 井手 千晴, 渡邉 聴正, 坂井 義之, 平松 真祐, 吉住 秀之, 上杉 憲子, 小河 淳
    2008 年 51 巻 12 号 p. 1059-1064
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,男性.10年前に高血糖,脂質異常症を指摘されるも放置.健診にてTC 600 mg/dl, TG 7,761 mg/dl, HbA1c 10.3%, およびBMI 30.9 kg/m2を指摘され当科入院.リポ蛋白PAG電気泳動にてMIDBANDの存在,RLP-CとアポEの増加,LDL-Cの減少を認めたが,アポEフェノタイプはE3/2であった.眼底異常,総頸動脈内膜中膜複合体の肥厚,運動負荷心電図異常等の臨床検査では動脈硬化の進行所見は認められなかったが,腎組織において光顕上細動脈の硝子化,糸球体血管極の血管増生,電顕上基底膜の肥厚が認められ糖尿病性腎症および細動脈硬化性腎硬化症の所見であった.糖尿病,肥満や脂質異常症等の動脈硬化惹起性の高い症例においては,臨床検査では動脈硬化進行の所見がなくとも腎組織においては既に形態的な変化を来しており,早期からの生活習慣管理が重要である.
  • 吉田 和矢, 村尾 孝児, 石田 俊彦
    2008 年 51 巻 12 号 p. 1065-1070
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,女性.入院10日前より,口渇と嘔吐が出現し入院2日前には幻覚症状を来し飲水不可となる.入院当日救急外来に搬送された.血糖値955 mg/dl, HbA1c 5.9%, ケトーシス,膵外分泌酵素の上昇,尿中C-peptideの著明な低下,GAD抗体陰性であった.以上より,劇症1型糖尿病と診断.直ちにインスリン持続静脈内投与を行い意識は翌日には回復した.入院3日後には,高ナトリウム血症による意識レベルの低下あり.入院21日目には,腹部症状が出現し,超音波およびCTにて気腫性胆嚢炎と診断し緊急手術を施行した.病理組織では,胆嚢壁に梗塞性の壊死病変を認めた.気腫性胆嚢炎は胆嚢壁の虚血とガス産生菌の増殖により発症するまれな病態である.本例は劇症1型糖尿病に伴う脱水,食欲低下が気腫性胆嚢炎を誘発した可能性が考えられた.
  • 有村 愛子, 堀之内 秀治, 今元 那津美, 新名 清成, 出口 尚寿, 有村 公良
    2008 年 51 巻 12 号 p. 1071-1074
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性.31歳時アルコール性急性膵炎後に糖尿病を発症し,33歳からインスリン治療中であった.2007年9月20日から体動困難となり,24日当院へ救急搬送された.血糖値691 mg/dl, HbA1c 11.3%, 尿ケトン体陽性,代謝性アシドーシスから糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と診断した.背部膿瘍を認め,WBC 25,900/μl, CRP 46.9 mg/dlと著明高値であった.インスリン持続静注,輸液を開始し,背部膿瘍に対して切開排膿を行い,抗生剤投与を開始した.膿培養にてStaphylococcus aureus, Streptococcus agalactiaeを検出した.創洗浄を継続し,第48病日軽快退院した.膵性糖尿病は併存するグルカゴン分泌低下のためDKAを惹起しにくいと考えられているが,感染症併発時にはDKAを発症し得るため注意が必要である.
  • 浅野 貴子, 川村 光信, 陳 里菜, 阿部 麻希子, 宮崎 滋, 平田 結喜緒
    2008 年 51 巻 12 号 p. 1075-1079
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,男性.4年前に高血糖を指摘されていたが放置.2週間前より激しい腰痛を自覚し,次いで右肘関節の熱感・発赤・腫脹・疼痛も出現し,次第に増悪したため近医を受診,高血糖を指摘され当院へ紹介入院した.右肘関節炎と診断したが,これを一次感染巣と考えるのは不自然と判断し,その検索を行った.全身CT検査でL4/5の椎間板の狭小化,椎体の破壊・椎骨前面の腫瘤像,左腸腰筋の腫大と内部に濃度均一な腫瘤影,および左尿管結石・左水腎症・腎実質の造影効果の増強を認めた.化膿性椎間板炎,化膿性脊椎炎,左腸腰筋膿瘍,左尿管結石による慢性腎盂腎炎と診断.治療は抗菌薬投与および腸腰筋膿瘍穿刺により約2カ月間で完治に至った.血糖不良の糖尿病患者の日常診療において局所症状にとらわれず,常に全身的な観察が必要であることを改めて喚起した示唆に富む症例と考えられ,文献的考察を加え報告する.
  • 織田 展成
    2008 年 51 巻 12 号 p. 1081-1085
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.2007(平成19)年1月末頃より全身倦怠感,体重減少,歩行困難を認め,近医を受診.精査目的に当科を紹介受診.びまん性甲状腺腫とTSH 0.01 μIU/ml, F-T3 9.22 pg/ml, F-T4 3.58 ng/dlを認め,入院を勧められるも拒否.その後,全身浮腫,食欲低下を認め,4月28日当科再診.心房細動による頻脈性心不全を認め,精査加療目的に入院.甲状線エコー,甲状腺自己抗体,甲状腺シンチグラフィーにてバセドウ病と診断し,抗甲状腺薬,β遮断薬,利尿剤の投与を開始した.同日,深夜に昏睡状態となり,血糖値7 mg/dlであり低血糖昏睡と診断し,ブドウ糖投与にて意識は改善し,高カロリー輸液を行ったところ,以後,低血糖は認めなかった.また,75gブドウ糖負荷試験では糖尿病型を示し,各種ホルモン検査では副腎不全は否定的であり,甲状腺機能亢進症,心不全による食欲低下から,低栄養状態により低血糖昏睡を来したと考えられた.
  • 中野 智紀, 麻生 好正, 竹林 晃三, 高井 孝二, 犬飼 敏彦
    2008 年 51 巻 12 号 p. 1087-1092
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,女性.2006年12月29日より悪心,嘔吐,口渇感あり,症状が徐々に増悪し,2007年1月1日に当院救急外来を受診した.尿ケトン体3+, 血糖値793 mg/dl, pH 7.116を認め,糖尿病性ケトアシドーシスと診断し,入院となった.入院時のHbA1cは5.9%であり,膵島関連自己抗体は全て陰性,内因性インスリン分泌能も枯渇していたことから,劇症1型糖尿病と診断した.輸液およびインスリン療法により諸症状は軽快したが,頻脈が改善しないことから,甲状腺関連検査を施行した.甲状腺ホルモン濃度の上昇とTSHレセプター抗体の陽性を認め,バセドウ病と診断した.HLA genotype解析では,DRB1*0405-DQB1*0401, DRB1*1302-DQB1*0604を有していた.T-helper (Th) 1関連ケモカインである,interferon-inducible protein-10 (IP-10)の血漿濃度が,発症時と治療6カ月後において,それぞれ141 pg/ml, 143 pg/mlと上昇を認めていた.今回,われわれは劇症1型糖尿病の発症とバセドウ病の顕在化をほぼ同時期に認めた稀な症例を経験した.両疾患の発症に共通した要因が潜在している可能性など多くの可能性が考えられ,示唆に富んだ症例と考え報告する.
  • 桝澤 政広, 上地 英司, 松田 昌文, 本島 新司
    2008 年 51 巻 12 号 p. 1093-1098
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.高血糖,ケトーシスにて入院.抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体が55,400 U/mlと高値で,内因性インスリン分泌の低下を認め1型糖尿病と診断した.胸腺腫摘出術の既往があり,術後に口腔カンジダ症を繰り返していた.13歳時に肺結核にて治療の既往があるにも関わらず,ツベルクリン反応は弱陽性にとどまり細胞性免疫能の低下が示唆された.末梢血CD4+ T細胞の比率の低下があり,CD4+/CD8+の低下を認めた.CD4+ T細胞の低下を来す他の疾患を認めず,胸腺腫にともなったCD4+ T細胞の減少と考えられた.自己抗体は抗核抗体,抗アセチルコリン受容体(AChR)阻止型抗体,マイクロゾームテスト,サイロイドテストが陽性であったが,甲状腺機能を含め他の内分泌機能異常は認めなかった.末梢血CD4+CD25+ T細胞の減少を認め,レギュラトリーT細胞の数的減少が発症の誘引となっている可能性がある.
  • 飯野 研三, 岩瀬 正典, 奥 美和子, 野原 栄, 飯田 三雄
    2008 年 51 巻 12 号 p. 1099-1103
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    骨格筋の化膿性感染症である化膿性筋炎は熱帯地域でよく見られるが,近年,温帯地域で増加している.われわれは糖尿病に合併した腰痛を主訴とした傍脊柱筋の化膿性筋炎の3例を経験した.症例1は49歳の女性で糖尿病性ケトアシドーシスを合併,症例2は60歳男性で腰部の筋肉注射後に発症,症例3は68歳男性で椎弓切除術後に乳酸アシドーシス,横紋筋融解症に伴う急性腎不全を合併して発症した.全例に脊柱起立筋に病変を認め,症例1は腸腰筋へ,症例3は臀筋群と大腿四頭筋への病変の進展を認めたが,全例治癒した.まれではあるが,腰痛の鑑別診断として傍脊柱筋の化膿性筋炎を考える必要がある.また,糖尿病症例に筋肉注射や他の外科的処置を行うと化膿性筋炎の危険が高まる可能性があり注意が必要である.
  • 猪原 明子, 小林 達昌, 青木 洋敏, 半田 みち子
    2008 年 51 巻 12 号 p. 1105-1109
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    発症年齢が同じ28歳であった1型糖尿病の親子例を経験した.HLAの検索では,父はA11, A33, B62, B44, DRB1*0901-DQB1*0303, DRB1*1302-DQB1*0604であった.子はA24, A33, B60, B44, DRB1*0405-DQB1*0401, DRB1*1302-DQB1*0604であった.親子の発症年齢は共通しているが,疾患感受性HLAは異なり,父は比較的緩徐に進行,一方,子は急速に進行している.父は日本人において疾患感受性と報告があるDPB1*0201を有していた.DR13の疾患感受性に関してはこれまで中立とされているが,親子発症例ではその頻度が32%であり,日本人における一般的頻度5∼7%に比べ高頻度であった.検索し得た1型糖尿病の親子16家系のHLAについて文献的考察を行った.
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    2008 年 51 巻 12 号 p. 1111-1116
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    SMBG測定器10機種について,測定部位の違い(指先部と前腕部)および機種間によるモニター値の比較を行った.指先部モニター値と前腕部モニター値の差(%)[{(前腕部の平均値-指先部の平均値)/指先部の平均値}×100]を機種毎に比較したところ,最も大きい機種で8.6%であった.また,血糖変動時の指先部モニター値と前腕部モニター値の比較では,高値から低値への移行時において,前腕部の値が指先部より高値を示した.
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