糖尿病
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51 巻 , 2 号
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原著
  • 松尾 靖人, 下田 誠也, 西田 健朗, 西山 敏彦, 榊田 典治, 荒木 栄一
    2008 年 51 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    糖尿病教育入院クリティカルパスの入院期間を2週間(2W群)から1週間(1W群)に短縮し,血糖改善効果および合併症の状態に関して36カ月にわたり比較検討した.対象は2W群56名,1W群53名の2型糖尿病患者.まず,短期血糖改善効果を平均血糖値の推移で検討した結果,両群ともに入院時に比し退院時には有意に低下していたが,改善度は2W群において有意に大きかった.一方,長期血糖改善効果をHbA1c値の推移で検討した結果,2W群においては入院時8.9±2.4%から36カ月目7.4±1.5%へ,1W群においては10.2±2.3%から7.4±1.3%へと,いずれも有意に低下しており,退院後3カ月目以降は両群間に有意差を認めなかった.さらに,糖尿病網膜症,腎症の新規発症・病期増悪に関しても,両群間で有意差を認めなかった.以上,長期間の糖尿病コントロールに関しては,1週間入院パスは2週間パスと同等に有用であると考えられた.
  • 岸本 あかね, 佐々木 秀行, 井畑 淳子, 中野 好夫, 若崎 久生, 古田 浩人, 西 理宏, 南條 輝志男
    2008 年 51 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    糖尿病慢性合併症の危険因子を解明するために,20年以上経過観察し得た糖尿病患者166例を対象に後ろ向き研究を行った.細小血管症は網膜症・腎症を進行度により3群に分類,大血管症は脳梗塞・心筋梗塞の有無で評価した.合併症の発症・進展と種々の臨床指標(発症年齢,罹病期間,肥満度,血糖,脂質代謝,血圧)およびそれらの集積との関連性を分散分析,カイ二乗検定および多重口ジスティック回帰分析により検討した.網膜症では長期罹病期間,高血糖,高血圧が,腎症では若年発症,高血糖,脂質異常症,高血圧が,脳梗塞では高血圧が危険因子として抽出された.メタボリックシンドロームの構成要素である肥満,脂質異常症,高血圧の集積と平行して合併頻度が増加するのは腎症のみであった.糖尿病患者において高血圧の是正はすべての合併症防止に重要であること,肥満,脂質異常症,高血圧の集積は腎症の危険因子であることが示唆された.
症例報告
  • 菅野 宙子, 丸山 聡子, 柳沢 慶香, 尾形 真規子, 武田 将伸, 中神 朋子, 石井 晶子, 内潟 安子, 岩本 安彦
    2008 年 51 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    本症例は76歳の男性.39歳の時に肥満を有する2型糖尿病と診断され,長期間経口血糖降下薬で加療された.71歳で脳梗塞発症を機にインスリン治療を開始した.76歳までにケトーシス,糖尿病性ケトアシドーシス,重篤な感染症,膠原病,悪性腫瘍などの合併はなかった.しかしこの間に内因性インスリン分泌能が進行性に低下し,76歳で膵島関連自己抗体の陽転が判明した.1型糖尿病へ転じた,あるいは2型に1型糖尿病が加わったものと考えられる症例と診断した.
  • 伊藤 有史, 中島 千雄, 三宅 隆史
    2008 年 51 巻 2 号 p. 121-124
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.膵嚢胞性腫瘍の精査中に急変し緊急に膵全摘術が施行された.術後,就寝前に中間型インスリンを用いたインスリン頻回注射療法(multiple daily injection: MDI)を開始したが深夜に低血糖発作が頻発したため,インスリン持続皮下注入療法(continuous subcutaneous insulin infusion: CSII)を導入した.導入後,深夜の低血糖発作は消失したが,このときの基礎注入(Basal)は0時から7時まで0.1 U/hと極めて少量であった.また追加注入(Bolus)については,カーボカウンティングに基づくMeal Bolus, 随時の高血糖に対するCorrection Bolusを的確に行うことにより1日を通じて血糖値が安定した.CSII導入1年後においてもHbA1cは5.8%未満であり,血糖値の日内変動の指標であるM値も良好な値を維持している.CSIIは血糖変動の激しい膵性糖尿病にとって有用なツールになりうると考えた.
コメディカルコーナー・原著
  • 多留 ちえみ, 中渡瀬 友里, 傳 秋光, 田守 義和, 野口 哲也, 木戸 良明, 大原 毅, 小川 渉, 宮脇 郁子
    2008 年 51 巻 2 号 p. 125-138
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    【目的】2型糖尿病患者の臨床背景に応じた具体的な療養行動支援を行うために,男女別に臨床背景(年齢,HbA1c, BMI, 腹囲)の違いによる,食事自己管理行動の実施状況と食事摂取量,およびその関連を明らかにすることを目的とした.【方法】男性99名,女性77名を対象に,食事自己管理行動(著者らの開発した調査票)と,食事摂取量(半定量食物頻度調査)を調査した.対象者は年齢60歳,HbA1c 7.0%, BMI 25, 腹囲(男性85 cm, 女性90 cm)を境界値として2群に分けた.解析にはt検定およびピアソンの相関係数を用いた.【結果】男性では,60歳未満群が,「食の満足感を高める」,「調味量のカロリーを減らす」工夫の実施率が低く,またBMI 25以上群と腹囲85 cm以上群が,「摂取量を決めて食べる」「食の満足感を高める」「バランスよく美味しく食べる」工夫の実施率が低く,摂取量の増加に関連していた.女性ではHbA1c 7.0%未満群が,「塩分制限の工夫」の実施率が高く,食事摂取量の減少に強い相関が見られた.また,60歳未満群,BMI 25以上群,腹囲90 cm以上群が,「他の価値観を優先して食べる」という一時的逸脱行動の実施率が高く,摂取量の増加に関連していた.【考察】今回明らかになった臨床背景別の特徴は,2型糖尿病患者への自己管理行動支援に活用できる.
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