糖尿病
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51 巻 , 3 号
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特集 特殊な病態を背景にもつ糖尿病の診断と治療
原著
  • 阿部 崇, 太田 茂, 内田 健三
    2008 年 51 巻 3 号 p. 213-218
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    われわれは糖尿病が左室拡張機能に与える影響を正常血圧,高血圧患者で検討し,心尖部4腔断面の僧房弁弁尖部にてドップラー法によりE/A (ratio of early to late peak flow velocity), DcT (deceleration time)を測定した.同様にして偽正常化を検出するため,Valsalva負荷中も測定しE/Aの変化率を計測した.心室中隔壁肥厚とLV mass indexは疾患3群間いずれにも有意差なく同頻度に認められた.拡張機能障害は高血圧,糖尿病,高血圧合併糖尿病の順に悪化を示し,Valsalva負荷を施行し偽正常化を検出することにより悪化の傾向はさらに顕著になり,疾患3群間に有意差を認めた.このように糖尿病でValsalva負荷を用いた左室拡張機能障害を測定することは,心筋硬度の評価に有用である.
  • 下田 将司, 早川 尚雅, 辰巳 文則, 俵本 和仁, 重藤 誠, 菅田 有紀子, 川崎 史子, 柱本 満, 松木 道裕, 加来 浩平
    2008 年 51 巻 3 号 p. 221-225
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬群)またはグリクラジド以外のSU薬(SU薬群)で治療中の2型糖尿病患者で,血糖コントロール不良もしくは低血糖症状発現を理由に,低用量グリクラジド(一日用量40 mg以下)に切り替えられ,12カ月経過を追えた症例について検討した.グリニド薬群13例とSU薬群14例の各々の平均年齢は65.6, 67.1歳,平均BMIは24.3, 23.4 kg/m2, 平均糖尿病罹病期間は11.0, 18.1年であった.グリニド薬群におけるHbA1c値の変化は,切り替え時8.5±0.5%から6カ月後6.9±0.5%, 12カ月後7.0±0.4%と有意に低下した(p<0.005)が,体重に有意な変化はなかった.SU薬群におけるHbA1c値は,切り替え時7.6±0.5%から6カ月後6.9±0.4% (p<0.05), 12カ月後7.1±0.4% (p=0.141)と切り替え時に比し低下傾向を認め,体重は59.6±5.8 kgから6カ月後は58.5±5.3 kg, 12カ月後58.5±5.5 kgと有意な低下(p<0.05)を示した.両群ともに観察期間中に低血糖を認めなかった.低用量グリクラジドに変更することにより,体重の増加を認めず,血糖コントロールの有意な改善を認めた.以上,低用量グリクラジドの有用性が示唆された.
  • 小川 浩平, 赤尾 雅也, 清水 学, 林 良成, 岡山 直司, 神谷 吉宣
    2008 年 51 巻 3 号 p. 227-232
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    インスリンリスプロ混合製剤-50注(以下リスプロ混合製剤-50注)の1日3回投与法は追加分泌と基礎分泌の補充を同時に行うことができ,より血糖コントロールを改善させる可能性が海外で報告されている.そこで,既にインスリン治療を受けているが血糖コントロールが不十分な(HbA1c 6.5%以上)2型糖尿病患者28名をリスプロ混合製剤-50注1日3回投与に変更し3カ月間経過を観察した.HbA1c値は全例で8.01%から7.49%に有意に改善した.変更前のインスリン治療群ごとに検討した結果,1日2回投与からの変更群,二相性インスリンアスパルト-30の1日3回投与からの変更群において有意に改善した.また,注入器,インスリン注射の変更について患者アンケートを行ったがともに良好な回答を得た.リスプロ混合製剤-50注の1日3回投与法は良好な血糖コントロールを得るうえで,有力な選択肢となる可能性が示唆された.
症例報告
  • 桑原(矢野) 絵里加, 蘆立 恵子, 川村 光信, 宮崎 滋, 平田 結喜緒
    2008 年 51 巻 3 号 p. 233-237
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は40歳の男性.32歳時,健診で糖尿病,高血圧,高脂血症を指摘され,経口血糖降下薬を開始されたが自己中断.37歳時より治療再開したが,いずれもコントロール不良で40歳時,当科受診.随時血糖(272 mg/dl), HbA1c (11.2%), TC (843 mg/dl), TG (6,039 mg/dl)と著明な高値で入院を勧められるも拒否し,内服薬を追加変更され帰宅した.9日後,意識消失と左第2指のしびれ感が出現し入院.頭部MRI, 頸動脈エコーでは異常がなかった.血清脂質のアガロース電気泳動でpreβの著増とテーリングを認めV型高脂血症と判定した.家系内にIIb型高脂血症と心筋梗塞の多発がみられることより家族性複合型高脂血症(FCHL)と診断した.強化インスリン療法,スタチン,EPA, ニコチン酸を併用し,TC (191 mg/dl), TG (201 mg/dl)は改善した.本症例は内臓肥満を伴う2型糖尿病とFCHLの合併例であるが,このように著明な高TG血症を呈するのは比較的稀であり,文献的考察を加えて報告する.
  • 當時久保 正之, 相良 陽子, 赤澤 昭一
    2008 年 51 巻 3 号 p. 239-243
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は59歳女性,統合失調症加療中.発熱および両下肢の発赤,腫脹を生じ,当初深部静脈血栓症にて治療されたが,ショック状態となり救急搬送された.下肢静脈エコー検査において深部静脈血栓症は否定された.入院時,未治療糖尿病(血糖値478 mg/dl, HbA1c 12.9%)があり,重症敗血症として治療開始し,抗生剤投与によって一度は解熱し,下肢腫脹も改善した.しかし間欠熱および左下肢の腫脹が再度出現した.MRI施行したところ,左腓腹筋内に腫瘤影を認め,穿刺にてStaphylococcus aureus(以下S. aureus)が検出.腓腹筋膿瘍の診断を得たため,切開排膿行い治癒した.化膿性筋炎は診断が遅れると重症敗血症にまで進展し,死に至る場合もあり,注意を要する症例と考え,報告した.
  • 富田 益臣, 壁谷 悠介, 矢代 泰章, 鴫原 寿一, 目黒 周, 渥美 義仁
    2008 年 51 巻 3 号 p. 245-249
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    79歳女性.平成17年12月21日視力低下を主訴に近医受診し,採血にて随時血糖値499 mg/dl, HbA1c 6.0%, 尿中ケトン体陽性であり,近医緊急入院し,平成18年1月13日血糖コントロール目的のため当院に転院となった.当初,劇症型1型糖尿病が疑われたが,前医で測定した血中Cペプチドは1.2 ng/mlとインスリン分泌が保たれており,また膵ラ氏島抗体として,抗GAD抗体は0.3 U/mlであったが,抗IA-2抗体は27 U/mlと高値であり,自己免疫による1A型糖尿病と診断した.HLAclass II抗原では日本人1型糖尿病に頻度が高いとされるDR9が陽性であった.高齢者による抗IA-2抗体単独陽性の1型糖尿病は稀有であり,今回報告した.
報告
  • 金子 至寿佳, 桑原 佳宏, 佐藤 雄一, 竹広 美方子
    2008 年 51 巻 3 号 p. 251-256
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    わが国では2型糖尿病が急速に増加しているが,がん患者もまた増加している.本研究の目的は当院受診の初診および再診糖尿病患者におけるがん発症の状況を検討することである.
    当院糖尿病専門外来を一年間に受診した2型糖尿病患者639名のうち,担がん患者は24名(3.8%)で,初診患者の5.4%, 再診患者の2.8%を占めた.がん発見のきっかけはスクリーニング検査や直近の血糖コントロール悪化であった.症状が出にくい臓器のがんでは高血糖のみを主訴に糖尿病専門外来を初診する場合が少なくないと考えられ,糖尿病合併症だけでなく潜在するがんの存在の可能性も考慮して診療する必要がある.
コメディカルコーナー・原著
  • 岩崎 祐子, 梅川 常和, 原山 拓也, 楠 知里, 佐藤 幸枝, 前田 あゆみ, 元木 祥子, 今川 文典, 小野 勝, 平田 敦, 井尻 ...
    2008 年 51 巻 3 号 p. 257-260
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    糖尿病医療スタッフへのインスリン教育を行うと同時に,インスリン施用票(以下施用票と略す)を作成し,インスリン事故防止に取り組んだ.対象はインスリン注射を行う本院入院患者.方法は,糖尿病専門医が看護師へ2コマ(90分2回),研修医へ2コマ(90分2回)インスリン教育を行った.施用票(患者用,医療者用)に医師が直接患者の名前,インスリン量,インスリンの種類,注射時間を書き込み,患者用の施用票は医師が患者に説明し変更のたびに書き換えてベッドサイドに置く.医療者用の施用票は看護師がインスリン施行時に患者用の施用票と照らし合わせて注射を行った.その結果,年間約40件のインスリン事故が認められたが,1年かけて徐々に減少した.施用票の使用を糖尿病病棟で開始してから1年7カ月後以降は全病棟にて施用票を使用.それ以後,インスリン事故はなくなった.また,患者がインスリンの名前と量を覚えるようになった.インスリン教育に加えた施用票の使用はインスリン事故防止に有効であったばかりでなく,患者教育にも役立った.
委員会報告
  • 門脇 孝, 羽田 勝計, 富永 真琴, 山田 信博, 岩本 安彦, 田嶼 尚子, 野田 光彦, 清野 裕, 柏木 厚典, 葛谷 英嗣, 伊藤 ...
    2008 年 51 巻 3 号 p. 281-283
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    The Japan Diabetes Society established fasting plasma glucose (FPG) values<110 mg/dl as the normal range (Diabetes Research and Clinical Practice 55: 73, 2002). Recent epidemiological data in Japan show that subjects with FPG values of 100 to 109 mg/dl, which are in the normal range, develop diabetes at a higher rate than subjects with FPG values<100 mg/dl. Moreover, 25-40% of the subjects with FPG 100 to 109 mg/dl would be diagnosed as the borderline type or diabetic type on a 75 g oral glucose tolerance test (OGTT). In order not to overlook the risk that subjects in this group will develop diabetes and at the same time not to mislabel the 60-75% of them as having the borderline type, who would be found to have the normal type on an OGTT, the committee recommends that subjects with a FPG value of 100 to 109 mg/dl be classified as “high-normal” in the normal range in the definition of glucose metabolism disorder. It is recommended that subjects with a “high-normal” FPG value undergo a 75 g OGTT for diagnosis as normal-, borderline-, or diabetic-type. Until the 75 g OGTT is performed, such subjects should be followed up as having a “high-normal” FPG value and appropriate lifestyle modifications, including improvement of obesity should be implemented according to the condition of the individual subject.
  • 岩本 安彦, 田嶼 尚子, 西村 理明, 吉岡 成人, 佐々木 望, 浦上 達彦, 菊池 信行, 武田 倬, 岡田 泰助, 荒木 栄一, 内 ...
    2008 年 51 巻 3 号 p. 285-287
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    わが国の20歳未満で発症し,現在30歳未満の2型糖尿病患者を対象としたコホートを作成し,最終的に現在の学校検尿システムに今後どのような支援体制を加えていったらよいかを提案するために,糖尿病性合併症の発症率の経年的全国調査を開始した.そのためにまず学会の調査研究事業として予備的調査を行い,その後は厚生労働省の厚生科学研究費による調査研究として移行することとなった.予備的調査としてこの間に行ったのは,調査のプロトコールの概要を検討し,学会倫理委員会の承認を得たのち,医師である日本糖尿病学会員13,333名に協力を求めた.
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