糖尿病
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51 巻 , 6 号
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ミニレビュー
特集 糖尿病発症要因としての生活習慣—わが国における前向きコホート研究の結果を中心に
原著
  • 石丸 安明, 今井 富彦, 後藤 明子, 内田 壱夫, 中村 尚弘, 斉藤 隆恵, 佐藤 富美子, 大嶋 由加里, 磯山 藍, 片山 茂裕, ...
    2008 年 51 巻 6 号 p. 489-495
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    近年,血清Cystatin-C(以下SCys-C)は血清Creatinine(以下SCre)よりも糸球体濾過率(以下GFR)をより良く反映し,尿中Cys-C(以下UCys-C)は尿細管障害を反映すると報告されている.これらの観点より,当院通院中の2型糖尿病患者640名を対象にSCys-CおよびUCys-Cを測定し,糖尿病腎症の早期診断における臨床的検討を行った.SCreはGFRが著明に低下する腎症3期以降において有意な上昇を認めたのに対し,SCys-Cはより早期の2期で有意な上昇を示した.またUCys-Cと尿中Creatinine(以下UCre)の比(UCys-C/UCre ratio: 以下UCCR)での検討では,2期で高値傾向を示し,3期以降において有意な上昇を認めた.
    これらの結果よりCys-Cは糖尿病腎症の早期診断,さらに尿細管障害を把握するためにも,非常に有用な検査法であると考えられた.
  • 藤井 仁美, 渡邊 裕子, 軽部 憲彦, 徳永 礼子, 箱木 まゆみ, 名嘉真 香小里, 林 満美子, Barry T. Smith, 田村 ...
    2008 年 51 巻 6 号 p. 497-505
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    Problem Areas In Diabetes Survey(以下PAID)を用い,東京の3施設に外来通院中の653名の糖尿病患者を調査した.若年,女性,薬物療法(特にインスリン療法),合併症,入院,低血糖経験症例,HbA1c高値であるほど患者の心理的負担度が高く,糖尿病患者の感情的負担度を評価するのに有用と考えられた.職業ストレス指標(JCQ)との相関は弱かった.医療者によるPAIDスコアの予測では,「床効果」によると思われる過大評価が多かったが,一方で15%の過小評価を認め,感情負担のスクリーニングとして用いる価値があると思われた.Self-Rating Questionnaire for Depression(東邦大)にて検出される「軽症うつ」はPAID高得点(50点以上)者においてその13%程度であり,特に70点以上では50%を占めた.うつのスクリーニング・治療の併用も糖尿病治療上有用であると考えられた.
症例報告
  • 三浦 順之助, 鄭 怜奈, 反町 衣里紗, 藤川 径子, 永尾 麻紀, 長谷 美智代, 治部袋 佐知代, 佐倉 宏, 内潟 安子, 岩本 安 ...
    2008 年 51 巻 6 号 p. 507-511
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は38歳男性.著明な肥満歴を有し,2型糖尿病として経口血糖降下薬で加療されていたが,HbA1c 8.3%と血糖コントロール不良のため入院.Glucagon負荷試験でCPR前値0.8-(6分値)1.1 ng/mlと低下を認めた.ICAおよびGAD抗体陰性,IA-2抗体3.6 U/mlと陽性であり,緩徐進行1型糖尿病(SPT1DM)が疑われた.HLAはDR4, DR13を有していた.インスリン3回法を開始し,血糖コントロールは改善した.正常血糖高インスリンクランプでは,GIR 4.67 mg/kg/minと中等度インスリン感受性低下を認めた.退院後は0.3 U/kg/日程度のインスリン量でHbA1c 6%前後と良好であるが,1年後の血清CPR<0.2 ng/mlと著明に低下していた.肥満歴があり,GAD抗体陰性かつIA-2抗体陽性のSPT1DMは比較的稀であり,臨床的に示唆に富むと考えられたため報告する.
  • 陳 里菜, 川村 光信, 山崎 芳浩, 阿部 麻希子, 浅野 貴子, 宮崎 滋, 平田 結喜緒
    2008 年 51 巻 6 号 p. 513-517
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性.20年前より糖尿病を指摘されていたが放置していた.2005年11月末より歩行困難,食欲不振,口渇著明となり,さらに呼吸困難を訴え当院へ搬送された.ケトアシドーシスは認めず,随時血糖806 mg/dl, 著明な脱水,血漿浸透圧の上昇から非ケトン性高浸透圧性昏睡と診断した.著明な炎症反応と低酸素血症を認め,胸部CTで肺野辺縁に空洞形成を伴う多発結節影がみられ,尿,血液および右大腿皮下膿瘍穿刺培養でStaphylococcus aureusが検出されたことから敗血症性塞栓症と診断,尿路感染により形成された皮下膿瘍が塞栓源と考えられた.全身検索により,右指潰瘍,大脳皮質下梗塞,真菌性眼内炎も認めた.大量輸液,インスリン持続注入,抗菌薬投与と大腿膿瘍ドレナージにより全身状態は改善した.本症例は血糖コントロール不良の2型糖尿病患者で尿路感染から皮下膿瘍が形成され,肺を中心病変とする全身の敗血症性塞栓症を来した稀な症例と考えられた.
  • 高野 真理子, 小川 大輔, 重松 照伸, 藤井 総一郎, 早川 信彦, 岡崎 守宏
    2008 年 51 巻 6 号 p. 519-522
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性.アルコール性肝硬変と糖尿病の既往があり,認知症のため近医に入院し,クエチアピン100 mg/日の投与が開始された.投与開始約5カ月後に発熱が出現し,血糖666 mg/dl, HbA1c 14.0%, CRP 37.0 mg/dlと高値の上,尿中ケトン体が陽性のため,当院へ搬送された.受診時動脈血ガスでpH 7.12と低下しており,また,胸部X線写真にて肺炎像を認め,糖尿病性ケトアシドーシスおよび肺炎と診断され,入院となった.入院後はクエチアピン内服を中止とし,輸液とインスリン,抗生剤投与にて加療した.徐々に状態は改善し,血糖に関してはコントロール良好となり,最終的にインスリンを離脱することができた.クエチアピンは血糖値を上昇させる副作用があり,まれに糖尿病性昏睡や糖尿病性ケトアシドーシスを来たすことが報告されている.クエチアピンを投与する際は,定期的に血糖を測定し,これらの重篤な副作用を未然に防止することが重要である.
  • 関澤 直子, 中野 妙, 泉山 肇, 土井 賢, 平田 結喜緒
    2008 年 51 巻 6 号 p. 523-529
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    前立腺癌に対するアンドロゲン抑制療法(androgen-deprivation therapy: ADT)治療中に血糖の増悪を来した3症例を経験した.3症例はいずれも,2型糖尿病を基礎疾患にもつ男性で,前立腺癌に対して2剤以上のADTを行った数カ月後に著明な高血糖を生じた.3例中2例は,高血糖に対してインスリン療法を行った.3症例ともホルモン製剤を中止後,糖尿病の改善を認めた.したがって,糖尿病患者において前立腺癌に対するADTを行う際には,糖尿病の増悪に十分な注意を払うことが必要と考えられる.ADTによる高血糖誘発のメカニズムを考察する.
委員会報告
  • 花房 俊昭, 今川 彰久, 岩橋 博見, 内潟 安子, 金塚 東, 川崎 英二, 小林 哲郎, 島田 朗, 清水 一紀, 丸山 太郎, 牧野 ...
    2008 年 51 巻 6 号 p. 531-536
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】劇症1型糖尿病発症にはウイルス感染の関与が示唆される.そこで,発症時のウイルス抗体価について明らかにする目的で以下の研究を行った.
    【方法】日本全国の施設から委員会に登録された,劇症1型糖尿病診断基準を満たす患者55名を対象とし,パラインフルエンザウイルス1-3型,ロタウイルス,コクサッキーウイルスA2-A7, A9-10, A16, B1-B6型,サイトメガロウイルス,EBウイルス,ヒトヘルペスウイルス6型,同7型のウイルス抗体価を測定した.
    【結果】ペア血清が得られた38名中7名(11項目)で有意な抗体価の上昇を認めた.すなわち,コクサッキーウイルスA4と同A5, 同A6, 同B1の抗体価上昇を各々1名,ロタウイルスの抗体価上昇を2名で認めた.また,サイトメガロウイルスIg-M, EBウイルスIg-Mとヒトヘルペスウイルス6型Ig-Mはそれぞれ1名で陽性であった.さらに,ヒトヘルペスウイルス6型Ig-Gと同7型Ig-Gの有意な抗体価の上昇を各1名で認めた.このうち3名においては複数のウイルス抗体価の上昇を認めた.また,ペア血清が得られなかった17名中2名でサイトメガロウイルスIg-Mが陽性であった.
    【結論】劇症1型糖尿病発症時に,一部の患者において複数のウイルス抗体価の上昇が認められた.
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