糖尿病
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51 巻, 9 号
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特集 メタボリックモジュレーターと2型糖尿病発症予防—基礎的,臨床的研究の結果を踏まえて—
原著
  • 薬師寺 史厚, 藤田 浩, 安田 睦子, 谷口 顕, 藤木 和彦, 大和田 啓, 秋山 暢, 鈴木 浩, 上久 律子, 寺山 義泰, 下条 ...
    2008 年51 巻9 号 p. 837-843
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    【緒言】簡易血糖測定器(以下BS機器)の多くで,ヘマトクリット(以下Ht)の影響を受けることは既知だが,貧血患者のすべてでBS機器測定を適応外とするのは困難である.【方法】(1) Ht調整静脈血(基礎),(2)貧血19人随時静脈血(臨床),(3)患者時系列(臨床)の3種検体で,BS機器全血血糖(以下WBS)とGOD固定電極法血漿血糖(以下PS)より算出した乖離(Bias (%)=(WBS-PS)/PS×100%)とHtで回帰分析を行った.【結果】GDH-FAD電極法,GOD電極法,GDH-NAD電極法で線形逆相関し,基礎実験よりも臨床実験で傾きが大きい.【考察】基礎実験のみでBS機器の至適Ht範囲を決める危険性,貧血患者では乖離を拡大する他要因の存在の示唆,厳格な血糖コントロールでの低血糖防止のためには,Ht値の影響の程度を取扱説明書に明確に記載すべきであると思われた.
症例報告
  • 村田 敬, 伊藤 佳代子, 高木 洋子, 森 栄作, 安藤 理子, 中川内 玲子, 阿部 恵, 河野 茂夫, 山田 和範, 葛谷 英嗣
    2008 年51 巻9 号 p. 845-848
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は2型糖尿病の男性(49歳),前医にてインスリンおよびエパルレスタットの処方を受けていたが,歩行障害悪化を主訴に来院.BMI 14.9 kg/m2, 下肢優位で左右対称な軽度筋力低下,下肢優位の小脳失調症状を認めた.HbA1c 15.6%, 糖尿病網膜症なし,神経伝導速度は運動・感覚ともに低下.入院後,次第に筋力低下と歩行機能が改善.入院時の残血清中ビタミンB1濃度は0.6 μg/dlと低値.フルスルチアミン100 mg/日の点滴を行ったところ,筋力回復し,軽快退院した.管理栄養士による聞き取り調査では白米中心の偏食傾向があり,ビタミンB1の推定摂取量は0.5 mg/日と所要量(1.2 mg/日)の半分程度であった.以上のような検査結果・臨床経過から総合的に判断して,本症例の歩行障害の主因はビタミンB1欠乏症による脚気神経炎であった可能性が高いと診断した.脚気神経炎は糖尿病性多発神経障害と症状が似ており,つねに鑑別診断として念頭におく必要がある.
  • —チアゾリジン誘導体の効果を中心として—
    佐々木 悠, 大久保 久美子, 冨永 博之, 富田 健一, 飯野 研三, 田尻 祐司, 前川 聡, 柏木 厚典, 小野 順子, 熊谷 秋三, ...
    2008 年51 巻9 号 p. 849-860
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    長期に観察し得た既存のLamin A/C, PPARγ遺伝子に変異を認めない,現時点では先天性の部分型リポジストロフィー(Congenital [familial] partial lipodystrophy)のKöbberling Type or variety: FPLD1)と考えられる現在36歳女性例を報告した.従来の臨床的表現型(phenotype)に加え,GH系に異常のない成長障害,感音性難聴,特異な脂肪分布(腹腔内脂肪のみ蓄積),脂肪肝を認めた.長期間の観察にてチアゾリジン誘導体(TZDs: ピオグリタゾン)はFPLDのインスリン抵抗性を基盤とする糖・脂質代謝異常,脂肪肝の改善に有効と考えられた.また血中レプチン,アディポネクチン低値はFPLDの病態成立に重要な役割を果たし,ピオグリタゾン投与によって増加,体脂肪分布にも変化を来す可能性が示唆された.
  • 香月 健志, 及川 洋一, 島田 朗, 伊藤 裕
    2008 年51 巻9 号 p. 861-865
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は35歳の肥満男性.32歳時に口渇・多飲・多尿が出現し当院を受診,糖尿病性ケトアシドーシスの診断で入院となった.清涼飲料水の多飲歴はなく,膵島関連自己抗体も陰性であった.インスリン加療にて完全ではないものの内因性インスリン分泌能の改善を認め,退院後33歳時からインスリン加療は中止となり,食事療法のみにてHbA1c 6.0%前後で推移した.その後体重は88 kgから105 kgまで徐々に増加し,34歳時に再び口渇・多飲・多尿が出現し当院を受診,糖尿病性ケトーシスの診断にて再入院となった.インスリン加療を再開し,内因性インスリン分泌能は不十分ながら回復傾向となった.退院後現在まで血糖コントロールは安定している.本症例は経過からketosis-prone type 2 diabetesが疑われた.日本人での報告はほとんど認められず,若干の考察を含め報告する.
  • 紅粉 睦男, 工藤 ひとみ, 豊島 哲子, 松本 啓, 関口 雅友, 真尾 泰生
    2008 年51 巻9 号 p. 867-871
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    インスリン自己免疫症候群(IAS)は,インスリン自己抗体に関連した自発性低血糖を来す疾患である.今回,糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)にて発症した特異なIASの1例を経験した.症例は44歳,女性.減量目的でαリポ酸摂取を2006年6月より開始.同年7月下旬,感冒様症状に引き続きDKAを発症.入院時血糖431 mg/dl, 尿ケトン(4+)で膵酵素の上昇も認めた.インスリン治療開始前の血中IRI: 5,644 μU/ml, インスリン抗体結合率:99%と著明高値を示した.HLAはDRB 1*0406を有しており,αリポ酸が誘因のIASと診断した.DKA治癒後早期にインスリン注射は中止でき,αリポ酸中止によりインスリン抗体結合率も低下した.本例では抗体のインスリン結合能が高度で,血中遊離インスリンが枯渇した状態に,ウイルス感染・膵炎を併発したためにDKAを発症したと推察された.健康食品ブームの中,安易なサプリメント摂取への注意喚起が必要である.
コメディカルコーナー・原著
  • 栗原 明美, 柳 久子, 戸村 成男
    2008 年51 巻9 号 p. 873-877
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    糖尿病合併症として腎症の進行に焦点を当て,腎症なし群,腎症あり群,血液透析群の3群について,精神健康度と健康増進行動の関連を明らかにすることを目的とした.対象は,医療機関に通院中の糖尿病患者82名.腎症の有無および血液透析治療をうける原因疾患については,自己申告により回答を求めた.評価尺度は,食事療法負担感尺度,Hospital Anxiety and Depression Scale, Health-Promoting Lifestyle Profile IIを用いた.結果,不安得点と食事療法負担感が腎症あり群で最も得点が高く,主観的健康度については,腎症あり群に比べ血液透析群で有意に得点が高かった.また,健康増進行動の下位尺度である「身体運動」と「人間関係」得点は,血液透析群で得点が低かった.これらの身体精神健康上の問題は,血糖コントロール不良を介して合併症の進行に関与している可能性があると考える.
  • —糖尿病足病変の危険因子に関する検討—
    河辺 信秀, 廣瀬 典子
    2008 年51 巻9 号 p. 879-886
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    糖尿病足病変の危険因子の1つに足底圧異常がある.糖尿病神経障害患者の足底圧異常は特徴的であり,前足部圧上昇,前足部に対する足趾部の圧荷重比減少が知られている.これらの足底圧異常には関節可動域制限が関与する.しかし,糖尿病患者における検討では,他の因子により歩行時足底圧は影響を受けてしまう.今回われわれは,健常者において裸足時,足関節背屈制限時(10°, 0°)の歩行時足底圧を計測し比較した.片側制限例(右足部)において,足関節背屈制限によって,足趾部最大圧で有意な減少が認められた.前足部最大圧では有意な上昇がみられた.最大足底圧部位も,足趾部から前足部へ移行する結果であった.これらの圧分布の変化は,糖尿病患者における足底圧異常と酷似していた.また,片側制限例では最大足底圧の変化がなかったが,両側制限例では圧上昇がみられた.したがって,足関節背屈制限は単独で圧分布異常を引き起こし,かつ,圧上昇にも関与する可能性が示唆された.
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