糖尿病
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52 巻 , 1 号
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原著
  • 細川 和広, 目黒 周, 船江 修, 村田 千里, 加藤 清恵, 杢保 敦子, 鈴木 吉彦, 穴澤 園子, 渥美 義仁, 松岡 健平
    2009 年 52 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2009/01/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    メトホルミンは,一般的にはインスリン抵抗性のある肥満症例に適応があるとされている.今回,われわれは非肥満症例における血糖降下作用を肥満例と比較検討した.当院通院中でメトホルミンを単独投与した275例(男172例,女103例)を投与開始後1年間調査し,その血糖降下作用を肥満度別にレトロスペクティブに検討した.正常体重以下群(BMI≤22,n=58), 軽度肥満群(BMI 22.1∼24.9, n=81), 肥満群(BMI≥25, n=136)の3群に分けて検討した.各群の開始時HbA1c(%)は8.07±0.71, 8.15±0.96, 8.16±1.28, 年齢(歳)は60.1±9.8, 59.8±8.6, 55.8±11.9, 罹病年数(年)は13.0±7.2, 11.1±7.3, 8.7±6.3で,肥満群で年齢が他群より若く罹病年数が短かったが, 開始時HbA1cは各群で有意差がなかった.メトホルミン投与開始後6カ月後,HbA1cの低下(%)は各群で-0.79±0.88, -0.81±1.00, -0.73±1.06で有意差がなかった.今回,検討した症例において,メトホルミンは非肥満例でも肥満例と同等の効果があることが示唆された.
  • 中山 ひとみ, 加藤 智子, 賀来 寛雄, 新関 史, 迎 徳範, 江口 洋幸, 田中 佳世, 原 健人, 満崎 健志, 中山 聡, 広田 ...
    2009 年 52 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2009/01/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    当科に入院した1型糖尿病61例,2型糖尿病116例を対象とし,超速効型インスリンを用いた強化療法におけるNPHインスリン就寝前注射とグラルギン夕食前注射の血糖安定化作用を,夜間血糖を含めて比較検討した.グラルギンとNPHの使用量には有意差がなく,超速効型インスリンの使用量にも両群で差がなかったが,2型糖尿病においてグラルギン群はNPH群より朝食後および夕食後血糖が有意に低値であった.1型糖尿病のNPH群は午前3時に高い低血糖リスクを示したがグラルギン群では低血糖リスクが顕著に抑制されていた.グラルギン夕食前注射は,NPH就寝前注射と同等のインスリン量で,より安全で安定した血糖コントロールを達成しうることが示された.
  • 塚原 佐知栄, 内潟 安子, 石堂 考一, 瀧井 正人, 岩本 安彦
    2009 年 52 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2009/01/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    一定期間に受診した20∼40歳の罹病平均15.3年の1型糖尿病患者96名に心理テスト(EDI, SDS, STAI, PAID, MPS)と構造化面接を施行し,摂食障害および食行動異常を調査した.摂食障害は13.5%, 食行動異常は26.0%に存在し,ともに女性に多く,女性が有意に心理テストで高得点だった.摂食障害群は他の患者群と比較し有意にHbA1cが高く,網膜症および腎症合併も高率だった.合併症ありはEDIの「完璧主義」「無力感」やMPSの「親からの期待」サブスケールと関連した.摂食障害・食行動異常群は心理テストでいずれも高得点をとったが,両群と診断されない群にも増殖網膜症が9.1%, 腎症が9.1%存在し,逆にEDIやMPSのサブスケールで低得点だった.合併症予防のため,心理テストで患者の心理的背景を知り,さらにインスリンオミッションを含めた摂食障害・食行動異常を早期に診断していく必要がある.
症例報告
  • 志熊 淳平, 岩橋 尚子, 熊倉 淳, 田中 彰彦, 三輪 隆, 能登谷 洋子, 小田原 雅人
    2009 年 52 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2009/01/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は76歳女性.基礎疾患にコントロール不良の2型糖尿病をもっており,感冒様症状と意識障害で当院搬送となり入院となった.精査したところ,敗血症性肺塞栓症・肺膿瘍・腎周囲膿瘍・内因性眼内炎を呈していた.細菌学的検査では,喀痰,血液,便,硝子体液からKlebsiella pneumoniaeが検出された.尿路からは菌は検出されなかった.抗生剤の局所および全身投与,胸腔ドレナージにて加療を行い,右眼は失明してしまったが,全身状態は改善し退院の運びとなった.敗血症性肺塞栓症は稀な疾患で,尿路感染で発症することはその中でも低頻度とされている.しかし基礎疾患に糖尿病をもつ症例では尿路が感染源となることが多い.糖尿病患者は50%に排尿機能障害をきたすと報告されており,膀胱機能評価と加療が重症尿路感染症発症予防になると考えられた.本症例は貴重な1例と考えられたため報告する.
  • 垣本 哲宏, 古田 浩人, 松野 正平, 那須 鉄史, 巽 邦浩, 小河 健一, 中野 好夫, 若崎 久生, 西 理宏, 佐々木 秀行, 南 ...
    2009 年 52 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2009/01/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は31歳女性,意識障害を伴う糖尿病ケトアシドーシスで入院.これまで糖尿病を指摘されたことはなかったが,入院時の血糖は1,758 mg/dl, HbA1cは17.0%であった.38°Cの発熱があり,咳漱,喀痰など呼吸器症状はみられなかったが胸部CTで右S1に空洞を伴う結節病変が認められ,尿培養と血液培養よりKlebsiella pneumoniaeが検出された.7日後の胸部CTでは新たに両側肺野末梢に空洞を伴う多発する小結節影を認め,feeding vessel signも伴っていることから敗血症性肺塞栓症(septic pulmonary embolism)と診断した.敗血症性肺塞栓症は他の感染巣からの菌塊による肺塞栓が原因の稀な重篤疾患であるが,糖尿病患者において近年報告例が増加しており,重症感染症を有する糖尿病患者の診療にあたっては本疾患を考慮する必要があると思われる.
  • 重藤 誠, 久野 裕輝, 早川 尚雅, 秋山 義隆, 桝澤 政広, 岡部 正, 松田 昌文
    2009 年 52 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2009/01/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.2001年より2型糖尿病として治療され,食事療法でHbA1c 6%前後で推移していた.2007年5月26日より心房細動に対し塩酸アプリンジン40 mg開始,6月27日に頭痛,関節痛,口渇,体重減少認め,同時に血糖値438 mg/dl, HbA1c 8.8%と急激な悪化と胆汁うっ滞型の肝障害を認めたため塩酸アプリンジンを中止し,インスリン強化療法を行った.治療開始から1カ月程度胆道系酵素高値が持続し,インスリン80単位/日以上必要としたが,3カ月後には胆道系酵素正常化し,血糖もインスリン18単位/日でコントロール可能となった.抗GAD抗体陽性でHLAは1型糖尿病感受性遺伝子であったが,その他の抗体は陰性で膵酵素上昇も認めなかった.インターフェロンなどの免疫系に作用する薬剤により1型糖尿病が誘発されたという報告はあるが,塩酸アプリンジンのような抗不整脈薬での報告はない.本症例は,抗不整脈薬により1型糖尿病が誘発された可能性が否定できない興味深い症例と考えられる.
  • 壁谷 悠介, 杢保 敦子, 富田 益臣, 矢代 泰章, 鴫原 寿一, 目黒 周, 内潟 安子, 渥美 義仁
    2009 年 52 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2009/01/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性.1989年に糖尿病と糖尿病細小血管障害を診断された.また,遺伝子検査からミトコンドリア糖尿病と診断された.2002年にインスリン治療を開始後,血糖値は安定していたが,2003年4月末より突然早朝低血糖を頻発した.投与インスリン量の減量を行い低血糖は改善したが,その後,一日中高血糖状態が持続するようになった.インスリン注射量を増量したところ,再び早朝低血糖を起こし,その他の時間帯は高血糖が持続した.検査結果よりインスリン自己免疫症候群様のインスリン抗体の存在が判明した.投与インスリンの種類を変更したが血糖変動に変化はなく,また同時期より血液透析が開始されたがこれによる明らかな改善も認めなかった.内因性インスリン分泌が保たれているため,インスリン注射量を大幅に減量したところ,血糖変動は安定した.その後,現在まで1日約20単位のインスリンアスパルトの食前注射で血糖コントロールは安定している.インスリン治療後に産生されたインスリン抗体が急激な血糖コントロール悪化の原因と考えられた.
  • 三宅 隆史, 辻村 文宏, 伊藤 有史
    2009 年 52 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2009/01/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    74歳男性.48歳時突然の低血糖で搬送され,インスリン,抗甲状腺剤の使用歴がなくインスリン自己免疫症候群と診断された.低血糖症状には補食で対処してきたが,61歳からはボグリボースを投与された.しかし,数日おきに深夜,早朝,食前などに,低血糖(25∼59 mg/dl)を繰り返していた.72歳時からプレドニゾロン(PSL) 30mg/日を投与開始し,低血糖の頻度の減少とともに10 mg/日まで漸減した. その後1年間の継続投与後は月2回ほどの早朝低血糖のみとなった.空腹時血清IRI,インスリン抗体結合率は,PSL治療前116.0 μU/ml, 75.4%だったが,1年後77.7 μU/ml, 69.0%まで低下した.Scatchard解析では本抗体は低親和性高結合能のmonoclonal抗体で,PSL投与により,親和性に変化はないが,結合部位数が減少した.HLAの検索ではDR4を有しておらず,DRB1*0901を認めた.
  • 礒 薫, 久保木 幸司, 有馬 陽一, 岡本 康, 杉野 郁美, 松本 知子, 宮城 匡彦, 田村 百合子, 亀山 正明, 芳野 原
    2009 年 52 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2009/01/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.2000年に糖尿病網膜症発見を契機に2型糖尿病が判明し,インスリン導入.2004年糖尿病性壊疽のため,右4趾切断術後,インスリン自己中止.2007年6月右乳房の疼痛・腫脹,38°C台の発熱あり,右化膿性乳腺炎にて入院.入院時視力指数弁,下肢深部腱反射消失.血中CRP 21.3 mg/dl, 白血球(15,700/mm3)と高度の炎症を認め,随時血糖516 mg/dl, HbA1c 15.3%, 血中総ケトン体4,125 μmol/l(3-ヒドロキシ酪酸2,505 μmol/l),動脈血ガスではpH 7.445と糖尿病性ケトーシスを呈していた.直ちに,抗生剤投与および生理食塩水点滴静注,インスリン療法開始.急性化膿性乳腺炎に対して切開排膿,ドレナージ,デブリードメントを行い,炎症陰性化し,その後深い潰瘍形成残存あったが,トラフェルミン塗布開始後,創治癒良好となり,第36病日に退院した.急性化膿性乳腺炎は,産褥女性にしばしばみられる疾患であるが,2型糖尿病の非産褥女性での報告は検索し得なかった.本症例のように,視力障害を有する糖尿病患者では,非産褥女性であっても,急性化膿性乳腺炎の発症に注意を要すると思われ報告する.
コメディカルコーナー・報告
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