CTで測定した内臓脂肪面積(Visceral Fat Area, 以下VFA)を基本にして,メタボリックシンドローム(Metabolic Syndrome, 以下MS)をスクリーニングする適切な腹囲径を検討した.対象は当所で人間ドックを受診した1,617例(男性1,101例,女性516例)である.MSの判定項目である高血圧,脂質代謝異常,空腹時高血糖のうち2個以上有するものをスクリーニングする精度をVFA別に比較した.男性ではVFA 94 cm
2, 女性では60 cm
2が最も精度が高く,感度と特異度は男性69%, 女性77%であった.それに対応する腹囲径は男性86.0 cm, 女性82.4 cmであった.リスクファクターが0, 1, 2, 3個につき各々の臨床検査データを男女別に検討した.男女共に危険因子が多くなるに従いVFAも増加し,血圧,脂質代謝に悪化がみられた.そこで,MSをスクリーニングする腹囲の基準として男性85 cm, 女性82 cmを提案したい.男性では従来の日本の基準と大差ない結果であったが,女性では大きな差を認めた.女性は男性に比しVFAは著しく少なくVFAの基準は男女別に設定が必要と考えた.
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