50歳頃から重症低血糖と体重増加をきたした45年以上の罹病歴を有する小児期発症1型糖尿病2症例の予後を報告する.症例1は54歳の女性.1959年11月(6歳)発症.2002年3月(48歳)から意識消失を伴う重症低血糖が頻回に出現〔体重66kg, body mass index (BMI) 26.1 kg/m
2〕.2007年11月(54歳),朝より低血糖を繰り返し,ジュースを合計3リットル飲用したところ呼吸困難が出現.心不全と診断され緊急入院となった(80 kg, 31.6 kg/m
2). 症例2は55歳の女性.1961年(10歳)発症.2004年3月(52歳)の体重は54.5 kg (22.0 kg/m
2)であったが,同年5月頃より増加し始めた.2005年3月(53歳)から意識消失を伴う重症低血糖が頻回出現(56 kg, 22.4 kg/m
2). 2006年1月(54歳)には体重は60 kg (24.0 kg/m
2)になった.2007年5月(55歳)の朝,“dead in bed” syndromeにて発見された.小児期発症1型糖尿病女性患者では更年期を迎える頃から重症低血糖と体重増加をきたし,致死的状況に至ることがあるので,注意深い血糖・体重管理が必要である.
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