糖尿病
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52 巻 , 9 号
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特集 糖尿病患者の血圧管理
原著
  • 川畑 奈緒, 松島 雅人, 湯浅 愛, 藤山 康広, 田嶼 尚子
    2009 年 52 巻 9 号 p. 757-765
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病患者の食行動の偏りが,いかなる食事摂取状況と関連しうるかを明らかにするため,2型糖尿病患者72名(男性49名,女性23名)を対象に,食行動質問表における7つの食行動領域別得点率と,総エネルギー摂取量,栄養素摂取量および食品群別摂取量との関連を検討した.「食事内容」の偏りは男女ともに脂質摂取量と強い関連を示し,男性では「食生活の規則性」の偏りがアルコール飲料の摂取量と,女性では「食べ方」が全ての栄養素摂取量といずれも正の相関を示した.「食事内容」の偏りは肉・魚・卵・大豆製品の摂取量と,「食動機」の偏りは果物の摂取量と,「空腹,満腹感覚」の偏りは乳製品の摂取量と,いずれも有意な正の相関を示した.以上より,2型糖尿病患者では血糖コントロール不良につながると考えられる食行動の偏りを修正することが,関連する食事摂取量の減少につながり,食事療法の有効性の向上に寄与する可能性が示唆された.
  • 広瀬 正和, 川村 智行, 橋本 友美, 東出 崇, 木村 佳代, 稲田 浩, 青野 繁雄, 新平 鎮博, 山野 恒一
    2009 年 52 巻 9 号 p. 767-775
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    日本人1型糖尿病患者におけるインスリン持続皮下注入療法(CSII)の有用性を後方視的に検討した.2008年3月末までにCSIIを導入した121名で,年齢,外来・入院での導入の割合,脱落者について検討した.導入時年齢は13.9±5.8歳(0∼34歳)で,78.5%は外来で導入した.導入後1年以内の脱落は21例(17.4%)であった.CSII導入後1年以上経過した76名を対象とし,導入前,6カ月,12カ月後のHbA1c, BMI, 重症低血糖の頻度を検討した.HbA1cは8.7±2.0%(前),7.8±1.6%(6カ月後),7.9±1.5%(12カ月後)と有意に改善した.BMIは20.6±3.7 kg/m2(前),21.0±3.5 kg/m2(6カ月後),21.5±3.6 kg/m2(12カ月)と増加したが標準以下であった.重症低血糖は導入前後1年で26.7回から2.7回/100人・年と有意に減少した.日本人1型糖尿病患者においてCSIIは有用であり,さらなる普及が望まれる.
症例報告
  • 中野 好夫, 高木 伴幸, 松野 正平, 垣本 哲宏, 川嶋 弘道, 中川 貴之, 下村 裕子, 若崎 久生, 古田 浩人, 中尾 大成, ...
    2009 年 52 巻 9 号 p. 777-781
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    71歳,男性.2008(平成20)年6月中頃から両肩の痛みと発熱が出現し,6月28日に近医を受診し入院した.入院後,非ステロイド性抗炎症剤投与で痛みは改善傾向にあったが,微熱とCPKが高値のため,7月22日当院に紹介され入院した.入院後,右肩関節液培養でMethicillin-Susceptible Staphylococcus aureus (MSSA)が検出されたため,化膿性肩関節炎と診断された.整形外科転科後,持続灌流,抗生剤投与ののち骨頭切除が行われた.HbA1cが7.5%と高値のためインスリン療法を開始し,その後,症状が改善したので退院した.肩関節等に局注や外傷がないことから,感染源として肩関節痛が出る直前の左足感染からの血行性感染が疑われた.血糖コントロール不良の糖尿病患者においては感染が起こりやすく注意が必要と考えられた.
  • 伊藤 弘麿, 奥野 茂, 大山 良雄, 宇都木 敏浩, 伴野 祥一, 倉林 正彦
    2009 年 52 巻 9 号 p. 783-787
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.2005(平成17)年3月下旬より腰痛・発熱が出現したため当院に入院.腰部MRI検査にてL2/3の椎間板炎と両側腸腰筋内に広がる膿瘍を認めた.その後,血液培養と右腸腰筋膿瘍のドレイン液培養よりEscherichia coli(以下E. coli)を検出した.治療開始後も炎症反応は持続し,発熱を繰り返した.さらに,いずれの発熱時にも尿路感染を合併したことから神経因性膀胱による膀胱炎を疑い,抗コリンエステラーゼ阻害薬(以下抗Ch-E阻害薬)を投与したところ,以後炎症反応は陰性化した.以上より,膀胱炎を原発とし,椎体椎間板炎と敗血症を合併した症例と考えた.治療には,椎体椎間板炎の治療に加え,尿路感染のコントロールが非常に重要と考えられた.
  • 星山 彩子, 大黒 晴美, 貴田岡 正史
    2009 年 52 巻 9 号 p. 789-792
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    硬膜外膿瘍(spinal epidural abscess: SEA)を呈した2例の糖尿病患者を経験した.SEAは稀な疾患だが,糖尿病に伴う易感染性は重要な危険因子である.治療法は確立されているが,重篤な後遺症を残す可能性があるため早期診断は極めて重要である.本報告例は2例とも脊椎周辺にも感染巣が波及しており,1例で肺と肩・肘,もう1例では食道に接した膿瘍を認めた.したがって,糖尿病患者で発熱を伴う背部痛をもつ症例では積極的にSEAを疑い,かつ周囲への膿瘍拡散をも念頭において検索・診断する必要があると考えられた.
  • 杉沢 恵里, 治部袋 佐知代, 三浦 順之助, 丸山 聡子, 石井 晶子, 佐藤 麻子, 内潟 安子, 岩本 安彦
    2009 年 52 巻 9 号 p. 793-798
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,女性.2002(平成14)年に糖尿病を指摘され,2008(平成20)年5月,血糖コントロール目的でA病院に入院.インスリン計154単位/日にても血糖高値であり,検査のため絶食とされた際,血糖51 mg/dlと低血糖となった.その後も低血糖が遷延したため,インスリン製剤,経口血糖降下薬は全て中止され,50%ブドウ糖液持続投与にもかかわらず連日随時血糖30∼160 mg/dlで経過した.低血糖精査目的にて当院に転院後も,26∼60 mg/dlの低血糖を認めた.インスリンアナログ製剤を反映する測定法では,免疫活性インスリン(IRI)値が30∼1,300 μU/mlと高値であったが,反映しない測定法では<0.2∼30 μU/mlであることが判明し,インスリンアナログ製剤自己注射によるfactitious hypoglycemiaが疑われた.
  • 白神 敦久, 七條 加奈, 川内 千徳, 関本 悦子, 柴田 泰伸, 重清 俊雄, 斉藤 慎一郎, 森本 訓明, 樋口 幸夫, 佐竹 宣法
    2009 年 52 巻 9 号 p. 799-804
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.右膝化膿性関節炎にて入院加療中であった.第12病日,低血糖発作があり,その後,意識障害,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation: DIC), 敗血症性ショックを呈し,発症後1日で永眠した.剖検にて,両側副腎の広範な出血性壊死,複数臓器の血栓症を認め,Waterhouse-Friderichsen症候群(WFS)と診断した.
    本症例では起因菌が髄膜炎菌でなく,methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA)と考えられた.WFSでは副腎出血による副腎機能不全の早期診断,早期治療が予後改善に期待されるが,一般的に特徴的な症候に乏しく,また急速に悪化する経過のため困難である.糖尿病を合併した敗血症患者では,低血糖発作などから本症候群の合併を考慮し,早期に精査,加療する必要があると考えられた.
コメディカルコーナー・原著
  • 大森 恵子, 浦田 美佐子, 新美 恵, 中山 幹浩, 中島 英太郎, 佐野 隆久, 堀田 饒
    2009 年 52 巻 9 号 p. 805-810
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    インスリン注射を行っている2型糖尿病患者では,血糖自己測定(self monitoring of blood glucose: SMBG)を繰り返していても,それだけでは血糖コントロールは改善しない.そこで,インスリン投与量を変更せず予測しながらSMBGを行うことで,血糖コントロールが改善するかどうかを調査した.対象は,既にSMBG, インスリン注射を行っている2型糖尿病患者25名である.年齢65.0±10.2歳(mean±SD), 罹病期間17.5±9.9年,インスリン自己注射経験年数8.0±8.7年,SMBG経験年数7.7±8.8年.まず,従来通り血糖値を予測せず3カ月間SMBGを行ったのち,予測しながら行うSMBGを3カ月間継続してもらった.開始1カ月目,3カ月目とも,血糖予測値は実測値より有意に低かった.従来のSMBGでは,3カ月間HbA1cには有意な変化はみられなかった.予測しながらのSMBGを開始すると,開始時の7.2±0.5% (mean±2SE)に比べ,1カ月目は有意な変化はないものの,2カ月目は6.9±0.5%(p<0.05), 3カ月目は7.0±0.4% (p<0.05)と有意に低下し,予測しながらのSMBGは血糖コントロールに対して有効である可能性が示唆された.
委員会報告
  • 糖尿病関連検査の標準化に関する委員会 , 柏木 厚典, 門脇 孝, 羽田 勝計, 名和田 新, 伊藤 博史, 富永 真琴, 及川 眞一, 野 ...
    2009 年 52 巻 9 号 p. 811-818
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    2007年6月,米国糖尿病学会,ヨーロッパ糖尿病学会,国際臨床化学連合,国際糖尿病連合から,HbA1cの国際標準化に関する合同のコンセンサス・ステートメント5項目が発表された.その要旨は,HbA1cの測定体系や測定値の報告は国際的に標準化されるべきで,その基準測定法としてはIFCC (International Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine)法を用い,HbA1c測定値の報告はIFCC値(単位:mmol/mol),およびIFCC-NGSP換算式によって得られる現在のNGSP値(National Glycohemoglobin StandardizationProgram, 単位:%)を併記することとする.また,HbA1c値の解釈として,今後の研究の進展によってHbA1c値と米国糖尿病学会が提唱している24時間平均血糖値の間に有意な相関が得られれば,“HbA1c換算平均血糖値”として併記するという点にまとめられる.これら合同コンセンサス・ステートメントの発表を受け,日本糖尿病学会は2007年8月より1年間をかけ「糖尿病関連検査の標準化に関する委員会」にてこの問題を検討した.その結果,HbA1cの国際標準化に対応して,わが国におけるHbA1c測定の標準化を進める決定をした.しかし,日常診療での表記法の違いによる混乱を避けるため,HbA1c値の報告には,一定期間,わが国における現在のHbA1c値表記法であるJDS値(%)を使用し,同時にIFCC値(mmol/mol)を併記することとした.
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