症例は50歳男性.2人姉妹の次女(14歳)が1型糖尿病にてインスリン治療中.2008年4月の検診でHbA
1C 6.2%を指摘され,同年7月頃より多尿,体重減少が出現し,近医を受診した際,HbA
1C 10.3%,随時血糖値463 mg/d
lと高値を認めたため紹介入院.尿中CPR 21.9
μg/日,グルカゴン負荷試験でCPR(前値)0.2-(6分値)0.4 ng/m
lと内因性インスリン分泌の低下を認め,強化インスリン療法を導入した.GAD抗体は陰性であったがIA-2抗体は9.1 U/m
lと高値であり,1型糖尿病と診断した.HLAタイピングはDRB1
*010101および090102を有し,次女のHLAハプロタイプと一致した.成人発症のGAD抗体陰性かつIA-2抗体陽性の1型糖尿病で,かつ1型糖尿病の家族歴を有する興味深い症例を経験したので報告する.
抄録全体を表示