糖尿病
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53 巻 , 5 号
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ミニレビュー
原著
  • 河盛 隆造, 石田 均, 柏木 厚典, 岸川 秀樹
    2010 年 53 巻 5 号 p. 331-340
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    食事・運動療法に加え,必要に応じスルホニル尿素剤を投与している2型糖尿病患者573例を対象に,ボグリボースの糖尿病網膜症および糖尿病腎症の発症・進展抑制効果をプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験により検討した.ボグリボース群は,8週まで1回0.2 mg,その後0.3 mgを1日3回,計144週間経口投与した.ボグリボース群(279例)ではプラセボ群(280例)と比較し,食後2時間血糖値,HbA1Cおよび空腹時血糖値が有意に改善した(p<0.05またはp<0.01)が,糖尿病網膜症および糖尿病腎症の発症・進展抑制に関しては有意な差は認められなかった(p=0.968).ボグリボースの安全性について懸念すべき問題はみられなかった.ボグリボースが長期間,安定的に血糖を良好にコントロールしたにもかかわらず,糖尿病合併症の明確な抑制効果を示さなかった理由として,糖尿病合併症に対する効果はより長期間の検討が必要であることが考えられた.
  • 馬屋原 豊, 大楠 崇浩, 久保 典代, 吉間 陽子, 坂本 扶美枝, 藤木 典隆, 小杉 圭右
    2010 年 53 巻 5 号 p. 341-350
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    【目的と方法】市中病院におけるインスリン非依存状態糖尿病(NID)患者のGAD抗体陽性率と臨床的特徴を調べるため,大阪警察病院通院中のNID患者2110例についてGAD抗体を測定し,各種臨床データを検討した.【結果】GAD抗体陽性は39例,陽性率は1.85%(95%CI 1.27~2.42%)であった.GAD抗体価10 U/ml以上の高抗体価群は,低抗体価群に比して女性患者の割合が多く,空腹時血中C-peptideで評価したインスリン分泌能が悪く,BMIが低値の傾向にあるなどより典型的な1型症例に近い病像を示していた.一方,低抗体価群は,BMIやインスリン分泌能において2型糖尿病群と有意差がなかったが,インスリン治療導入患者の割合は有意に多かった(p<0.001).SUIT indexによりβ細胞機能を評価した結果,低抗体価群では2型糖尿病群に比して有意にSUIT indexの低下が認められた(p<0.01).【考察】GAD抗体陽性NID患者はGAD抗体が低抗体価であってもその病態は明らかに典型的な2型糖尿病群とは異なると考えられ,治療法の選択のためには,可能な限りNID症例全例についてGAD抗体検査を行うことも考慮すべきであることが示唆された.
症例報告
  • 長澤 薫, 西村 明洋, 大久保 実, 岡 佳子, 今 寿賀子, 古賀 千悠, 竹林 明枝, 東梅 久子, 北川 浩明, 森 保道
    2010 年 53 巻 5 号 p. 351-356
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,女性.1991年に1型糖尿病と診断された.2005年に挙児を希望しインスリン持続皮下注射療法(continuous subcutaneous insulin infusion:以下CSIIと略す)を導入した.2008年3月に妊娠4週と判明し,その際に炭水化物量によりインスリン量を調節するカーボカウント法を導入した.妊娠経過中,悪阻や,胎児発育に伴う心窩部不快感により,食事量が大幅に変動したが,CSIIとカーボカウント法により,良好な血糖コントロールが得られた.1型糖尿病合併妊娠において,CSIIを用いたカーボカウント法は食事量の変動にも柔軟に対応でき,妊娠中の血糖コントロールに有用であると考えられた.
  • 金原 嘉之, 荒木 厚, 足立 淳一郎, 田村 嘉章, 千葉 優子, 森 聖二郎, 井藤 英喜
    2010 年 53 巻 5 号 p. 357-362
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    症例は肥満歴なく生来健康な62歳女性.入院3週間前よりみかんジュースを多飲し,口渇,多飲,多尿,体重減少が出現,随時血糖値998 mg/dl,HbA1c 13.9%,ケトアシドーシスで入院した.輸液とインスリン静脈内投与により治療し,上記症状は改善した.入院時のインスリン分泌が枯渇していたことと抗GAD抗体が8.1 U/mlと陽性であることより,当初は急性発症の1型糖尿病と考えた.しかし,入院時すでに網膜症があり長期の高血糖状態の存在が疑われ,また,入院後,強化インスリン療法によりインスリン分泌が回復し,その後約2年間経口血糖降下薬のみによる治療で比較的良好な血糖コントロールが維持された.これらの所見より本症例は,清涼飲料水の多飲を契機に緩徐進行1型糖尿病が一時的に増悪した例と考えられ,糖尿病ケトアシドーシスの鑑別診断上,貴重な症例と考えここに報告する.
  • 鈴木 久美, 武田 貴裕, 石井 晶子, 丸山 聡子, 三浦 順之助, 尾形 真規子, 内山 真一郎, 岩本 安彦
    2010 年 53 巻 5 号 p. 363-368
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    43歳女性.10歳発症の1型糖尿病で,発症後から頻回の低血糖で入退院を繰り返していた.22歳時,低血糖昏睡のため近医に入院.意識障害が約24時間続き,回復後より短期記憶障害が出現.25歳時当科に転院後も無自覚低血糖を頻回に起こし,血糖コントロールもHbA1c 9-11%と不良であった.短期記憶障害が続き,40歳頃から症状増悪し,2008年6月に入院.入院時HbA1c 11.0%,認知機能試験(Mini Mental State Examination)はほぼ正常,ウェクスラー記憶検査では,言語性,視覚性記憶は軽度の低下のみ,遅延再生は高度に低下しており健忘と診断.頭部MRIで両側アンモン角・歯状回の萎縮,脳血流SPECTで両側側頭葉内側の血流低下を認めた.本症例は低血糖脳症による健忘症と診断した.糖代謝異常が大脳の器質的異常の原因となった症例報告は少なく,日常臨床で留意すべき症例と考えられたため報告する.
  • 山口 義彦, 陳 健一, 出口 剛
    2010 年 53 巻 5 号 p. 369-373
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    60歳以上のインスリン使用者を対象に抗GAD抗体を測定し,3例の抗体陽性者を見いだした.3例とも65歳以上で糖尿病と診断された高齢発症1型糖尿病であり,その特徴を検討した.調査時年齢80.3±11.2(mean±SD)(歳),糖尿病発症年齢72.3±5.0(歳),罹病期間8.0±8.2(年)であった.抗GAD抗体価は53.8から84,000(U/ml)(30,377.9±46,570.8)であり,その時のHbA1c,血中Cペプチド,1日使用インスリンは,各々8.0±1.9(%),0.38±0.48(ng/ml:1例は検出不能),0.44±0.17(U/kg/日)であった.また,2例で尿中Cペプチドが検出不能であった.初回調査より5年後の調査では,2例は療養中であり,1例は肺炎にて死亡していた.
    高齢発症でインスリン使用中の糖尿病患者の中に1型糖尿病と診断される症例が混在していると考えられる.
  • 山下 唯, 金井 有吾, 米光 新, 政次 健, 武呂 誠司, 隠岐 尚吾
    2010 年 53 巻 5 号 p. 374-378
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    症例は63歳女性.8歳頃から視力低下,18歳頃から感音性難聴があり,39歳頃から糖尿病を発症した.白血球mitochondria3423変異なし.入院3日前の朝から頭痛があり,呼名反応も鈍く,徐々に悪化した.来院時JCS 2桁,血圧122/74,血糖543 mg/dl,動脈血pH 7.258,運動麻痺・深部腱反射亢進はなかった.糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)として治療したが,意識障害が遷延,翌日のmagnetic resonance imaging(MRI)で左視床・両後頭葉等の白質にdiffusion weighted imageで等信号,apparent diffusion coefficientで高信号を示す病変を認めた.DKAの改善に伴い意識清明となりMRIの病変も退縮した.経過からDKAの治療中にreversible posterior leukoencephalopathy syndrome(RPLS)を呈したと考えた.RPLSは意識障害,視覚異常等を呈し,画像上は脳浮腫が主に後部白質に出現,これらが治療で速やかに消退する特徴をもつ.DKAで意識障害が遷延する病態ではRPLSも考慮すべきである.
報告
  • 日本糖尿病・肥満動物学会 「実験動物での糖尿病診断ワーキンググループ」, 八木橋 操六 (委員長), 寺内 康夫, 森 豊, 池上 博司, ...
    2010 年 53 巻 5 号 p. 379-384
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    糖尿病の成因,病態の解明や治療法開発のため,動物モデルを用いた研究は不可欠である.ヒトの糖尿病の診断が血糖や糖化ヘモグロビンを指標としている一方,動物での糖尿病の診断は研究者によって必ずしも一致していない.従って,研究結果の解釈や,ヒトの糖尿病へのトランスレーションが適切になされていない可能性もある.日本糖尿病・肥満動物学会では,糖尿病動物を用いている研究者にアンケート調査を実施し,動物での糖尿病の診断の実際や,診断についての考え方を調査した.また,欧米での糖尿病専門学術誌に掲載された論文を調査し,動物での糖尿病診断の実態について調査を行った.それらの結果を踏まえて,学会での動物を用いた研究についての考え方をまとめてみた.
コメディカルコーナー・原著
  • 植山 実, 磯貝 好美, 湯川 万里子, 西尾 朋久, 中西 一夫, 金田 幸枝, 三家 登喜夫
    2010 年 53 巻 5 号 p. 385-389
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    HbA1c測定のために本邦にて開発された酵素法(ノルディアN HbA1c)を,IFCC法,HPLC法および免疫法と比較することにより,新たに提唱されているHbA1cの国際標準化に向けての本測定法の有用性について検討した.その結果,(1)本法によるraw data(JDS Lot 3にて補正する前の値)とIFCC法による値との比較(N=30)にて,r=0.998,回帰直線の傾きは0.998, Y軸切片0.18 mmol/mol(0.018%)と両者はほぼ同じ値を呈した.(2)本法とHPLC法および免疫法との比較にて,本法が0%の時にHPLC法では0.2~0.3%の値を呈した.(3)本法とHPLC法とのraw dataによる比較でも回帰直線の解析よりHPLC法と本法による測定は少し特性を異にしている可能性が考えられた.以上よりHbA1c測定のために本邦で開発された酵素法(ノルディアN HbA1c)は,IFCC法に準拠するHbA1cの国際標準化に向けてHPLC法より有用であると思われた.
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