60歳以上のインスリン使用者を対象に抗GAD抗体を測定し,3例の抗体陽性者を見いだした.3例とも65歳以上で糖尿病と診断された高齢発症1型糖尿病であり,その特徴を検討した.調査時年齢80.3±11.2(mean±SD)(歳),糖尿病発症年齢72.3±5.0(歳),罹病期間8.0±8.2(年)であった.抗GAD抗体価は53.8から84,000(U/m
l)(30,377.9±46,570.8)であり,その時のHbA
1c,血中Cペプチド,1日使用インスリンは,各々8.0±1.9(%),0.38±0.48(ng/m
l:1例は検出不能),0.44±0.17(U/kg/日)であった.また,2例で尿中Cペプチドが検出不能であった.初回調査より5年後の調査では,2例は療養中であり,1例は肺炎にて死亡していた.
高齢発症でインスリン使用中の糖尿病患者の中に1型糖尿病と診断される症例が混在していると考えられる.
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