糖尿病
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53 巻 , 7 号
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原著
  • 池田 俊也, 小林 慎
    2010 年 53 巻 7 号 p. 469-475
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/19
    ジャーナル フリー
    【目的】スルホニル尿素薬(SU)+メトホルミン併用療法とSU+ピオグリタゾン併用療法の費用対効果を評価する.【方法】本分析では,UKPDSで報告された回帰モデルを用いて,2型糖尿病患者の長期的な費用対効果を評価するモデルを構築し,SUとメトホルミンあるいはピオグリタゾンとの併用療法の比較を行った.各合併症の治療医療費は,わが国の医療費に関する報告を基に設定した.患者の長期予後は質調整生存年により評価した.【結果】本モデルを使ったシミュレーションの結果,メトホルミン併用療法は,ピオグリタゾン併用療法よりも生涯の総費用が小さく,質調整生存年が大きくなることが推計された.【総括】メトホルミン併用療法は医療経済的な観点から有用であることが示唆された.我が国における疫学データによるモデルの精緻化が今後の課題である.
  • 川野 真代, 高井 孝典, 笠原 隆行, 稙田 太郎
    2010 年 53 巻 7 号 p. 476-482
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/19
    ジャーナル フリー
    心疾患の既往のない外来通院中の2型糖尿病患者142人に心エコーを行い,パルスドプラー法による左室流入血流速波形E/A比,Valsalva負荷後E/A比,組織ドプラー法僧帽弁輪運動速度によるE/Ea比を用いて,左室拡張機能障害の頻度と特徴を解析した.収縮機能は全例正常(EF≥50%)であった.拡張機能は75人(52.8%)が正常,67人(47.2%)に拡張障害を認め,うち11.3%が偽正常型であった.拡張障害群は正常群に比べ年齢が有意に高く,偽正常型の割合は糖尿病罹病期間が長い患者で増加した.高血圧は予期に反し,拡張機能に有意な影響を与えなかった.ロジスティック回帰分析では,年齢65歳以上,脈拍70/分以上,糖尿病罹病期間の短いことが拡張障害のリスクとして検出された.罹病期間10年未満でも拡張障害を有するものはより高齢であり,2型糖尿病患者の拡張障害には加齢の影響の大きいことが示唆される.
  • 大塚 章人, 深水 英昭, 下村 彰宏, 千頭 寛子, 斉藤 清子, 久保 聡子, 中村 正, 市原 紀久雄
    2010 年 53 巻 7 号 p. 483-489
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/19
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者のアルブミン尿レベルと腎機能低下速度,動脈硬化進行度の関連について検討した.対象は2年間継続して外来通院中の糖尿病患者505人(観察開始時平均年齢65歳).観察開始時に正常及び微量アルブミン尿を示す患者を中央値で低値と高値の2群ずつに分け,マクロアルブミン尿群を含む5群間で推算糸球体濾過量の年間変化量平均値(ml⁄min⁄1.73 m2⁄year)を比較したところ,アルブミン尿レベルの低い群から順に-1.8,-3.3,-3.3,-3.9,-4.3と,また,脈派伝播速度平均値(cm⁄sec)も1642,1810,1869,1957,2018と,正常低値群に比べ正常高値以上の群で有意に高値であった.また,正常高値群では正常低値群に比べ糖尿病罹病期間,HbA1c,BMI,高血圧症合併率,血圧などの腎機能と動脈硬化双方に関連する指標が有意に高値であった.糖尿病患者では正常アルブミン尿の段階から腎機能低下速度の亢進と動脈硬化の進行が始まっていることが示唆された.
症例報告
  • 村木 絢子, 東 宏一郎, 小澤 裕理, 森本 二郎, 鈴木 裕也, Cristiane S Hampe, 丸山 太郎
    2010 年 53 巻 7 号 p. 490-494
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/19
    ジャーナル フリー
    症例は68歳(発症時)男性.1998年11月,近医にて境界型の血糖値とGAD抗体価高値を指摘され当科に紹介された.空腹時血糖値は93 mg/dl, HbA1c 5.7%,GAD抗体が13900 U/mlと高値を認めた.経過中HbA1c値は徐々に上昇し,2005年以降インスリン分泌能が低下した.2006年にインスリン導入に至り,GAD抗体価高値と経過から緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)と考えられた.我々は本例において毎年1回糖負荷試験を行い耐糖能とインスリン分泌の変化を観察しGAD65抗体のepitopeを検討した.本例ではepitopeのうちGAD分子中央部付近のb96.11への反応性が耐糖能異常の時期より高値を維持し,また経過中複数のepitopeに対する反応性をも獲得した.同様の傾向は急性発症典型例の1型糖尿病の過程でも認め,SPIDDMでもepitopeに対する反応性のmaturationがインスリン依存への進行と関係する可能性が示唆された.これまでSPIDDM症例で長期間詳細に経過観察しGAD65抗体のepitopeの推移を観察した報告はなく,本症の病態解明において極めて意義があると考え,報告する.
  • 市川 雷師, 守屋 達美, 保坂 辰樹, 福西 智子, 沖崎 進一郎, 小川 顕史, 鈴木 貴博, 松原 まどか, 高田 哲秀, 田中 啓司 ...
    2010 年 53 巻 7 号 p. 495-500
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/19
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性.2型糖尿病で食事療法,インスリン療法を受けていたが,HbA1cは7~9%台であった.2008年9月下旬感冒を契機に食思不振となり,インスリン注射を中断した.10月12日意識障害,異常行動を主訴に当院を受診し,糖尿病性ケトアシドーシス(Diabetic ketoacidosis:以下DKAと略す)の診断で入院した.第2病日から腹痛を訴え,腹部CTで門脈ガスを認めた.腸管壊死を疑い上腸間膜動脈造影を行なったが,血栓や閉塞はなく非閉塞性腸管虚血症(Nonocclusive mesenteric ischemia:以下NOMIと略す)と診断した.血管拡張薬の持続投与も効果なく,第3病日緊急手術を施行し救命できた.NOMIは特徴的所見がなく診断が困難であり死亡率も高い.DKAでは腹痛を訴える症例が少なくなく,鑑別としてNOMIも念頭に置き診療にあたる必要がある.
  • 瀬川 聡子, 片平 正人, 前田 晴美, 安田 康紀
    2010 年 53 巻 7 号 p. 501-504
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/19
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,女性.初診の3年前の健康診断では異常を指摘されなかった.初診の1ヶ月前より口渇,体重減少が出現し,同3日前に他院で高血糖を指摘され,2005年10月に当科紹介となった.初診時空腹時血糖213 mg/dl,HbA1c 11.1%,尿中ケトン体陽性を認め,1型糖尿病を疑い即日入院となり,インスリン治療を開始した.血清学的に抗GAD抗体は陰性,抗IA-2抗体は1.9 U/mlと陽性所見を認め,尿中CPRは感度以下で,1型糖尿病と診断した.退院後,外来経過観察中にインスリン(insulin aspart Mix 30)1日投与量は8単位まで減量でき,血糖コントロールは良好であった.しかし2007年1月,血糖コントロールが再び悪化し,その際に抗IA-2抗体は陰性化,抗GAD抗体は12.3 U/mlと陽性化を認め,食後2時間CPRは0.51 ng/mlと著明に低下していた.HLA typingではDR4,DR13を有していた.本例は,インスリン依存状態への移行と,膵島自己抗体の変化を観察しえた貴重な一例と考えられた.
  • 岩倉 敏夫, 藤本 寛太, 田原 裕美子, 松岡 直樹, 石原 隆, 清野 裕
    2010 年 53 巻 7 号 p. 505-508
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/19
    ジャーナル フリー
    2009年DPP-4阻害薬として発売されたシタグリプチンは国内の臨床試験ではグリメピリドとの併用において重篤な副作用はなかったとされている.しかし今回我々はグリメピリドの二次無効のためにシタグリプチンが追加投与され,3日後に重度の低血糖性意識障害を起こした症例を経験した.原因としてはグリメピリドの内服量・年齢・腎機能などが影響した可能性がある.今後同様な症例が増える可能性があり,本例の検討がSU薬にDPP-4阻害薬追加する場合の指針作製の提起になることを期待する.
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