糖尿病
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54 巻 , 11 号
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受賞講演
原著
診断・治療(食事・運動・薬物治療)
  • 藤井 淳子, 近藤 恭士, 山藤 知宏, 須田 尚子, 小林 広明, 青山 沙絵, 福島 光夫, 安田 浩一朗
    2011 年 54 巻 11 号 p. 837-841
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    年々特定保健用食品(以下トクホ)利用頻度は増加し,糖尿病患者でもトクホ利用者が増加している.利用者の中にはその効果に過度の期待をもち,食事療法,運動療法がおろそかになるものもある.今回,2型糖尿病患者154名に対しトクホ利用状況,利用によるセルフケア行動への効果に関するアンケートを実施し,血糖コントロール状況とトクホ利用との関連を検討した.トクホ利用者は全体の29 %でトクホ利用の有無でHbA1c(JDS値)に有意差はなかった.トクホ利用有無と適切な食習慣の有無により4群に分けてHbA1c(JDS値)を比較検討した.トクホ利用者で適切な食習慣を持つ群の平均HbA1c(JDS値)は6.5±0.9 %(mean±SD)で,トクホ利用者で不適切な食習慣群の平均HbA1c(JDS値)7.6 %±1.2 %(mean±SD)と比較して有意に低値であった(p<0.05).また,トクホ利用者で不適切な食習慣群では,トクホ利用が食事療法の代わりになるという意識も認められた.トクホ利用の有無に係わらず血糖コントロールには食事療法の実行が不可欠であるが,療養指導者はトクホ利用状況を把握した上で患者をセルフケア行動へと導くよう療養指導を行うことも重要である.
病態・代謝異常・合併症
  • 青木 伸
    2011 年 54 巻 11 号 p. 842-850
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    目的:Ca拮抗薬(CCB)の糖尿病性腎症に対する影響についてのエビデンスは,RAS阻害薬ほど確立していない.降圧不十分な糖尿病合併高血圧患者の降圧効果と腎機能にニフェジピンCRが及ぼす影響を検討した.方法・結果:降圧薬投与中にもかかわらず外来随時血圧が130/80 mmHg以上の糖尿病合併高血圧患者30例に対しニフェジピンCR錠40 mgを1日1回12カ月間投与した.指標となる血圧は早朝家庭血圧とした.ニフェジピンCR投与により,収縮期血圧,拡張期血圧が有意に低下した(143±10/82±9 mmHg VS 129±6/74±12 mmHg, p<0.01).また,尿中アルブミン排泄量(ACR)の低下が見られ,これは収縮期血圧および拡張期血圧の降下度と有意に相関した(それぞれp=0.00124, p=0.0127).結論:ニフェジピンCRの追加投与により,降圧とそれに相関した糖尿病性腎症の退縮・緩解が見られた.
患者心理・行動科学
  • 杉山 祝子, 中塔 辰明, 浦上 経子, 北村 卓也, 川村 望, 平櫛 恵太, 渡辺 恭子, 糸島 達也
    2011 年 54 巻 11 号 p. 851-855
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    平成22年1月,タブレット型携帯端末であるiPad(米Apple Inc.)が販売開始となり,以後医療分野を含む様々な分野での利用が急速に拡大している.当院糖尿病センターでは平成22年7月にiPad 9台を購入し糖尿病患者教育に導入,クラウド糖尿病患者教育システムを構築し,その有用性の検討を行ったので報告する.クラウドシステムの構築にはオンラインストレージサービスであるDropbox(米Dropbox, Inc.)を利用した.iPadの有用性を検討するため,24名の患者を対象にiPad,ノートPC,印刷資料(紙)の3つのデバイスを用いた療養指導を行い,アンケートによる有用性の評価を行った.その結果,iPadによるわかりやすい映像表示と操作性が患者からも高く評価され,3つのデバイスの中でiPadが最も高い評価を得た.糖尿病教育用デバイスとしてiPadは極めて有用と思われ,今後教育用アプリの開発などでさらに活用が期待できるものと思われた.
症例報告
  • 加藤 浩之, 太田 明雄, 佐田 幸由, 福田 尚志, 方波見 卓行, 田中 逸
    2011 年 54 巻 11 号 p. 856-859
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    37歳,女性.学童期より時折腹痛を自覚していたが慢性胃炎と診断され放置.15歳で糖尿病を発症し,経口血糖降下薬にて加療するも血糖管理が不良で翌年インスリン療法導入.1999年(27歳)に転居のため当院に通院開始となり,スクリーニングで行った腹部超音波で膵石灰化を認めた.嗜好は機会飲酒.家族歴は祖母が膵癌と膵石症,母が膵炎,膵石症と糖尿病,母方叔母が膵石症,姉が膵炎と糖尿病であった.膵炎の濃厚な家族歴があることから,患者本人の同意を得て遺伝子検索を施行した.Cationic trypsinogen遺伝子について検査し,exon 2のcodon 29におけるアスパラギン酸(以下Asnと略す)からイソロイシン(以下Ileと略す)へのアミノ酸変異を認めたため,遺伝性膵炎と診断した.本邦でのN29I変異は現在までに4家系が報告されているのみである.糖尿病を発症した遺伝性膵炎について,文献的考察を加え報告する.
  • 伊藤 俊, 横田 佐和, 荻原 俊, 内藤 純行, 小野 嘉文, 高佐 顕之, 大塚 俊和, 中川 潤一
    2011 年 54 巻 11 号 p. 860-864
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    肥満を伴う劇症1型糖尿病は稀であるといわれており報告例は少ない.我々は肥満の劇症1型糖尿病を経験したので報告する.症例は24歳男性.過去に糖尿病の指摘なし.2009年4月27日から食欲不振・下痢・嘔吐が出現し,下肢脱力で当科緊急入院.体重95 kg, BMI 30.3 kg/m2,血糖1661 mg/dl, HbA1c 6.5 %(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53:450-487, 2010)),pH 6.933, HCO3-2.4 mmol/l,血中ケトン体13228 μmol/lから,糖尿病性ケトアシドーシスと診断した.心電図は自然停止・出現を繰り返す187 /分の心室頻拍.リパーゼ206 IU/lと上昇し,抗GAD抗体・IA-2抗体は陰性.発症後のグルカゴン負荷試験で前後のCPR 0.10 ng/ml,尿中CPR 1.0 μg/dayとインスリン分泌能は枯渇.HLAではDR4が認められた.本症例は若年で肥満があり,インスリン抵抗性を有したと思われるが,明らかな糖尿病の既往がなく劇症1型糖尿病を発症し短時間でインスリン分泌が劇的に変化した症例と考えられた.
  • 山口 普史, 三井 康裕, 白神 敦久, 関本 悦子, 柴田 泰伸, 尾崎 修治, 重清 俊雄
    2011 年 54 巻 11 号 p. 865-870
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    症例は19歳男性.2011年1月下旬より嘔気,嘔吐が出現したため,近医を受診.輸液を受けたが嘔気持続するため2日後に再受診.随時血糖350 mg/dl, HbA1c 11.0 %(国際標準値(NGSP値))と高値のため,精査・加療で紹介された.来院時血糖606 mg/dl,血液ガスではpH7.09,尿中ケトン体強陽性であり,糖尿病ケトアシドーシス(DKA)と診断し,持続的静脈内インスリン治療を開始.来院時心電図でV2-V4にT波の増高を認め,翌日,V1でcoved型に変化し,高位肋間ではJ点の更なる上昇を認めた.心室遅延電位では2項目陽性であった.DKAの改善とともにcoved型心電図波形は消失した.中学1年と高校1年時の検診心電図では不完全右脚ブロック様波形を認めた.DKA発症を契機にBrugada型心電図波形を一時的に呈し,経時的に心電図変化を追跡できた症例を経験したため,文献的考察も加え報告する.
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