糖尿病
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54 巻 , 12 号
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特集
低血糖についての新しい知見
原著
診断・治療(食事・運動・薬物治療)
  • 黒木 康雄, 池野 真子, 大上 貴士, 竹下 光, 前田 彰宏
    2011 年 54 巻 12 号 p. 888-893
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/27
    ジャーナル フリー
    二相性インスリンアナログ製剤(30Mix)を朝・夕2回投与している教育入院中の2型糖尿病患者を対象に,α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)併用の有無で一日血糖測定値の変動を比較した.二相性インスリンアナログ製剤(30Mix)朝・夕2回投与の患者では昼食後血糖が高値を示したが,昼食直前にα-GIを併用した患者では昼食後の血糖値も朝,夕食後と同様に良好であった.入院中新規にα-GIを併用した17名では,昼食後血糖値266.8±35.5 mg/dl(SD)が,昼食直前α-GI併用により173.6±39.3 mg/dlまで有意に低下した(p<0.0001).また,外来で新規に昼食直前にα-GIを併用した16名では,追加前HbA1c 7.42±0.7 %(JDS値)が,1ヵ月後HbA1c 7.13±0.7 %と有意な改善を認め(p<0.01),6ヵ月後もHbA1c 7.10±0.7 %と効果が持続した.二相性インスリンアナログ製剤(30Mix)朝・夕2回投与への昼食直前α-GIの併用は食後血糖値の管理に有用であり,かつ長期血糖管理においても有効な治療選択肢の一つとなりうることが示唆された.
病態・代謝異常・合併症
  • 松本 一成, 原口 愛, 藤島 圭一郎
    2011 年 54 巻 12 号 p. 894-898
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/27
    ジャーナル フリー
    我々は以前に,血管内皮の活性化マーカーである可溶性接着分子E-selectin(sE-selectin)は,心血管イベントの予知に有用であることを報告した.また,糖尿病診療ガイドラインの目標値が達成されるほどに,心血管イベントが減少することも報告した.このことから,ガイドラインの遵守状態が良くなればsE-selectinが低値になるという仮説を立てて検証してみた.392例の心血管病の既往がない2型糖尿病患者のコントロール状態とsE-selectinを測定した.重回帰分析において,sE-selectinの独立した正の関連因子はbody mass index, HbA1c(JDS値)であったが,LDL-コレステロールは負の関連因子であった(F=6.61, p<0.01).ガイドラインの目標値,1)HbA1c(JDS値)6.5 %未満,2)血圧130/80 mmHg未満,3)LDL-コレステロール120 mg/dl未満,の3項目中何項目を達成しているかで患者を3群に分類して,sE-selectinを比較した.sE-selectinは,0-1項目で73.3±34.4 ng/ml, 2項目で65.4±34.2 ng/ml, 3項目で61.3±25.9 ng/mlで群間に有意差を認めた(p<0.01).したがって,ガイドラインの目標達成数が増えると,血管内皮の活性化は抑制されてsE-selectinは低値となり,心血管イベントの減少につながる可能性が示唆された.
社会医学・医療経済学
  • 平尾 利恵子, 藤島 裕也, 須澤 眞美, 梶本 忠史, 幸原 晴彦
    2011 年 54 巻 12 号 p. 899-905
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/27
    ジャーナル フリー
    糖尿病地域医療体制は,単一医療機関でのみ行われている外来診療を,地域内複数診療所を効果的に組み合わせ,診療レベルを平準化,日常的に合併症精査と強化療法を展開し,診療の質を向上させることが目的である.当科では2005年より継続的に逆紹介を行ない,2009年より軽症患者の年2回循環診療を大規模に推進した.これとともに外来パスや救急対応等の対患者・対診療所の医療サービスを充実させ,2005年度より増加傾向にあった外来通院患者の維持に努力した.この結果のべ糖尿病患者数減少とともに,入院患者数の減少をきたした.血糖コントロール悪化による入院数は,新規紹介,当院通院患者ともに低下,地域医療連携による診療レベル向上が原因として示唆された.逆紹介に伴う総医療費試算は大きな変化がなく,合併症抑制の長期効果が期待される.
症例報告
  • 出雲 博子, 比良野 圭太, 中川 朋子, 門伝 昌巳, 百瀬 葉子, 衛藤 光, 根本 憲一
    2011 年 54 巻 12 号 p. 906-909
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/27
    ジャーナル フリー
    勃起不全(Erectile Dysfunction:以下EDと略す)治療薬であるシアリス®(タダラフィル)の偽薬により重篤な低血糖を来たした症例を経験したので報告する.症例は48歳男性.特に既往歴なし.2011年1月某日朝,冷汗とふらつきを主訴に当院救急外来を受診.意識レベルの低下と低血糖(27 mg/dl)を認め,ブドウ糖の点滴静注を施行するも低血糖が遷延したため入院となった.糖尿病の既往,インスリンやSU剤など血糖降下薬の使用は認められなかった.入院前夜患者はED治療薬のシアリス®を服用していたが,これは友人から譲渡された偽薬であることが判明した.高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography:以下HPLCと略す)にて患者血中から高濃度のグリベンクラミドが同定され,患者の服用した偽造シアリス®にグリベンクラミドが混在していたと考えられた.全身に発疹も出現していたが,グリベンクラミドのDrug Lymphocyte Stimulation Test(以下DLSTと略す)が陽性であったことより,発疹の原因も偽薬中のグリベンクラミドと考えられた.2009年に,シンガポールより偽造シアリス®による死亡を含む重症低血糖の報告があるが,日本からはまだない.本邦でも注意を喚起する必要があると考え報告する.
  • 矢島 賢, 小出 まさよ, 池田 悠
    2011 年 54 巻 12 号 p. 910-915
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/27
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.関節リウマチに対しサラゾスルファピリジンが処方された3週間後にDrug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS)を発症し皮膚科に入院した.PSL 25 mg/日が開始され減量中,注意深く経過観察していたところ入院1か月後に血清アミラーゼおよび血糖の急上昇(504 mg/dl)を認めた.高血糖症状やケトーシスはなかったが尿中CPR 4.8 μg/日,血中CPR 0.2 ng/mlとインスリン分泌は枯渇しており,GAD抗体0.9 U/mlと陰性で直近のHbA1cが6.9 %(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53:450-467, 2010))であったことから,劇症1型糖尿病の発症が強く疑われた.入院時20倍であったHuman herpesvirus 6(HHV-6)IgGは,糖尿病発症時には160倍と再活性化を認めた.DIHSの劇症1型糖尿病は発症までに時間差があり発見しにくく,またステロイド使用中であることが多くステロイドによる高血糖と考えられ,対応が遅れケトアシドーシスを来たしてしまう危険がある.本症例は担当医がDIHSの経過を注意深く追っていたためケトーシスのない状態の劇症1型糖尿病を発見しえたと考えられた一例である.
  • 光井 絵理, 山本 恒彦, 安田 哲行, 宮下 和幸, 藤澤 慶子, 藤木 典隆, 黒田 暁生, 金藤 秀明, 下村 伊一郎
    2011 年 54 巻 12 号 p. 916-921
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/27
    ジャーナル フリー
    症例(1)は33歳,女性.口渇,多飲・多尿,体重減少を主訴に当院を受診し,DKAの診断にて緊急入院となったが,血糖値は243 mg/dlと著明な高血糖は認めなかった.症例(2)は29歳,女性.1A型糖尿病にて通院加療しており,第1子を出産後4ヶ月で微熱,嘔吐が出現し,経口摂取不能となったため当院を受診し,DKAの診断にて緊急入院となったが,血糖値は281 mg/dlと著明な高血糖は認めなかった.両症例とも甲状腺腫大や眼球突出など自己免疫性甲状腺疾患を疑わせる他覚所見は認めなかったが,低脂血症や脱水にもかかわらず血清クレアチニンが低値であることより甲状腺中毒症を疑った.実際に,症例(1)は無痛性甲状腺炎,症例(2)はバセドウ病による甲状腺中毒症を併発しており,DKAの発症に大きく寄与していたと考えられた.1A型糖尿病には,自己免疫性甲状腺疾患の合併率が高いことが知られている.高血糖が顕著ではないDKAの場合,甲状腺中毒症の合併を念頭に置く必要があると考えられた.
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