糖尿病
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55 巻 , 1 号
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ミニレビュー
  • 今井 佐恵子, 梶山 静夫
    2012 年 55 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/09
    ジャーナル フリー
    私達は7年前より,従来の「糖尿病食事療法のための食品交換表」1)(以下,食品交換表)を使ったカロリー計算・単位計算ではなく,食べる順番を重視し,「毎食最初に野菜をよくかんで食べること」を食事療法の基本とした糖尿病の患者教育を実施している.「食品の摂取順序」が,食後血糖値,インスリン分泌量,消化管機能に影響を与えると推察されるが,これまで糖尿病患者における臨床研究のエビデンスは報告されていない.本稿では,2型糖尿病患者に対し,食品の摂取順序に重点をおき,毎食野菜から摂取する独自の栄養指導が,食後血糖値および長期の血糖コントロールに与える影響について概説したい.
原著
疫学
  • 柴崎 千絵里, 内潟 安子, 高池 浩子, 朝長 修, 岩本 安彦
    2012 年 55 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/09
    ジャーナル フリー
    1型糖尿病患者の血糖コントロールに総エネルギー摂取量,および三大栄養素エネルギー比率がどう関わっているかを明らかにするために1週間の食事調査を行った.対象者は暦年齢20-49歳の1型糖尿病120名(平均HbA1c 6.9±0.8 %)である.HbA1cは総エネルギー摂取量と関連はなかったが,炭水化物エネルギー比率と負の相関があり(r=-0.230, p<0.05),脂質エネルギー比率とは正の相関があった(r=0.208, p<0.05).HbA1cを従属変数とし,BMI,インスリン注射量,総エネルギー摂取量,三大栄養素エネルギー比率を独立変数としてStepwise重回帰分析を行なったところ,HbA1cはインスリン注射量と正の相関をし(β=0.329, p<0.01),炭水化物エネルギー比率とは負の相関を示した(β=-0.234, p<0.01).1型糖尿病患者の血糖コントロールには炭水化物および脂質エネルギー比率が影響していることが示唆され,栄養指導を行なう場合は,三大栄養素エネルギー比率も重視すべきであろう.
病態・代謝異常・合併症
  • 山下 裕代, 前田 修作, 坂谷 敏子, 坂下 有
    2012 年 55 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/09
    ジャーナル フリー
    高血糖は免疫能低下・易感染性を招き,糖尿病は肺結核と同様に肺非結核性抗酸菌症(以下NTMLDと略す)の発症の危険因子と考えられるが,実際に関連があるか否かについては明らかでない.そこで,2005年1月から2007年12月の間にNTMLDの治療・精査目的で入院した患者103名を対象とし,糖尿病治療中あるいはHbA1c(JDS値)が6.1 %以上の糖尿病が強く疑われる患者の有病率とその特徴を調査した.患者全体の糖尿病有病率は26.2 %であったが,男性のみでは38.9 %,女性では14.8 %と男性で有意に高かった.男性の有病率は一般人口のHbA1c 6.1 %以上の糖尿病が疑われる人口よりも高く,男性では糖尿病がNTMLDと関連している可能性が示唆された.
症例報告
  • 比嘉 眞理子, 吉田 瑛子, 吉藤 歩, 伊賀 涼, 山下 馨, 本郷 恵, 一城 貴政, 大内 博美, 廣井 直樹
    2012 年 55 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/09
    ジャーナル フリー
    症例はアルコール飲酒歴のない60歳代女性.50歳頃から糖尿病にて内服加療中であった.57歳から拡張型心筋症と高度難聴も合併していた.2年前から後頚部に20 cm大の柔らかな腫瘤状隆起が出現し,精査目的にて入院.血中乳酸/ピルビン酸比は16.8と高値であったが,血中脂質検査に異常はなく,HbA1c(JDS値)も5.8 %であった.頚部MRI検査では,T1およびT2強調画像において高信号を呈し,脂肪抑制にて信号低下を認めたことから脂肪成分と診断した.腫瘤部の生検では,脂肪腫症の診断であった.以上の所見と特異な外観から良性対称性脂肪腫症(Madelung病)と診断した.また,末梢血中のミトコンドリアDNA解析の結果,8363変異(G→A)を認めたことからミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病と診断した.ミトコンドリア糖尿病に良性対称性脂肪腫症を合併した報告は,きわめて稀であり,貴重な症例と考えられた.
  • 市川 瑠美子, 小室 竜太郎, 井端 剛, 正田 英雄, 飯田 さよみ
    2012 年 55 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性.54歳時に2型糖尿病と診断されボグリボース開始となったが10年後に血糖コントロール不良のため糖尿病教育入院となりインスリン強化療法を施行した.抗GAD抗体陰性,尿中C-peptide(CPR)は保たれており2相性インスリンアナログ製剤朝夕2回注射にて退院し良好な血糖コントロールが維持できた.ところが退院後3ヶ月の定期診察日に受診し,帰宅後夕食前血糖が突然562 mg/dlに上昇した.血糖急上昇後1ヶ月の血中CPR 0.10 ng/ml以下,4ヶ月の1日尿中CPR 0.95 μg以下であった.抗GAD抗体陰性であったが,好酸球増多,インスリン抗体陽性を認めた.高血糖が続き再度インスリン強化療法に変更したが血糖コントロールは難渋した.本例は2型糖尿病でインスリン導入後良好な経過中,血糖値上昇の日をとらえられた程の突然のコントロール悪化を認め,インスリン分泌能枯渇をきたした症例と考えられたので病態を考察し報告する.
  • 松尾 実奈, 中野 昌弘, 今村 剛, 藤原 恵理子, 新井 鐘一, 豊島 宏
    2012 年 55 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/09
    ジャーナル フリー
    症例は62歳女性.2009年10月頃から頭痛を自覚,徐々に増悪し激痛となったため入院した.臨床所見,検査や画像でも異常所見なく,鎮痛剤で症状は軽快し退院した.その際HbA1c 10.6 %(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53:450-467, 2010))の未治療の糖尿病を認めた.退院1ヶ月後に左眼を中心とした痛み・眼瞼下垂と複視が出現し再入院となった.糖尿病性眼筋麻痺も鑑別診断に挙げられたがTolosa-Hunt症候群(以下THSと略す)と診断した.ステロイド治療によって自覚症状は消失し退院した.しかし1ヶ月半後に再び左眼痛・複視,さらに左結膜充血が出現し眼科を受診した.眼窩部に血管雑音を聴取,頭部MRIで左眼球突出と左上眼静脈の拡張所見を認めたことから海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(以下D-CCFと略す)と診断した.D-CCFの発症初期は糖尿病性眼筋麻痺やTHSなどと類似した症状を呈することがあり,臨床症状の経時的観察や他科との連携した画像診断・評価が必要である.
  • 大濱 俊彦, 佐藤 愛, 田中 聡, 石塚 恒夫, 勝盛 弘三
    2012 年 55 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/09
    ジャーナル フリー
    20年前に1型糖尿病と診断されインスリン加療中の54歳の男性が,全身倦怠感,脱力感にて当院救急室を受診した.受診3日前より食後の心窩部痛を自覚し,摂食すると嘔気嘔吐がみられたため,食事摂取もできず,受診2日前からインスリン注射を中断していた.受診当日,コーヒー残渣様嘔吐を認め,その後全身脱力感,意識レベル低下を認めたため救急車要請となった.救急車内でモニター上10秒程度のVT波形となり,血圧も低下した.到着時意識障害を認め,心電図波形で高カリウム血症性変化を認めた.血液検査にて血糖値1435 mg/dl, K 8.6 mEq/l,アシドーシスを認め糖尿病ケトアシドーシス(Diabetic ketoacidosis,以下DKAと略す)と高カリウム血症にて緊急入院となった.その後の集学的治療にて病態をコントロールすることができた.翌日の上部消化管内視鏡にて上部消化管に出血性潰瘍を認めた.DKAから高カリウム血症を認めることはあるが,K 8.6 mEq/lという著明な高カリウム血症はあまり報告例をみない.本症例は消化管出血や腎前性腎不全も併発していたために致死性不整脈が生じるほどの血清カリウムの上昇につながったと思われる.糖尿病罹病期間の長いDKAで著明な高カリウム血症を認めた場合,背景に消化管出血を合併している可能性があり,本症例のように早急な治療が求められることが多いため注意を要する.
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