糖尿病
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55 巻 , 11 号
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特集
糖尿病発症・進展におけるグルカゴンの重要性
原著
病態・代謝異常・合併症
  • 岩倉 敏夫, 佐々木 翔, 藤原 雄太, 松岡 直樹, 石原 隆
    2012 年 55 巻 11 号 p. 857-865
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/12
    ジャーナル フリー
    2008年から3年間に糖尿病治療薬による重症低血糖で当院に救急搬送された2型糖尿病患者135人の解析を行った.74.0±10.0歳と高齢者が多く,血糖値は33.7±10.3 mg/dlで来院時の意識障害の重症度に逆相関した.6人に意識障害の後遺症を認め,後遺症は昏睡時間が強く関与し約8~12時間が境界線であった.原因薬剤はスルホニル尿素薬(SU薬)89人・インスリン38人・SU薬とDPP4阻害薬併用4人・SU薬とインスリン併用3人・グリニド1人で,SU薬が低血糖の遷延する頻度が高かった.SU薬群の特徴は高齢で低血糖の知識がなくHbA1c 6.07±0.82 %と低値例が多く,SU薬の不適切な使用と教育指導に問題があることが示唆された.インクレチンとSU薬の適正使用の注意勧告後も依然多くの重症低血糖患者を認めており,高齢者に対する糖尿病治療薬の安全な使用法について明確にし,啓発する必要があると考える.
患者心理・行動科学
  • 薬師神 裕子, 中村 慶子, 楢崎 晃史, 岡田 泰助, 武田 倬
    2012 年 55 巻 11 号 p. 866-873
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/12
    ジャーナル フリー
    小児糖尿病キャンプ(以下,キャンプと略す)の必要性と長期的な効果を明らかにする目的で,全国24か所のキャンプから承諾の得られた10~18歳の小児1型糖尿病患者915名を対象に,キャンプ参加前,3か月後,12か月後に質問紙調査を実施した.全ての調査に参加し有効回答が得られた100名を分析した.キャンプの参加経験を基準に4群(継続参加群,参加経験群,初参加群,非参加群)に分類し,属性,キャンプの必要性と理由,キャンプ後に活用している自己管理に必要な知識・技術と,キャンプ後1年間のHbA1cおよび自己効力感得点の推移を分析した.継続参加群と初参加群にキャンプが必要と回答した者が有意に多く,その理由は「同じ病気を持った仲間との交流」や「新しい友人との出会い」であった.キャンプ後,継続参加群と初参加群のHbA1cは継続して低下する傾向を示したが,各群に有意差を認めなかった.しかし,継続参加群の自己効力感得点はキャンプ後に有意に上昇し,キャンプへ継続して参加する意義が示された.
症例報告
  • 長尾 元嗣, 中島 泰, 佐藤 友紀, 高谷 磨紀代, 武市 奈緒美, 竹光 秀司, 首藤 真理子, 若栗 稔子, 石崎 晃, 原田 太郎, ...
    2012 年 55 巻 11 号 p. 874-879
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/12
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性.20年前に糖尿病と診断され経口血糖降下薬で加療されていたが,2009年7月に血糖コントロール不良のため前医へ入院しインスリンアナログ製剤による治療が開始された.退院後から低血糖が頻回となり,総インスリン値11000 μU/ml, 125Iインスリン結合率89.5 %とインスリン抗体による低血糖が疑われた.Scatchard解析の結果はhigh-affinity siteの親和性が低く,結合能が高い,インスリン自己免疫症候群(IAS)に類似した抗体であった.持続血糖モニター(CGM)にて早朝と昼食後に再現性のある血糖低下を認めたため,その結果に基づいてインスリン調節や療養指導を行ったところ血糖変動パターンは改善した.インスリン抗体によって血糖コントロールが不安定化した糖尿病ではインスリン作用時間の予測がつきにくく治療に難渋することが多いが,CGMによる介入が血糖コントロールの安定化に有用であることを示唆する貴重な1例と考えられたため報告する.
  • 松谷 朗, 高橋 徹, 畑尾 克裕, 中森 芳宜, 田上 耕蔵
    2012 年 55 巻 11 号 p. 880-885
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/12
    ジャーナル フリー
    症例は31歳女性の1型糖尿病.血糖変動が激しく,通常のBasal-Bolus療法では血糖コントロールがつかないため当院に紹介となった.妊娠を希望し,血糖コントロール改善に意欲的であり,持続皮下インスリン注入療法(continuous subcutaneous insulin infusion:以下CSII)を導入するため入院した.インスリン注入パターンは持続血糖測定(continuous glucose monitoring:以下CGM)と血糖自己測定(self-monitoring of blood glucose:以下SMBG)の併用によって調節することとした.当初,早朝に著しい血糖上昇を認め,同時間帯はインスリン必要量が多いことを示していた.CGMデータの解析により基礎インスリン注入パターンの的確な調整が可能となり,明らかな血糖コントロールの改善と低血糖の減少を認めた.CSIIにおけるインスリン注入パターンの調整にCGMが有用であった1症例である.
  • 岡本 香弥, 坊内 良太郎, 花井 豪, 柳澤 慶香, 内潟 安子
    2012 年 55 巻 11 号 p. 886-890
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/12
    ジャーナル フリー
    症例は54歳女性.1997年(37歳),2型糖尿病と診断され,メトホルミンを開始.2006年(47歳),グリメピリドの併用を開始され,2010年(53歳)にさらにピオグリタゾンを併用し,同年12月にはグリメピリド3 mg,メトホルミン750 mg,ピオグリタゾン15 mg内服にてもBMI 30.4 kg/m2, HbA1c 12.1 %であり,2011年(54歳)1月当科入院.入院後,メトホルミン,ピオグリタゾンを中止し,リラグルチドを導入.リラグルチド0.9 mg投与後,低血糖を認めたためグリメピリドを2 mgに減量し退院.血糖,インスリン分泌能,体重は改善したが,インスリン抵抗性指標は悪化した.インスリン抵抗性改善薬を中止してリラグルチドを投与してもインスリン抵抗性指標が悪化する肥満の強い2型糖尿症例もあるため,その適応は慎重に判断し,厳重に経過観察する必要があると考えられた.
  • 越谷 剛, 増田 創, 木島 弘道, 近藤 琢磨
    2012 年 55 巻 11 号 p. 891-897
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/12
    ジャーナル フリー
    症例は44歳の肥満男性.2008年7月より高血糖症状を自覚し7月25日初診,糖尿病ケトーシスの診断で入院となった.清涼飲料水の多飲は認めず,抗GAD抗体は陰性であった.インスリン療法を離脱後,ピオグリタゾンの内服で退院となった.HbA1c(以下HbA1cは国際標準値で表記(糖尿病53:450-467, 2010))5.6 %まで改善したが,体重増加を契機に2009年7月血糖コントロールが悪化,8月に入り高血糖症状を認め入院となった.HbA1c 8.5 %,尿ケトン体陽性であった.インスリン分泌能は前年より低下し,膵島関連自己抗体の陽性化を認めた.インスリンを継続し血糖コントロールは改善したが,食事療法,運動療法が遵守できず体重が増加し再び悪化した.内因性インスリン分泌能は退院後不十分ながら回復を認め,膵島関連自己抗体は2011年4月の時点で陰性となった.本例は,経過からketosis-prone type 2 diabetesと考えられた.本邦での報告は少なく,文献的考察を含め報告する.
報告
  • 大谷 敏嘉, 佐藤 麻子, 内潟 安子
    2012 年 55 巻 11 号 p. 898-902
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/12
    ジャーナル フリー
    1962年から2009年12月31日までに初診し1年以上通院した30歳未満発症日本人1型糖尿病患者のうち,2010年12月31日までに死亡が判明したものが69名であった.そのうち死亡直前まで通院していた患者53名の中で急性心筋梗塞が原因で死亡した5名(男性1名,女性4名)について死亡前時点における臨床背景のデータ解析を実施した.上記死亡患者に家族性高コレステロール血症(FH)が1名いた.FH以外の死亡患者4名はすべて腎症4期以上の末期腎不全(腎症4期1名,腎症5期3名)であった(BMI21.2±1.7 kg/m2, TC174.8±23.8 mg/dl, HDL68.3±19.1 mg/dl, TG77.3±37.5 mg/dl[mean±SD]).腎症5期患者の透析期間はそれぞれ1年,7年,14年であった.FHの1名を除いた日本人1型糖尿病の急性心筋梗塞死亡患者においては全例,末期腎不全を有していた.
地方会記録
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