糖尿病
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55 巻, 8 号
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特集
糖尿病と悪性腫瘍
原著
診断・治療(食事・運動・薬物治療)
  • 井田 健一, 宇佐美 勝, 木村 祐子, 小松 隆之, 児玉 光顕, 吉崎 祐子, 池田 弘毅, 池田 正毅
    2012 年 55 巻 8 号 p. 599-605
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/12
    ジャーナル フリー
    未治療・2型糖尿病患者に対する50 %混合型インスリンアナログ製剤(インスリンリスプロ製剤50)の1日3回注射による治療経過をbasal-bolus療法による治療経過と比較した.両治療方法による血糖日内変動や治療開始後のHbA1c値の改善効果はほぼ同等であり,ともに比較的良好な血糖改善効果が得られた.50 %混合型インスリンアナログ製剤3回注射はbasal-bolus療法に比べるとインスリン導入が比較的容易であり,コントロール改善後の混合製剤1~2回注射への移行が行いやすいなどbasal-bolus療法より勝る面も見られた.
  • 植木 理恵, 片貝 貞江, 岩永 志律子, 本橋 しのぶ, 川井 紘一
    2012 年 55 巻 8 号 p. 606-613
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/12
    ジャーナル フリー
    高齢糖尿病患者の認知機能に応じた薬剤管理支援を検討する目的で,薬物治療中の75歳以上の糖尿病患者220人を対象に,簡易版認知症スクリーニング検査の結果と薬剤管理方法として一包化調剤との関連を検討した.スクリーニング検査で認知症の疑いが有る群(67人)では一包化調剤の患者が10人(14.9 %)であったのに対し,認知症の疑いが無い群(153人)では7人(4.6 %)であった(p=0.013).また,他の臨床背景を調整した場合においても,スクリーニング検査の結果と一包化調剤との関連が認められた(オッズ比4.61,95 %信頼区間1.32 - 16.15,p=0.017).本研究の結果より,認知症のスクリーニング検査が薬剤管理への支援が必要な高齢糖尿病患者を特定するひとつの目安となることが示唆された.
症例報告
  • 牛腸 直樹, 佐藤 吉隆, 近藤 智子, 平嶋 勇士, 田川 暁大, 田中 秀樹, 鈴木 奈津子, 大森 安恵
    2012 年 55 巻 8 号 p. 614-620
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/12
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.46歳時に視床下部髄膜腫摘出術を行い,術後汎下垂体機能低下症,中枢性尿崩症に対しホルモン補充療法を行われていた.発熱,傾眠,全身脱力を主訴に当院救急受診し,高血糖高浸透圧症候群,肺炎を認め緊急入院.入院後横紋筋融解症を併発したものの補液負荷により改善したが,第7病日に胸痛,呼吸困難を訴え,造影CTで肺塞栓と下腿深部静脈血栓を認め,直ちに抗凝固療法を開始した.横紋筋融解症と肺塞栓症は高血糖高浸透圧症候群の合併症であるが,両者の合併報告例は少ない.また本症例は視床下部症候群という特異な背景が病態に関与したものと考えられ,考察を加えて報告する.
  • 山下 馨, 小林 結香, 吉田 瑛子, 吉藤 歩, 一城 貴政, 廣井 直樹, 大内 博美, 比嘉 眞理子
    2012 年 55 巻 8 号 p. 621-626
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/12
    ジャーナル フリー
    症例は41歳男性.2008年1月,清涼飲料水ケトーシスのため入院.PG 1550 mg/dl, HbA1c 11.8 %, Glutamic acid decarboxylase antibody(以下GAD抗体)陰性,尿中Cペプチド(以下CPR)115.2 μg/dayと内因性インスリン分泌能が保たれていたため2型糖尿病と診断した.2相性インスリンアスパルト30とメトホルミン内服で退院となった.その後徐々にインスリン必要量が減少し,経口血糖降下薬のみで良好な血糖コントロールが得られていた.しかし2009年6月,急速な血糖コントロールの悪化を認め第2回目の入院となった.GAD抗体及び他の膵島関連自己抗体は陽性であり,尿中CPRも33.1 μg/dayと低下しており1型糖尿病と診断した.HLA検査では,A24とDR9を認めた.清涼飲料水ケトーシス発症から17ヶ月後に1型糖尿病が顕在化した稀な症例と考えられ,文献的考察を加え報告する.
  • 小野 恭裕, 山本 匡介, 大橋 昌夫, 岡部 泰二郎, 今村 浩一郎, 井口 登與志, 高柳 涼一, 宮崎 彩子, 古賀 正史
    2012 年 55 巻 8 号 p. 627-631
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/12
    ジャーナル フリー
    劇症1型糖尿病は1型糖尿病の新しい亜型であり,非常に急速にほぼ完全な膵β細胞破壊に至る結果生じる糖尿病である.急激に血糖が上昇するのに対して,発症時のHbA1cは正常あるいは軽度高値である.今回,劇症1型糖尿病の発症時のHbA1cの異常低値およびグルコアルブミン(GA)/HbA1c比の著明高値を契機に異常ヘモグロビンの合併が判明した1例を経験した.症例は47歳男性.糖尿病ケトアシドーシスにて発症した時のGAは25.3 %であったが,HbA1cは3.6 %(JDS)と異常低値,GA/HbA1c比が7.0と著明高値であった.異常ヘモグロビンの合併を疑い,解析した結果,グロビン遺伝子のβ鎖59にLys→Asn変異を認め,Hb J-Lomeが同定された.劇症1型糖尿病において発症時のHbA1c異常低値やGA/HbA1c比が著明高値例では異常ヘモグロビンの合併を疑う必要がある.
  • 森 由紀子, 八木 邦公, 小泉 順二, 松本 裕幹, 藤本 彩, 大畠 梓, 岡崎 智子, 伊藤 直子, 窪田 美幸, 中野 薫, 山秋 ...
    2012 年 55 巻 8 号 p. 632-637
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/12
    ジャーナル フリー
    症例は27歳女性.肥満歴はなく,父親,姉,父方祖母に糖尿病の家族歴あり.12歳時に初めて尿糖を指摘され,13歳時に75 g経口糖負荷試験にて耐糖能障害とインスリン初期分泌能の低下が認められた.14歳時に糖尿病と診断され,この際の精査にてHNF1A遺伝子P291fsinsC変異が同定されMODY3と診断された.23歳時にHbA1c 6.0 %台(JDS値)となった.27歳時にHbA1c 6.5 %と増悪あり入院となった.グルカゴン負荷試験にてインスリン分泌能の低下(CPR前0.8 ng/ml,6分後1.8 ng/ml),アルギニン負荷試験にてグルカゴンの過大反応(PGC前133 pg/ml→peak 600 pg/ml)あり,インスリン療法が導入された.経過中糖尿病合併症の出現は確認されなかった.本例の遺伝子変異は世界各地で報告されているが臨床像に大きな相違が見受けられるようであり,文献的考察を加え報告する.
  • 森田 真也, 前田 悠一, 藤原 弘士, 三木 俊治, 広田 将司, 藤川 正博, 佐々 仁美, 中川 雅史, 大嶋 正人, 藤井 智美, ...
    2012 年 55 巻 8 号 p. 638-644
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/12
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性.55歳頃に糖尿病と診断されインスリン治療を受けていた.72歳時に食欲不振から糖尿病ケトアシドーシスと巨大S状結腸及び捻転を指摘され当院に転院となった.血中および尿中Cペプチドが低値でGAD抗体が著明高値であり緩徐進行1型糖尿病と診断した.同時にシェーグレン症候群,原発性胆汁性肝硬変(以下PBCと略す),全身性強皮症と診断した.74歳時にS状結腸拡張および腸閉塞をきたしS状結腸高位前方切除術を施行した.切除標本では肛門側においてAuerbach神経叢とMeissner神経叢の減少及び固有筋層の菲薄化と線維化を認めた.術後9日目より著明な血小板減少を認め特発性血小板減少性紫斑病(以下ITPと略す)と診断した.1型糖尿病とシェーグレン症候群・PBC・全身性強皮症・ITPを合併した報告はなく,巨大S状結腸と大腸の神経叢の減少は糖尿病神経障害や自己免疫異常との関連を考える上で興味深いと考え考察を加え報告する.
編集者への手紙
地方会記録
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