γグロブリン製剤を使用して一時的に抗GAD抗体陽性を示した症例を3例経験した.症例1は53歳男性,ギラン・バレー症候群に対し使用,投与30日後に2.4 U/m
lを示した.症例2は67歳女性,低
γグロブリン血症と細菌感染症からの急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の合併に対し使用,投与22日後に2.9 U/m
lを示した.症例3は73歳男性,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対し使用,投与12日後に2.1 U/m
lを示した.いずれも投与前は陰性,上記測定日以降も陰性.投与したロットの抗GAD抗体価は2.1~4.9 U/m
lと弱陽性を示した.一方,症例4は79歳女性,ITPに対して使用したが抗GAD抗体価は変化しなかった.症例4に使用したロットの抗GAD抗体価は1.6 U/m
lと低かった.
γグロブリン製剤投与により一時的に抗GAD抗体が陽性を示す可能性が示唆され,
γグロブリン製剤投与直後は抗GAD抗体の測定にて膵
β細胞傷害の有無を評価するのは注意が必要と考えられた.
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